水資源
基本的な考え方
企業にとって水資源は欠かせない重要な自然資本である一方、人口増や経済発展に伴う水需要の増加により、水不足に陥る地域は今後ますます拡大します。経済協力開発機構(OECD)によると、世界の水需要は2000年から2050年までに55%増加し、2050年には2億4千万人が清潔な水を入手できない状況にあり、また、14億人が基本的な公衆衛生のない状況におかれると見込まれています。水ストレスの高い地域も含む世界各地で事業を展開している当社グループは、水資源の有限性を十分認識した上で、本課題をリスクと機会の両側面で捉え、水使用の削減および効率改善や、水インフラビジネスなどを通じて課題解決に取り組んでいきます。取り組み
人口増加や都市化・工業化を背景に地球規模で水需要の増大が見込まれる一方、安全で衛生的な水インフラ環境の整備は進んでおらず、水問題は深刻化していくとみられています。そこで21世紀に入ってからは、水問題解決を目指した水ビジネスへの取り組みが世界的に注目され始めました。開発途上国における安全で衛生的な生活環境の実現に貢献するのは先進国の責務である、という意識の高まりも影響しています。当社では、上水だけでなく下水も併せた水ビジネスを社会インフラの重要な柱と考え、世界各地でさまざまな取り組みを行っています。水需要の増大が著しい地域など、世界各地の有望市場において、上下水処理や海水淡水化などの民活型(※1)であるBOOT/BOO事業(※2)から完全民営化事業に至るまで領域を広げ実績を積んできました。日本の技術を活かした安心・安全な水の提供や、民間資本を活用した社会コスト削減要請への対応を通して、世界中に広がる水問題の解決に貢献すべく、よりグローバルで多面的な水ビジネスへの挑戦を続けています。
- 民活 :公共により行われてきた事業に民間企業の持つ事業運営能力や資金力を導入し、効率化などを図る手法。
- BOOT :Build-Own-Operate-Transfer。公共との長期契約に基づきサービスを提供し、契約期限到来後は事業資産を公共へ移管する形態。
BOO :Build-Own-Operate。BOOT同様、公共と長期契約をベースにサービスを提供するが、資産は事業者が保有し続ける形態。
ブラジルにおける水事業
当社は、上下水道23社を保有するブラジル最大の民間上下水道事業会社BRK Ambiental社の株式を取得し、ブラジルにおいて水事業に参画しています。ブラジルの上下水道の普及率は低く、インフラの整備と事業運営の高度化が必要とされています。本事業は、ブラジル国内の13州・約100市町村において、約1,500万人へ上下水道サービスを提供するものです。日本の質の高い運営ノウハウと技術力提供により、ブラジルにおける上下水道普及率の拡大とオペレーション品質の向上に寄与していきます。当社では、多様な水事業を通じて培ったノウハウの活用や、知見豊富な人材を現地に派遣することなどを通じ、水事業の長期的な運営に取り組んでいきます。安定的な水インフラの提供は、地域の水環境の向上、ひいては地域社会の発展に寄与するものと考えています。
