金属
組織名
- 金属総括部
- 鋼板・建材本部
- 輸送機金属製品本部
- 軽金属・特殊鋼板本部
- 鋼管本部
業績ハイライト
(億円)
| 2011年度 | 2012年度 | 2013年度 予想 |
売上総利益 | 669 | 652 | 770 |
営業活動に係る利益 | 194 | 182 | – |
持分法による投資利益 | 50 | 56 | – |
当期利益(親会社の所有者に帰属) | 153 | 152 | 210 |
資産合計 | 6,482 | 6,712 | – |
* 2013年度より機構改正を行っていることに伴い、過年度の実績を組替えて表示しています。
事業部門長メッセージ
冨樫 和久
金属事業部門長
金属を取り巻く環境の変化に対応し、グローバルにビジネスモデルの変革をリードし続けます。
新興国の消費拡大や国内製造業の海外シフト、業界内での企業の再編統合など、金属を取り巻く環境は様々な変化が起こっています。
それらの変化に対応して、世界のビジネスパートナーとの関係を強化し、鋼管、鋼材、非鉄金属製品分野で当社がこれまで培ってきた様々な機能を、効率的かつグローバルに発揮し、バリューチェーンを拡大していくことにより、成長戦略を実現していきます。そのために、新たなビジネスモデルに積極的に取り組み、金属製品ビジネスの拡充を図っていきます。
例えば、鋼管分野では、エネルギー関連でのバリューチェーンを拡大していきます。鋼材分野では、輸送機金属製品において、鉄道や自動車関連で存在感のあるサプライヤーとしての地位を築いていきます。また、非鉄金属製品分野では、アルミ関連で、グローバルプレーヤーとしてのバリューチェーンの拡大などに注力していきます。
部門紹介
当事業部門は、鋼材・鋼管などの鉄鋼製品からアルミ・チタンなどの非鉄金属製品まで、様々な金属製品を取り扱い、幅広い分野で顧客のニーズに対応したバリューチェーンを展開しています。鋼材分野では、調達・在庫管理・加工などの機能を備えた国内外のスチールサービスセンター網を通じ、自動車・家電メーカー向けを中心に、ジャストインタイムで薄板製品を納入するサービスを提供しています。鋼管分野では、石油・ガス会社向けに、当社独自のSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)に加えて、オイルフィールドサービス分野への展開を図り、トータルサービスプロバイダーとしての機能を拡充しています。非鉄金属製品分野では、アルミニウムの地金や板の生産・販売拠点の拡大に努めています。
2012年度の実績
業績
北米鋼管事業が堅調に推移した一方、海外スチールサービスセンター事業が中国景気の減速や欧州金融危機の影響により減益となったことから、当期利益は、前年度比1億円減益の152億円となりました。
主な投融資案件
- ドイツ モーターコア製造・販売会社Kienle+Spiess GmbH(K+S社)の買収
- インド Mukand Limitedの特殊鋼加工・販売事業に参画
- 米国 小径シームレス鋼管製造事業生産開始
主要分野の紹介:目指す姿や取り組み
鋼材分野
産業用モーターや電気自動車・ハイブリッドカー、風力発電で使用されるモーターコア
目指す姿製造から加工・流通までの事業展開を通じて、拡大する新興国の需要と顧客ニーズに応えます。
- 事業環境
- 新興国では旺盛な個人消費を背景に、自動車やバイク、家電、建材などの需要が増加しています。また、先進国での鉄道輸送への転換や新興国での鉄道インフラの整備が進められており、これらの材料となる鋼材の需要は、さらに増加することが期待されます。
- 強みと戦略
- 薄板ビジネスでは、アジア・中国を中心に世界14ヵ国36社で展開するスチールサービスセンター事業で変化に対応し、競争力の強化を図っていきます。また、鉄道用の車輪・車軸、自動車用クランクシャフトなどの輸送機材ビジネスも、世界各地域で製販拠点を展開しており、マーケットシェアの拡大を図ります。
- 足元の取り組み
- 欧州最大規模のモーターコア製造・販売会社K+S社の100%株式を取得しました。モーターコアは産業用モーター・電気自動車・ハイブリッドカー・風力発電などに使用されており、環境対策やエネルギーコスト上昇への意識から、成長が期待されています。
またインドでは、バイク・自動車の増加に伴い、需要増が見込まれる特殊鋼の加工・販売事業に参画しました。
鋼管分野
米国Vallourec Star社で製造される小径シームレス鋼管
目指す姿中長期的なエネルギー需要の増加に対応して、鋼管バリューチェーンを強化します。
- 事業環境
- 原油・ガス開発用の油井管や輸送用のラインパイプなどの鋼管需要は、新興国を中心としたエネルギー需要の高まりに対応して、中長期的に増加すると見込まれます。
- 強みと戦略
- 当社の鋼管ビジネスは、グローバルに様々な機能を発揮した事業展開を図ることで、業界トップクラスのネットワークと取り扱い規模を誇っています。例えば、発注から在庫管理、加工、検査、輸送、修理までの一貫したサービスを提供するサプライ・チェーン・マネジメントを世界14ヵ国で23契約を保有しています。引き続きこれまで築いてきた鋼管バリューチェーンを強化し、収益基盤の拡大を図ります。
- 足元の取り組み
- 北米では、今後もシェールガス・オイルの開発が増加することが見込まれることから、シームレス鋼管製造事業に取り組んでおり、中径鋼管工場に加え、小径鋼管製造事業にも出資するなど、供給体制の強化を進めています。
また、油井管事業の隣接分野である、油井機器、資材・サービス事業を強化し、さらなる鋼管バリューチェーンの拡大を目指していきます。
非鉄金属製品分野
マレーシアのPress Metal社におけるアルミニウム地金を製錬する電解炉
目指す姿グローバルプレーヤーとの関係を強化し、コスト競争力のあるバリューチェーンを構築します。
- 事業環境
- アルミやチタンなどの非鉄金属製品は、近年使用される用途が広がっており、その需要はますます増加すると見ています。自動車や航空機などの燃費改善につながる軽量化への強いニーズもあり、市場は今後も拡大が見込まれます。
- 強みと戦略
- 当社はアルミビジネスにおいて、地金の販売では国内商社の中でもトップクラスの取り扱い実績を誇っています。今後、さらなる基盤拡大のため、成長が期待されるグローバルマーケットにおいて、川上(製錬)から川中(圧延)にかけてのバリューチェーンの構築を目指し、生産拠点の展開を加速させていきます。
- 足元の取り組み
- マレーシアでは、同国のアルミ押出品最大手であるPress Metal Berhad(Press Metal社)とともにアルミニウム地金製錬事業を推進しています。
また、米国では他社と共同で、アルミニウム板圧延製造販売会社を買収し、米州を中心にアルミ缶材ビジネスを展開しています。
事業活動を通じたCSRへの取り組み
グローバル安全管理への取り組み
サハリンの油井管在庫オペレーションチーム
金属事業部門では、全ての事業会社において、基本書類として「安全マニュアル」「安全衛生管理規程」「作業手順書」の整備を完了し、従業員一人ひとりに対する安全管理に関する教育を徹底することで、未然に事故を防止する組織体制づくりに努めています。
世界各地で鋼管関連事業を展開する鋼管本部においては、“Zero Harm”目標を掲げ、世界横断的な安全ネットワークを組織し、安全管理システムによる最適な運営管理・安全環境の整備・継続的な改善に注力しています。これにより、適時に安全情報を共有し、地域間のコミュニケーションも著しく向上させ、安全体制の強化と対策の推進に取り組んでいます。2012年度は、ネットワークのメンバーにより、北米、欧州、アジア大洋州、中東、極東に展開する事業拠点を訪問し、安全管理状況の把握と改善に取り組みました。サハリンのオペレーションでは、7年連続休業災害ゼロを達成しています。