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グローバル事例

地域社会の発展に貢献し、非鉄金属資源の需要に応える ―ボリビア・サンクリストバル鉱山事業―

ボリビア

世界的な人口増加や新興国の経済発展に伴い、さまざまな工業製品の原材料となる亜鉛、鉛、銀などの非鉄金属資源の需要が増大し、新たな鉱山開発などによる資源の安定確保が大きな課題となっています。南米のボリビアは、これらの非鉄金属資源を豊富に保有する世界有数の資源国です。新たな鉱山開発を円滑に進めるためには、資源開発が真に地域社会の発展につながり、自立的、持続的成長に貢献する仕組みづくりが欠かせません。こうした考え方の下に、住友商事が開発、運営に取り組んでいるのが、ボリビアのサンクリストバル鉱山事業です。

世界の亜鉛、鉛消費量(単位:千トン)

 
出所:独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構

総合商社の経営ノウハウで亜鉛、鉛鉱山の事業を再生

当社は2006年、サンクリストバル鉱山の開発プロジェクトに参画し、以来、現地鉱山事業会社のミネラ・サンクリストバル社(以下、MSC)の経営に関与してきました。2007年秋に世界金融危機を背景とした資源価格の下落などによってMSCの経営状況が悪化した際には、追加資金投入や人員派遣などの支援を強化しました。さらに2009年3月にはMSCを完全子会社化し、総合商社として培ってきた事業会社の経営ノウハウを活用して、MSCの事業再生に力を注いできました。その結果、同鉱山の生産能力は、亜鉛で世界第7位、鉛で世界第12位、粗鉱処理量は5万2000トン/日に達するなど、現在では世界屈指の亜鉛、鉛鉱山として資源の安定供給に寄与しています。 

コントロールルームでのオペレーションの様子

社会に信頼される鉱山マネジメントの実現に向けて、三つの国際規格を同時取得

地域社会と調和した鉱山開発、運営を実現するためには、地域社会との相互の信頼に基づいた関係構築、環境や労働安全衛生などに対する徹底した配慮が欠かせません。そのためサンクリストバル鉱山では、計画段階から赤道原則やボリビアの各種国内法にのっとりつつ、早くからソーシャルライセンス(※)の考え方に沿って、環境や労働安全衛生に関する対策を講じてきました。 

水質モニタリングの様子

環境面では、鉱山における大気清浄度や、井戸の水位・水質、土壌、騒音といった環境影響を常時モニタリングしているほか、持続可能な資源利用にも力を注いでいます。例えば、リサイクル水量を増やすなど、さまざまな節水努力によって、地下水の使用量をピーク時の半分程度まで節約し、リサイクルシステムの最適化を実現してきました。さらに2011年には、採掘現場における効果的な粉じん対策として、約1000万ドルを投じ、ボリビア初、南米でも最大規模となる粉じん飛散防止ドーム(直径140メートル、高さ59メートル)を建設しました。 

粉じん飛散防止ドーム建設の様子

一方、労働安全面では、安全トレーニング観察プログラムを導入し、管理者と作業者が協力し合いながら、不安全行動や不安定状態の改善などに取り組み、安全レベルの向上を図っています。衛生管理面では、作業者の血中鉛濃度を定期的に診断するのはもちろん、従業員とその家族のために24時間体制の救命対応設備を備えたメディカルセンターをサンクリストバル村および周辺のクルピナ・カ村、ヴィラヴィラ村に開設しました。センター敷地内に併設されたクリニックは、地域住民にも開放されており、地域の医療体制の充実にも貢献しています。 

国際規格であるISO9001、ISO14001、OHSAS18001を同時取得

また、MSCでは、こうした環境や労働安全衛生に関する対策に注力する一方、業務プロセスの徹底した「見える化」を推進し、管理体制、内部統制のさらなる強化に取り組みました。その結果、2010年5月には、品質、環境、労働安全衛生に関するマネジメントシステムの国際規格(ISO9001、ISO14001、OHSAS18001)の認証を同時取得しました。これら三つの規格の認証を全て取得している鉱山会社は、ボリビア国内はもとより世界的にも数少なく、MSCのマネジメント水準が世界トップレベルに達している証しといえます。 

※ソーシャルライセンス:企業が事業活動を行う地域の環境や地域住民の生活に配慮し、広く地域に貢献することが事業活動を行う上で当然に果たすべき責任、という考え方。 

多彩な取り組みを通じてボリビア社会の発展に貢献

そして、この鉱山事業における最重要テーマの一つが、鉱山周辺をはじめとするボリビア社会の自立的、持続的な発展への貢献です。MSCはボリビアの亜鉛、鉛、銀の国内最大生産者であり、同国の輸出にも大きく貢献しています。また、直接雇用約1500人(99パーセントがボリビア人、内64パーセントが地域コミュニティー出身者)に加え、約4500人の間接雇用を創出するなど、ボリビア経済にとって既に、MSCは欠かすことのできない存在になっています。 

これら事業を通じた貢献に加え、周辺地域が閉山後も自立的、持続的に発展していけるように、MSCではさまざまな支援活動を積極的に推進しています。まず、鉱山開発に際しては、道路、橋、電力、上下水道、医療サービスといった産業・生活インフラを整備しました。現在、これらの社会基盤を活用しながら、地域の持続的発展を支援しています。例えば、MSCが200万ドルを拠出して設立したサンクリストバル基金は、機械工、電気工の派遣会社を設立したほか、ハウス栽培農業施設や観光事業用のツアーバスを寄贈するなど、地域の産業振興を促しており、MSCはこれをサポートしています。

さらに、インターネット通信教育環境の整備などによるデジタル格差の解消や大学進学奨学金の提供など教育分野への支援にも力を注いでいます。また、2009年に開設したMSCのサンクリストバル技術訓練センターは、MSCで働く従業員だけでなく地域の住民も受講でき、鉱山に必要な技術教育のほか、観光学、秘書学、経営学などの教育を行っています。ここでさまざまな技術や知識を学んだ人材が、将来、幅広いビジネス分野で活躍することで、ボリビア社会の発展に貢献することを願っています。

サンクリストバル技術訓練センター。約20種類の研修コースを用意している

サンクリストバル鉱山でのノウハウを駆使し、持続可能な資源開発を世界で展開

MSCは、これからも採鉱による鉱量の拡大や精鉱の品質向上などを通じて、良質な非鉄金属資源の安定供給と鉱山のさらなるバリューアップに取り組むと同時に、従業員、地域住民、中央・地方政府などステークホルダーとの密接な対話を通じて地域社会の自立的、持続的発展に貢献していきます。そして当社は、この事業を通じて蓄積した鉱山経営に関するノウハウや人材を活用しながら、鉱物資源を安定的に供給し、地域社会の持続可能な発展に貢献する鉱山開発事業を世界各地で推進していきます。 

2015年05月掲載

キーワード

  • 資源・化学品事業
  • 米州
  • 鉱物資源

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