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特集 Ⅰ:新中期経営計画

Be the Best, Be the One 2014 収益力を徹底的に強化し、一段高いレベルの利益成長へ

 

収益力の徹底強化とは

BBBO2014では、中期経営計画ƒ(x)において課題となった「収益力の徹底強化」を実現するために、「強み・機能の追求と結集」、「中長期視点に立ったビジネスの新陳代謝の促進」に取り組んでいきます。

(1)強み・機能の追求と結集

社会のニーズが多様化・複雑化し、産業・地域のバウンダリーが低下する環境下において、収益力を強化するためには、事業部門、地域組織といった組織の枠を越えて、様々なノウハウや機能を結集して新たな価値を創造し、社会のニーズに応えていく必要があります。
BBBO2014では、各事業部門・地域組織が自らの強み・機能を徹底的に分析・追求し、組織の枠を越えて結集させ、戦略・ビジネスモデルを共有することで、当社の強みである総合力を最大限に発揮していきます(内なる総合力の発揮)。また、ビジネスを強化していくためには、内なる総合力の発揮だけではなく、外部のパートナーとの協働が不可欠です。既存パートナーとの広域・多面展開を図るとともに、フィロソフィーと戦略を共有できる新たなパートナーを開拓することで、戦略的にパートナーシップの強化を進めていきます(外との総合力の発揮)。

組織の枠を越えた戦略・ビジネスモデルの共有や協働

(2)中長期視点に立ったビジネスの新陳代謝の促進

一段高いレベルの利益成長を実現するには、各ビジネスの多様な役割を見極めながら会社全体として収益性を高める必要があり、人材・資金という限りある経営資源をいかに有効に使うかが重要になります。
BBBO2014では、以下の4つからなる企業の成長に必要な「ビジネスの新陳代謝」を従来以上にスピード感を持って実践し、収益力の徹底強化を図ります。

  • まず、現在の収益の柱となっている、当社に強みや知見のある分野を「重点分野」に設定し、将来にわたり収益の柱とするために、優先的に経営資源を投入していきます。
  • また、当社の強み・機能を活かすことができ、かつ、中長期的な視点から成長ポテンシャルが高い分野・地域を「全社育成分野/地域」として設定し、経営資源を戦略的に配分します。全社横断プロジェクトチームを組成するなど、全社レベルで中長期的な視点を持って育成していきます。
  • さらに、近年投資した資源上流ビジネスなどの大型案件に人材・ノウハウを集中的に投入し、バリューアップや着実な完工に注力していきます。
  • 一方で、収益性・成長性の乏しいビジネスの縮小・撤退や、有力パートナーとの戦略的提携を通じて、バランスシートをコントロールしながら「資産売却・削減」を進め、経営資源・人材リソースを「重点分野」「全社育成分野/地域」「既存大型案件」の強化・育成にシフトしていきます。
中長期視点に立ったビジネスの新陳代謝
新規投融資計画

BBBO2014では、過去最大となる総額7,500億円の新規投融資を計画しています。
先に説明した「重点分野」に対し6,500億円の新規投融資を見込み、「全社育成分野/地域」に対しては1,000億円の投融資枠を設けました。
BBBO2014では、この投融資計画をもとに、各事業部門において重点分野に沿った優先順位を明確にして投融資を行い、優良な案件を積み上げていきます。
同時に、各事業部門の積み上げの進捗を都度モニターしていきます。その中で、進捗の遅い事業部門があれば、予定していた配分を進捗の早い事業部門に振り替えるなど、フレキシブルに運用していきます。

 

新規投融資計画(2年合計) 新規投融資計画(2年合計)

 

重点分野
  • 資源・化学品事業部門では、北米タイトオイル開発やチリのシエラゴルダ銅鉱山開発など、開発中の案件や既存案件の拡張への投資を行います。
  • 非資源分野では、金属事業部門の北米鋼管事業、輸送機・建機事業部門の自動車バリューチェーンの拡大、環境・インフラ事業部門の海外IPP事業、メディア・生活関連事業部門のメディア事業の海外展開や不動産事業を中心に投資し、当社の特徴であるバランスの取れたポートフォリオを維持していきます。

 

全社育成分野
全社育成分野
  • 非在来型エネルギー周辺ビジネス
    北米で行っているシェールガスやタイトオイルの開発事業をベースに、LNGの輸出、石油化学品関連のバリューチェーンの構築といった展開を図ります。
    そのほかにも、鋼管ビジネスやインフラビジネスなど、非在来型エネルギー事業に関わる多くのビジネスチャンスを、当社の総合力を発揮して追求していきます。
  • アジアのリテールビジネス
    国内ビジネスを中心に培ったリテールビジネスの強み・機能と、これまでに積み上げたアジアにおけるビジネスの経験や、知見・人脈を結集させ、国内での成功モデルのアジア展開を足掛かりに、アジア諸国の旺盛な消費需要を取り込み、リテールビジネスの収益基盤拡大を図ります。
  • 食料ビジネス
    中長期的に世界の人口が増加し、食料需要が増えていく中で、世界需給の偏在を捉え、主に海外の食料ビジネスを追求していきます。
非在来型エネルギー周辺ビジネス、食料ビジネスについては、特集Ⅱをご参照ください。
全社育成地域
全社育成地域
  • インド・ブラジル・ミャンマー・トルコ・サブサハラ(6ヵ国)
    インド・ブラジルではこれまでの取り組みから一歩踏み込み、当社の強みが発揮できる分野に絞り込んで積極的に取り組んでいきます。また、ミャンマー・トルコ・サブサハラ6ヵ国(南アフリカ、ナイジェリア、アンゴラ、タンザニア、モザンビーク、ガーナ)については、まずはビジネスの発掘に取り組み、当社として注力する分野を見定めていきます。

 

資産売却・削減計画

BBBO2014では新規投融資7,500億円と同規模の7,700億円の資産売却・削減を計画しています。収益性・成長性の乏しいビジネスの縮小・撤退に加え、有力パートナーとの戦略的提携を通じて、バランスシートをコントロールしながら、資産を削減していきます。

収益力を支える経営基盤

収益力を支える経営基盤

「収益力の徹底強化」には、新規投融資や事業売却・撤退といった側面だけではなく、収益力を支える経営基盤の強化が必要となります。BBBO2014では、「事業投資マネジメント力の強化」、「海外地域組織の基盤強化」、「財務健全性の維持」及び「求められる人材の育成と活用」に取り組み、ビジネスの前線を支える経営基盤をより強固なものとしていきます。

事業投資
マネジメント力の
強化
事業を確実にバリューアップするための事業投資マネジメント力の強化 資源投資、製造業参画などにより、1件当たりのリスクアセットが大型化する傾向にあることから、大型投融資案件の早期のバリューアップ実現のため、事業投資マネジメント力を強化していきます。
海外地域組織の
基盤強化
成長市場の活力とビジネスチャンスを取り込むべく海外地域組織の基盤を強化 新興国を中心とする海外の経済成長のトレンドは今後も継続していくことが予想されることから、現地の政治・経済や商習慣に精通した海外地域組織の基盤を強化していきます。
財務健全性の維持
安定的・継続的な成長を可能にする財務健全性を維持・確保 積極的な投資を実行しながら、有利子負債に過度に依存しない健全な財務体質を維持していきます。
求められる人材の
育成と活用
現場での多様な経験を重視した人材育成を強化するとともに、グローバルベースでの人材育成・活用の施策を促進 一段高いレベルの利益成長を実現するために必要な「収益力の徹底強化」を担う人材の育成に注力します。

財務健全性の維持

当社では、経営の安全性の観点から、最大損失可能性額であるリスクアセット(RA)をコアリスクバッファー*1(RB)(株主資本)の範囲内に収めることを経営の基本としています。

詳細は、「リスク・リターン経営」をご参照ください。

それに加え、その時々の金融環境を考慮しながら、流動性の確保、適正DER(Debt-Equity Ratio=負債比率)、総資産額の規模といった視点からバランスシートを管理する「バランスシートマネジメント」を行い、過度に有利子負債に依存しない形で事業運営を行ってきました。
2012年度末には、連結総資産額7兆8,328億円に対し9,311億円の現預金を保有しており、高い流動性を確保しています。
また、株主資本は2兆528億円まで増加し、株主資本比率は26.2%、DER(ネット)は1.4倍まで改善しています。

*1 コアリスクバッファー=資本金+剰余金+ 外貨換算調整勘定ー自己株式
リスクアセットとコアリスクバッファーのバランス 株主資本比率とDER(ネット)
基礎収益キャッシュ・フロー*2(CF)モニタリングの強化とコアRBの増強

 

BBBO2014では、財務健全性を維持しながら、収益力の強化に向けて積極的な投資を計画しています。
これまで同様、有利子負債に過度に依存せずに総資産を適正レベルにマネジしながら新規投融資を行うには、その原資となる投資余力の確保が必要となります。BBBO2014では基礎収益CFを新たにモニタリングの指標とし、持分法投資先からの配当によるキャッシュの回収や、事業の入替、既存案件のバリュー実現によるキャッシュの回収に取り組み、投資余力を確保していきます。
また、RAをコアRBの範囲内に収める基本方針を堅持しながら、投資余力を確保するために、投資した事業を事業計画どおりに収益化してコアRBを増強し、財務基盤をより強固なものとしていきます。

財務健全性の維持 > 投資余力の確保
*2 基礎収益CF=基礎収益–持分法による投資利益+持分法投資先からの配当
基礎収益=(売上総利益+販売費及び一般管理費(貸倒引当金繰入額を除く)+利息収支+受取配当金)×(1–税率)+持分法による投資利益