グローバル事例

変わりゆく総合商社の人材像
創造性・独自性を見極める「デザイン選考」とは

広報パーソン探訪記

報道チーム糠谷 治香

2018年入社。主にメディア・デジタル事業部門、生活・不動産事業部門、人事関連の報道業務を担当。
最近の趣味は、実家の愛犬・愛猫の写真をSNSにアップし、犬猫好き仲間と自己満足に浸ること。
犬猫の写真・動画を眺めることは最高の癒しであり、毎日いいね!の指が止まらない。

新型コロナウイルスの感染拡大が社会を一変させている。

目まぐるしく変化する事業環境のなかで、持続的に成長していくために不可欠な経営資源は「人材」だ。
多岐にわたる事業を展開する住友商事にとっても、多種多様な人材の採用・育成・活躍を推進していくことは最重要テーマである。

変化の激しいこの状況下で求められる住友商事の採用活動とは。
採用基準を「創造性・独自性」とする、ユニークな新卒採用「デザイン選考」の真意とは。
人事部採用チームの稲田、垣内へのインタビューを通してお伝えしたい。

2020年、Withコロナの採用活動

──今年の採用活動、6月選考の対応は。
垣内:新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を踏まえ、当社は6月1日の採用選考活動解禁以降、1次・2次面接はオンライン形式で、3次面接以降は原則対面で実施しました。関東圏・関西圏以外に在住の学生については3次面接以降もオンライン形式で実施しました。面接の途中で音声が途切れてしまうなど通信の不具合があった場合は再度面接枠を設け、通信環境への配慮を徹底しました。

また当社は2018年からエントリーシートの提出を廃止しており、筆記試験の合格者全員が1次面接に進みます。筆記試験は例年、テストセンターと呼ばれる会場で受験するものでしたが、今年は感染リスクを減らすために、自宅で受験可能なオンラインテストも用意しました。
稲田:異例の対応でしたが、これまで踏み切れなかったさまざまな施策を実施することができたという面で評価しています。動画やブログの配信、社長が登壇するオンラインイベントなど積極的に実施しました。
稲田(1998年入社、基幹職、チームリーダー)
──学生からの反応は。
稲田:学生にとっては、PCやスマホなどモバイル端末からアクセスができるので、通常のイベントよりハードルが低く、参加しやすかったようです。オンライン化による移動時間の制約や、交通費などの負担が軽減されるといった声もありました。
──オンライン面接、見極めるのは難しかったのでは。面接の雰囲気は。
垣内:面接官にとってオンライン面接は初めてで、戸惑いはあったと思います。しかし、面接実施後のアンケートでは、9割以上の面接官から「見極めに問題はなかった」との回答が得られました。
当社では、2018年から全社的なテレワークの導入を進めています。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年3月1日から全役職員に対して在宅勤務を原則としていたため、社員が「オンライン慣れ」していたことも功を奏したのかもしれません。
稲田:学生からは「対面での面接に比べてリラックスできた」「面接官の表情が見やすかった」という声もありました。一方で、「画面上の面接官の顔ではなく、カメラを見ながら話すことに難しさを感じた」と、オンライン面接特有の難しさもあったようです。
垣内(2017年入社、基幹職)
──コロナ禍における採用数の変動はあったか。
稲田:当社では、景気や業績によらず一定数を安定的に採用することが重要と考えています。ただし、ここ数年はキャリア採用数を増やしていることもあり、結果として、新卒採用数は昨年と比較して若干減らしています。
──これまでにない採用活動に対する感想は。
垣内:選考をオンライン形式で実施することで、学生の居住地に関わらず選考することができました。学業などの都合で通常であればイベントに参加できない学生への情報提供の手段が増えたことはポジティブに捉えており、今後の採用にも生かしていきたいです。

デザイン選考 基準は「創造性・独自性」

2019、2020年の夏季基幹職選考で導入したユニークな新卒採用「デザイン選考」では、4段階の非面接型選考を通じて、面接型での選考では評価しづらい資質を見極める。6月の基幹職選考で不合格だった学生や、海外留学などで6月選考を受験できなかった学生も対象とする。

──2019年卒採用からスタートした「デザイン選考」、その背景や狙いは。
垣内:既存のやり方だけで、真に求める人材が採用できているのか、変化の激しい世の中で多様なビジネスを展開する総合商社では、「課題解決能力」だけでなく「課題発見能力」が重要なのではないか、ということに着目しました。
稲田:面接で見極められるのは、コミュニケーション能力や熱意などに偏る傾向があります。
特に新たな価値を創り出すうえで必要とされる「独自性」や「創造性」は通常の面接では見極めが難しい項目でした。こうした課題感から、「独自性」「創造性」といった面接では評価しづらい能力・素養に着目した「デザイン選考」を実施することになりました。
──4段階で行われる「デザイン選考」とは。
垣内:デザイン選考は、VISITS Technologiesと共同開発したものです。VISITS Technologiesは、未上場スタートアップでありながら日本政府から将来性を期待されたユニコーン企業候補に選出され、経団連への入会が認められた会社です。

選考フローは右図の通りで、創造性を可視化する「ideagram(アイデアグラム)」を用い、受験者の創造性や独自性を測定して定量化できる点が特徴です。

見極めの難しい能力を定量化する「ideagram」は大きなアドバンテージとなりました。通常の選考では能力を発掘できなかった学生の内定にもつながり、これまでとは違うタイプの人材を採用できたと考えています。
──昨年から始まったデザイン選考、手ごたえは。
稲田:デザイン選考で初めて当社を受けてくれた学生も数百人おり、従来の面接では当社に向いていなかった人材にもアプローチできたと感じています。「少し変わった選考をしているから住友商事を受験した。一般的な面接は苦手だけど、アイデアを出すのは得意」という学生もいました。
今年は、グループワークによる選考をオンラインで実施するというチャレンジングな取り組みでしたが、結果として7人の優秀な学生を採用できたことに手ごたえを感じています。
──最後に、ズバリ住友商事が求める人材とは?
稲田:当社の人材基本戦略「Diversity&Inclusion」は、社員一人一人の個性を生かし、競争力の源泉にしていこうというものです。だからこそ、採用という入り口の時点でも「求める人材像」は設定しておらず、学生の皆さんには自身の個性を選考で見せてほしいと考えています。
──ありがとうございました!
学生4-5人と社員1人で行うオンライングループワークのイメージ。あるテーマに対して自身で考えてきたアイデアをもとに、チームで1つのアイデアを導き出す
オンライングループワークでは、ホワイトボードサービスなどの機能を利用し、対面に近い形で活発な議論を行った

Diversity&Inclusion Starts with “I” 多様な人材がイノベーションを加速する

住友商事では中期経営計画2020において、性別や国籍だけでなく、多様な考え方や能力・経験を持つ人材を受け入れ、多様な人材の知のミックスを生かすことで、新しい価値創造を目指すという人材戦略「Diversity & Inclusion―多様な力を競争力の源泉に―」(D&I)を基本コンセプトとして掲げている。

「Diversity」とは、性別や国籍・人種、年齢といった表層的なものだけでなく、よりパーソナルな部分、つまり個人の考え方・発想、価値観、能力、経験といった深層的な部分も指している。「個性」と言い換えても良いかもしれない。「Inclusion」とは、そのような「個性」を尊重し、受け入れ、競争力の源泉として生かしていくことを意味する。

2017年10月に発足した社長直轄組織「ダイバーシティ推進プロジェクトでは、各現場の課題の吸い上げや、推進に向けた提言を行うなど、D&Iの浸透に向けた取り組みを積極的に進めてきた。ダイバーシティ推進における合言葉は「Diversity&Inclusion Starts with “I”」。D&Iは、「I(Inclusion)」からはじまり、またそれは「I(自分)」から始まるということだ。テレワークやスーパーフレックス制度の導入など自律的で柔軟に働ける環境の整備や、D&I研修の実施といった各種施策は、住友商事の「人材」に対する本気度を感じさせる。

変化の激しいこの時代に、同質的な人材集団ではイノベーションは起こせない。新たな組み合わせが化学反応を起こし、ワクワクするような価値が生まれる。競争力の源泉はこういった価値創造の中にこそある。世界中で起こり始めている住友商事グループの新たな取り組みから目が離せない。

当社の採用チームは若手社員が多い。互いに尊重し合うコミュニケーションによって、正解のない採用活動に向き合う
インタビューは、大手町にあるオープンイノベーションラボ「MIRAI LAB PALETTE」にて実施。昨年は、採用イベントでも使用した

2021年01月掲載

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