労働安全衛生

労働安全衛生

基本方針

住友商事グループは、従業員に対して安全で衛生的で健康的な労働環境を整備しており、また、心身の健康管理は、ワークライフマネジメントの基本と考え「メリハリのある働き方」の推進を通じて、健康を維持・増進しながら高い成果を出す働き方を目指しています。

住友商事は「健全な事業活動を通じて豊かさと夢を実現する」ことを経営理念の一つに掲げており、社員をはじめ、株主、取引先、地域社会の人々など世界中の人々の経済的・精神的な豊かさと夢を実現することが企業使命であると考えています。この実現のためにも、従業員の健康の維持・増進は最も重要な要素の一つであり、今後も住友商事は健康経営の実践に向けてさまざまな取り組みを推進していきます。

なお、このような取り組みが評価され、当社は優良な健康経営を実践している法人として、経済産業省より2017年から7年連続で「健康経営優良法人~ホワイト500~」の認定を受けております。

(参考)当社の健康経営

グローバルな健康問題に対する取り組み

現在、世界ではHIV(エイズ)、結核、マラリアなどといった深刻な健康問題に悩まされている国も多く存在します。当社グループは、こうしたグローバルな健康問題に積極的に対応していくこととしています。

当社では自社グループ役職員がこのような感染症に関する正しい知識を身に付け、予防できるように、海外赴任する役職員に対しては、事前に健康診断を実施し、必要に応じて感染症の予防接種を推奨しています。また、派遣前には各種研修も実施しております。さらに、初めて海外出張に行く社員や、感染症に関する最新情報を求める社員の要求に応えるべく、2017年度よりe-Learningや安全対策セミナーを開催し、危機管理意識の醸成と正しい最新知識の浸透を図っています。対象者は当社内にとどまらず、国内外のグループ全体の役職員が参加しています。
これらの活動を通して、社員の健康で安全な海外生活をサポートしています。

従業員の関与

当社では月1回、安全衛生委員会を開催しており、従業員を代表して労働組合の役員も参加し、従業員の健康促進と働きやすい職場環境について議論しています。また、年に2回、会社側と従業員組合との間で、働き方に関する懇談会を開催し、組合員の適正な労働時間の観点から、働き方の質・量両面での改善に向け、意見交換を行っております。

労働災害の報告

当社は労働災害の防止に努めています。労働災害が発生した場合は、速やかに人事厚生部に報告される体制をとっています。
当社単体における過去3年間の社員の労働災害の件数は以下の通りです。
(労働災害件数)
2019年度:3件/ 2020年度:2件/ 2021年度:2件

危機管理体制

当社は 131拠点(日本20拠点 海外111拠点)/ 66カ国・地域(2022年4月1日現在)に拠点を持ち、連結ベースでは約75,000人の社員が世界中で働いています。国内および海外で続発する種々の事件、事故、災害などに備えるには、社員一人一人が日頃から各事態に対する危機意識と適切な安全確保策を認識しておく必要があるとともに、各組織の安全対策インフラを整備し、緊急事態に備えておく必要があります。また、緊急事態が発生した場合には、支援体制構築と早期の業務復旧を行なうことが重要であり、そのためにも、迅速な事態の把握が必要です。

当社では国内外問わずすべての緊急事態における全社報告窓口を災害・安全対策推進部に一元化し、人材・総務・法務担当役員を緊急対策本部長とすることで社長への迅速な報告を行うと同時に、必要な支援活動を早急に、全社一丸となって実施できる体制を取っております。また、大規模自然災害が発生した際は、1.人命の安全確保、2.共助、3.事業の早期復旧を当社の基本方針とし、マニュアルとして全役職員に周知しています。

具体的な取り組み事例

安心・安全な職場環境づくりといっても、当社グループは幅広い業態に携わっており、工場・建設現場・鉱山サイト・オフィスなど働く環境もさまざまであるため、それぞれの業務特性に合った安全衛生活動を実施していますが、ここでは当社がグローバルに展開している鋼管製品のHSSE(Health, Safety, Security & Environment=健康、安全、セキュリティ、環境)の取り組みについて紹介します。

HSSE管理を徹底し鋼管の安定供給を実現

鋼管関連事業では、当社は最大市場である米国でNo.1サプライヤーである他、さまざまな形でグローバルにビジネスを展開しており、「法令遵守とHSSEは、全てのビジネスに優先する」という基本方針を掲げて、グローバルのHSSE管理体制を構築しています。

この中で、労働災害および環境事故の撲滅に向けて"Zero Harm"というスローガンを掲げて取り組んできましたが、2014年以降はHSSEを企業文化として浸透・定着させることにより、「Zero Harmを当たり前のように継続していける企業になる」との意志を込めて"Beyond Zero Harm"というスローガンに発展させました。PDCAサイクルによる継続的改善をベースとしたグローバル共通のHSSEマネジメントシステムを制定、さらにはOHSAS18001/ISO45001の専門家を海外主要拠点に登用し、シンガポール、ドバイ、ロンドン、ヒューストンの世界四極に東京を加えた体制でのグローバルHSSEネットワークを構築、各地域の事業内容に応じたHSSEの管理強化に取り組んでいます。また、毎年鋼管本部長がグローバルの鋼管グループ全社員に発信する"HSSE Policy"では当社社員のみならず、顧客、請負業者、仕入先、地域社会に対する安全と健康を最優先した環境の提供をコミットしています。

HSSEマネジメントシステムを構成する12項目のひとつである「リスクマネジメント」では、世界各地の事業拠点にて各現場の作業内容や設備環境の違いなどによって生じる個別のリスクを特定、分析、評価することを規定しており、現場での効果的な対策の立案に役立っています。また、独自のICTツールを開発して、事故報告、各地での活動状況やリスクアセスメント結果、成功事例情報やノウハウの共有、e-Learningによる教育・訓練などを行っており、HSSE管理の更なるレベルアップを図っています。

今後も"Zero Harm"の実現に向けて、マネジメント体制の更なる強化を図り、鋼管製品の安定供給を通じて、トップサプライヤーとしての社会的使命を果たしていきます。

(参考)エネルギー産業向け資機材ビジネスにおけるバリューチェーン拡大

HSSEマネジメントシステムのPDCAサイクル

危機管理に対する啓発

当社では、社員一人ひとりに危機意識を醸成し、必要な知識を身に着けてもらうため、各種訓練・セミナーを実施しています。自然災害などへの対策として、東京本社においては首都直下地震を想定した緊急対策本部及び各フロアにおける初動対応訓練を毎年実施しています。また、グループ全体では、地震だけでなく、風水害や新興感染症など、複数災害に対応可能なマルチハザードBCPの整備と訓練の実施を推進しています。安全対策については、参加者の経験と習熟度合いに応じて参加できるよう4グレード/6コースに分け提供。また、拠点ごとに安全対策マニュアルの整備をサポートし、有事の際には国内外で協力して、迅速かつ有効な救援活動・支援活動を行える体制を構築しています。

さらに、世界中で発生するトラブル情報(テロ、大事故、悪天候、天災、その他)を即時にプッシュ型配信する仕組みや、緊急医療が必要となった際の支援を行うための体制を整えるなど、平時からセイフティーネットを整備する活動も行っています。

ウラン採掘における安全対策

当社グループの、ウラン鉱山開発、ウラン精鉱の生産・販売事業(※1)並びに放射性物質を含む各種原子燃料の取引は、IAEA(国際原子力機関)で定める基準に準拠した各国法規制に則り、実施しています。また、HSSE(Health, Safety, Security and Environment)を最優先事項として、作業にあたる従業員および地域住民の安全を確保することを大前提とします。具体的には、ウラン精鉱の生産・販売事業においてはプラント入出者全員に対する放射線量チェック、従業員の累計放射線量の管理、モニタリングの徹底などの対策を行います(※2)。なお、取り扱うウラン精鉱や各種原子燃料は全て民生の発電用途など平和利用目的として使用されており、安全保障貿易管理に関連する法規制を遵守します。

  1. 同事業で製造する製品は天然ウラン精鉱であり、鉱山及び精錬工場内で発生する廃棄物はこの製錬に起因して少量発生する(天然起源の)低レベル放射性廃棄物に限定され、IAEA及びカザフスタン国内法に則り適切に処理されています。尚、同事業では、2020-2021年度の2年間において、高レベル放射性廃棄物および中レベル放射性廃棄物は発生していません。また、安全・品質確保のマネジメント体制も整備されています。
  2. 従業員の最大許容被ばく量は同事業を行っているカザフスタン国法規制よりも厳しい社内基準を設定し、この基準を遵守しています。また2020-2021年度の2年間において外部への放射性物質の漏洩問題は発生していません。

診療所

当社では、企業内診療所(内科および歯科)を設置して、日々の社員の健康管理を支援しています。内科においては、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病や、感染症、肝臓・腎臓・呼吸器などの専門医を擁し、週 5 日の一般内科外来を開設しています。また、生活習慣病予備軍の社員に対して管理栄養士による栄養指導を行った上で、糖尿病などの専門医や看護師と連携して、定期的な血液検査を行うなど、継続的にサポートをしています。歯科においては、日々の治療に加え、定期歯科健康診断を年に2回実施し、必要に応じ個別の歯科口腔衛生指導も行っています。

メンタルヘルス対策

メンタルヘルスに関するセルフケア・ラインケアの研修をそれぞれ年間複数回実施しています。内容的には、自身および周囲のメンタルケアに関して必要なポイントを外部講師により網羅的に学ぶものであり、若手社員および管理職を中心に年間10講座、約450人(グループ会社含む)が受講しています。また、「なんでも相談・守秘義務厳守」を掲げるカウンセリングセンターを設置しており、年間延べ1,200人以上の社員が利用しています。年一回のストレスチェックは海外勤務者も対象に実施し、企業内診療所にあるメンタルヘルスも含めた健康関連相談窓口では海外勤務者からの相談も受け付けています。企業内診療所には心療内科専門医が週3日勤務しており、メンタル疾患の重症化予防や復職支援の取り組みを行っています。

健康診断・人間ドック費用補助

35歳未満の社員には企業内診療所での定期健康診断受診を、35歳以上の社員には外部医療機関での人間ドック受診を義務付けています。外部医療機関で受診した場合は、健康保険組合による補助(上限:定期健康診断は1万円、人間ドックは8万円)を受けることができます。

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