当事業部門は、資源・エネルギー分野及び化学品の分野で事業を展開しています。
資源・エネルギー分野では、重点戦略商品である銅、石炭、鉄鉱石、原油・ガスに加え、ウラン、亜鉛、ニッケル・コバルトなどの上流権益を保有しています。トレードビジネスにおいては、炭素製品、鉄鋼原料、石油、ガスを中心に、中国・アジアなど需要の伸張が期待できる市場へのグローバル展開を行っています。
化学品分野では、化学原料、有機・無機化学品や先端電子材料などのエレクトロニクス関連のトレードに加え、レアアースの開発やEMS*事業を展開しています。また、医薬、農薬・家庭用防疫薬、ペット関連商品を扱っています。
* EMS (Electronics Manufacturing Services) :電子機器の受託製造サービス
新興国の経済成長を背景に、資源・エネルギー需要が拡大しています。資金力のある「資源メジャー」による寡占化、新興国の自主権益確保の動きが強まっており、資源権益獲得競争はますます激しさを増しています。
また、非在来型エネルギー開発が活発化し、特に北米でのシェールガス開発が進んでいます。
重点戦略商品を中心として、時間軸 (生産開始の時期や鉱山寿命) 、地域軸 (カントリーリスクの分散) を考慮し、資源権益ポートフォリオを慎重かつ着実に拡充していきます。
当社が100%権益を保有するボリビアのサンクリストバル銀・亜鉛・鉛鉱山の操業を通じて、当社に鉱山経営ノウハウが蓄積され、多くの人材が育っています。
米国の天然ガス事業においては、日本企業として初めて参画したシェールガス開発と同国内で展開するガストレード会社の機能を合わせ、上流から流通・液化・LNG輸出までのガス・バリューチェーンの構築に取り組んでいきます。
大型資源プロジェクトの着実な実行に注力しています。
マダガスカルのアンバトビー・ニッケルプロジェクトについては、2012年6月にニッケルメタルの生産を開始し、2013年中のフル操業を目指しています。
2010年に出資したブラジルのMUSA鉄鉱山事業では、2015年の年産29百万トン (当社持分30%) への拡張に向け、順調に進捗しています。
前述のサンクリストバル鉱山では、鉱量増加に向けた探鉱を継続的に実施し、事業のバリューアップを図っています。
また、当社では資源権益ポートフォリオの厚みを増すため、新規権益の獲得にも注力しています。
銅については、チリのシエラゴルダ銅鉱山開発プロジェクトに参画しました。鉱山寿命は20年で、2014年より生産を開始する予定です。
石炭については、豪州での既存権益の拡張を進めるとともに、新規案件の取得に努めています。
天然ガスについては、米国のエネルギー供給会社Dominion Cove Point LNGと、天然ガスの精製・液化及びLNG輸出につき協議を開始しました。
新興国の人口増加と経済発展に伴い食糧需要が伸びていく中で、農作物の品質や収穫量を向上させる農薬などの需要も、増加が見込まれます。また、省エネ・環境に配慮した高付加価値商品のための高機能素材の供給、特に次世代自動車に不可欠なレアアースの調達不安への対応が求められています。
当社では農薬事業を1990年代から世界的に展開しており、今後も新たな有力パートナーと提携することで、展開エリアを拡大していきます。
また、カザフスタンのウラン採掘事業とのシナジーを発揮し、ウラン残渣からレアアースを回収する事業を進めています。
2011年度は、ルーマニアの農業資材販社Alcedo S.R.L.に出資し、客先である農家に、農薬だけでなく病害防除技術やファイナンスを提供しています。また、西・南欧に強みを持つイタリアの大手農薬製造販売会社Sipcam Europe S.p.A.と資本提携し、当社の強みである東欧と合わせて欧州での面展開を図り、農薬・種子・肥料の開発や販売を強化しています。
レアアースについては、国内での安定供給開始を視野にカザフスタンにおいて2012年度に生産を始める一方、新たな鉱山開発を検討しています。