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社長メッセージ:全てのステークホルダーの皆様へ

代表取締役社長 中村 邦晴 Ensuring The Steady, Continuous Growth of the Sumitomo Corporation Group 住友商事グループが永遠に続いていくために
創立100周年(2019年度)に向けて目指す姿 ~経営理念・行動指針をベースとして~ Be the Best, Be the One

 

「創立100周年(2019年度)に向けて目指す姿」に込められた思いを教えてください。
その先の50年、100年に、安定的・継続的に成長するための揺るぎない“礎”を築き上げていきたい。

2012年に私が社長に就任した際に、「2019年度に創立100周年を迎える住友商事グループをさらに50年、100年、そして永遠に続いていくような会社にしたい」という私自身の思いを表明しました。この100周年を一つのマイルストーンに据えて、それまでの7年の間、この思いを実現するための揺るぎない土台、“礎”をしっかりと築き上げていきたいと考えています。

住友商事グループを取り巻く今後の事業環境は、引き続き変化が激しく不確実性を伴うものと認識しています。また、ビジネスそのものも、資源事業、インフラ事業に代表されるようにますます複雑化し、より長期のスパンでの立ち上げや開発が求められています。

こうした事業環境の中でも安定的・継続的な成長を果たしていくためには、足元の変化に柔軟に対応するとともに、将来の大きな流れを予見して、中長期的な視点で「目指す姿」を描き、その実現に向けて戦略を着実に実行していくことが重要と考えています。

こうした思いから、「創立100周年に向けて目指す姿」を掲げるとともに、“Be the Best, Be the One”をそのスローガンとしています。この言葉には、あらゆる面でベストな会社となり、広く社会に認められる企業グループを目指したい、という思いを込めています。

これを実現するためには、まず、「住友の事業精神」や営業の要旨・住友商事グループの経営理念に立ち返り、これに則って事業活動に取り組むことが何より重要だと考えています。

営業の要旨・経営理念にある「信用を重んじ確実を旨とする」、「浮利を追わず」のとおり、“住友商事らしく”、しっかりと時代の変化を読み、自分たちで立案した計画や戦略を確実に実行し、我々のこれまでに培ってきた強み・機能を発揮し“住友商事ならでは”の価値を創造していきます。そして何より、住友の事業精神である「自利利他公私一如」のとおり、自社の収益拡大だけでなく、国や社会に貢献することを事業活動の根幹に据えて正々堂々と事業を進めていき、「さすが住友商事グループ」と広く社会から必要とされる存在を目指していきます。

また、「健全な財務体質を維持しつつ、強固な収益基盤を構築し、一段高いレベルの利益成長を目指す」ことを、創立100周年に向けた定量面で目指す姿として掲げました。具体的には、2019年度に総資産9〜10兆円、連結純利益で4,000億円以上という定量イメージを掲げ、その先の100年に向けて、財務健全性を維持しながら、安定的・継続的に成長するための強固な収益基盤を構築することを目指していきます。

創立100周年は、我々にとって通過点に過ぎません。その先も社会に必要と認められ、安定的・継続的に成長していくために、どのような経営をすべきかに思いを馳せていくと、「住友の事業精神」に行きつきます。住友グループは400年間続いている企業集団ですが、これほど長く続く組織体というのは、世界を見てもそれほど多く存在していません。それが可能なのは、「住友の事業精神」を実践してきたからだと考えています。

社員一人ひとりが、「住友の事業精神」、住友商事グループの経営理念に即した行動をとっているかを自らに対して常に問い続け、住友商事らしさを実践することで、“Be the Best, Be the One”の実現が可能になると考えています。

2019年度の定量イメージ

 

中期経営計画ƒ(x)(エフクロス)の成果、課題について総括してください。
定量目標の達成、資産の入替・バランスシートマネジメントの進展は評価している。ただし、収益力のさらなる強化は課題。

住友商事では2年ごとに中期経営計画を策定しており、2013年3月までの2年間の中期経営計画であるƒ(x)では、まず、定量面で、2年間で当期純利益4,800億円という利益計画を掲げました。2011年度の連結純利益は過去最高益となる2,507億円となりました。続く2012年度においては、資源価格下落の影響などにより2,325億円にとどまりましたが、2年間の利益目標を達成することができました。2年間のリスク・リターンは15.2%と、これについても計画値である15%をクリアしています。

投融資については、2年間で5,800億円の計画に対し、実績5,600億円とほぼ計画どおりとなりました。資源分野で2,050億円、非資源分野で3,550億円と、特定の事業分野に偏ることなく、バランスの取れた事業ポートフォリオの構築に努めながら、将来の収益基盤を拡大するための投融資を行いました。

同時に、ƒ(x)2年合計で8,600億円の資産売却・削減を行いました。これに伴って、約3,800億円のキャッシュを回収し、着実にバランスシートマネジメントが進捗したと考えています。住友三井オートサービス(株)やジュピターショップチャンネル(株)の持分売却では、戦略的パートナーとの提携を通じて、中長期的視点に立った収益基盤の強化を図ったことに加え、事業環境の変化などにより、大きな成長が見込み難いビジネスや、当初見込んでいた収益が期待できない事業などの売却・撤退を進めました。

ただし、課題として残った点もいくつかあります。一つは、投融資案件に対する着実なバリューアップです。大型投融資案件の中には、当初の事業計画どおりに収益が上がっていない案件があり、早期にバリューアップを行う必要があります。また、事業環境が絶えず変化していく中で、常に、収益性・成長性の乏しいビジネスについて、縮小・撤退を図るとともに、戦略分野への一層の経営資源や人材のシフトを行い、収益力を強化する必要があります。

新中期経営計画: Be the Best, Be the One 2014

 

新中期経営計画「Be the Best, Be the One 2014」(BBBO2014) の目指すものについて教えてください。
住友商事の強みをさらに追求し、収益力を徹底的に強化。創立100周年に向けた「目指す姿」実現への第一歩としたい。

現在の2,300〜2,500億円の連結純利益の水準から、「目指す姿」で掲げる4,000億円以上の「一段高いレベルの利益成長」まで引き上げるためには、「収益力の徹底強化」が必要と考えています。このため、BBBO2014では、「強み・機能の追求と結集」、「中長期視点に立ったビジネスの新陳代謝の促進」を実施し、連結純利益の目標である2013年度2,400億円、2014年度2,700億円の達成を目指します。

具体的には、現在の収益の柱となっている事業をさらに強くしていくために、優先的に経営資源を投入します。BBBO2014の期間中には、過去最大となる7,500億円の新規投融資を予定していますが、各営業部門において、当社に強みや知見があり、将来にわたり収益の柱とする分野を「重点分野」として設定し、優先順位を明確にしたうえで、従来以上に投融資分野を絞り込み、優良な案件を着実に積み上げていきます。

また、この2年間では、当社の強み・機能を活かすことができ、かつ中長期的視点から成長ポテンシャルが高い分野・地域を「全社育成分野」「全社育成地域」に設定して経営資源を戦略的に配分し、収益機会を追求していきます。さらに、近年に投資した案件で、当初の事業計画どおりに収益化が図られていない事業について、人材・ノウハウを集中的に投入し、着実なバリューアップに注力し、収益力の強化を行います。

これを成し遂げるためには、有限な経営資源を有効活用していく必要があることから、環境の変化に応じ、収益性・成長性の乏しいビジネスの縮小・撤退に取り組みます。併せて、有力パートナーとの戦略的提携を通じ、バランスシートをコントロールすることにより、BBBO2014においても2年合計で7,700億円の資産売却・削減を予定しています。

これらの取り組みにより、経営資源や人材リソースを中長期的に成長分野にシフトさせていく新陳代謝が可能となり、従来以上にスピード感を持ってこの循環を行い、健全な財務体質を維持しながら、より強固な収益基盤の構築を図っていきます。

企業の社会的責任(CSR)について、どのように考えていますか?
住友商事グループにとってCSRとは、経営理念を実践することにほかならない。

社会・環境に対する責任を果たすという点では、先ほども触れましたが、やはり、経営の根幹である「住友の事業精神」が深く関わってきます。「自利利他公私一如」(住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、社会を利するほどの事業でなければならないという意味)の考え方は、「常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く社会に貢献する」、「健全な事業活動を通じて豊かさと夢を実現する」という住友商事グループの経営理念につながっています。つまり、当社グループにとってCSRとは、経営理念を実践することにほかなりません。それは健全な事業活動を通じて果たしていくものであり、社会的課題の解決に向けて、様々なステークホルダーと対話しつつ、企業の立場から何ができるか、何をすべきかを考え、事業戦略として立案し、実行していくものと捉えています。

例えば、海外で事業を展開する場合、いかに地域に根ざし、現地社会に貢献できるかを第一に考えなくてはいけません。鉱山開発プロジェクトはその典型的なもので、単に資源を採掘するだけではありません。環境保全に最大限配慮するのはもちろんのこと、鉱山で働く従業員、地元住民、政府、地方官庁などのステークホルダーと対話を重ね、納税や雇用創出という経済的貢献はもとより、産業・生活関連インフラなどハード面の整備、それを運営するためのソフト面の支援を行い、地域の経済・産業・社会の発展に貢献しています。また、当社は、今後大きな経済発展が見込まれるミャンマーで通信インフラや鉄道の整備、工業団地の開発をお手伝いさせていただく予定ですが、現地の人々の生活の向上、経済のさらなる活性化につながるようなビジネスにしていきたいと考えています。

株主還元についての考え方を教えてください。
中長期的な利益成長による1株当たりの配当額増加を目指す。

株主の皆様の利益を向上させていくためには、「企業価値の向上」と「配当の充実」を両立させていくことが重要と考えています。配当については、長期にわたり安定した配当を行うことを基本方針として掲げ、中長期的な利益成長による1株当たりの配当額の増加を目指しています。

BBBO2014においては、経済環境や投資計画などを踏まえ、25%の配当性向を適用する考えです。これに基づき、2013年度に関しては、連結純利益が年間見通しどおり2,400億円となった場合には、1株当たり47円の年間配当を実施させていただくことになります。

最後に、ステークホルダーの皆様へのメッセージをお願いします。
「創立100周年(2019年度)に向けて目指す姿」を何としても実現させたい。

従来の延長線上にはない、一段高いレベルの利益成長を実現するためには、越えなければならない複数のハードルがあると認識していますが、全社の「目指す姿」を決めるにあたり、中長期戦略を各営業部門と議論してきた中で、当社グループには数え切れないほどのビジネスチャンスがあることを改めて認識しました。これらを全て着実に実行していけば、その先に、必ず「目指す姿」の実現があると確信しています。

各現場において、社員一人ひとりが、「住友商事をこういう会社にしたい」という気持ちをしっかりと持ち続け、2019年、また、その先に各分野でどういう姿になりたいか、どういう仕事をしていきたいかを考え、それぞれの「目指す姿」を実現するための課題を一つひとつクリアしていくことが重要だと思っています。

まずは、「目指す姿」実現への第一歩となる「Be the Best, Be the One 2014」の目標を全社一丸となって達成していきたいと考えています。


住友商事グループの取り組みに、今後もどうぞご期待ください。