全てのステークホルダーの皆様へ

The Way for Sumitomo Corporation’s Next 100 Years 「100年続く会社に」~安定的で持続的な成長を目指して~ 住友商事には100年近い歴史があります。次の100年を見据えながら これからも安定的で持続的な成長を目指します。

「Be the Best, Be the One」住友商事は、どこにも真似のできないような価値を創造し、社会に認められる会社でありたいと思います。

社長就任にあたって

代表取締役社長への就任にあたり、これから住友商事をどのような会社にしていきたいかについて、私の想いを述べたいと思います。

住友商事を含む住友グループには400年の歴史があり、住友商事もまた、100年近く続いている会社です。昨今、変化の激しい時代を迎え、また世界規模で事業が広がる中、経営の舵取りは難しさを増していますが、私はこれからも、住友商事を安定的で持続的な成長が果たせる会社にしたいと考えています。

そのためには、次の3つの視点で取り組んでいきたいと思います。

1つ目は、「住友400年の事業精神」や「住友商事グループの経営理念」に立ち返るということです。例えば「住友の事業精神」にある「自利利他公私一如」は、「住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、社会を利するほどの事業でなければならない。」というものですが、これは当社ビジネスのあり方そのものを表しているように思います。そして、こういった精神に則って、事業活動に取り組むことが「住友商事らしさ」であり、「住友商事の強み」につながると考えます。

2つ目は、長期的な視点に立つということです。そのためには、まず将来の「あるべき姿」をしっかりと描き、それを見据えることが重要です。住友商事では2年ごとに中期経営計画を策定しています。まずは、現計画であるƒ(x)で掲げた目標の完遂に力を注ぎますが、その次の中期経営計画の策定にあたっては、中長期的な「あるべき姿」を目標として描き、そこから今やるべきことを導き出したいと思います。

3つ目は、総合商社は人が全てであるということです。私は、社員一人ひとりの能力や経験の総和こそが、住友商事の価値そのものだと考えています。その価値の向上のためには、人材育成に力を注ぐとともに、社員が活き活きと楽しみながら仕事に取り組めるような会社にしたいと思います。

代表取締役社長への就任に際し、私は “Be the Best, Be the One” というスローガンを掲げました。これは、住友商事を「どこにも真似のできないような価値を創造し、社会に認められる会社」にしたいという気持ちを込めたもので、「住友商事らしさ」「住友商事ならでは」の強みを発揮しながら、社員一人ひとりが高い志と誇りを持って仕事に取り組むことで、全てのステークホルダーから「さすが住友商事」といわれるような会社を目指すためのスローガンです。役職員一人ひとりが “Be the Best, Be the One” という気持ちを持つことで、安定的で持続的な成長への道が開けると考えています。

経営の「3つの視点」1.「住友の事業精神」「経営理念」に立ち返る 2.長期的な視点に立つ 3.社員の能力や経験の総和こそが価値

「住友商事らしさ、住友商事ならではの強み」住友商事には、価値判断の拠り所となる「住友の事業精神」「経営理念」があります。これを「経営の礎」として、「収益の拡大」と「経営の安定」のバランスを意識しながら、持続的な成長を目指します。

「住友商事らしく」ある

「住友商事らしさ」は、住友商事の原点である「住友の事業精神」「経営理念」にかなう経営活動や事業活動を行うことから生まれます。私たちの全ての活動は「住友商事らしく」ありたいと思っています。

価値判断の拠り所となる「経営の礎」

住友商事の根底に流れているものは、いつの時代でも、目の前のつかの間の変化に惑わされることなく、「信用・確実」「浮利を追わず」「公利公益」に重きを置きつつも、「進取の精神」を持って、変化を先取りしていくという住友400年の事業精神です。住友商事では、この事業精神と、これを平易かつ体系的に整理した住友商事グループの経営理念に基づき、「常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く社会に貢献するグローバルな企業グループ」を目指しています。これが当社の「経営の礎」であり、価値判断の拠り所です。 >>「経営の礎」についての詳細はこちら

「収益の拡大」と「経営の安定」のバランスを意識した経営

また、こうした「経営の礎」は、「収益の拡大」と「経営の安定」のバランスを取ることの大切さを私たちに教えています。これまでの住友商事の経営においても、やみくもに収益拡大のための取り組みに注力してきた訳ではありません。外部環境と自分が置かれている状態を見極めたうえで、その時々で持続的な成長を続けるためにはどうすれば良いのかを考え、舵を取ってきました。

今後、私自身が、この経営の舵取りを行っていくうえでも、特にこの考え方を大切にしたいと思います。 >>「収益の拡大」についての詳細はこちら

「住友商事ならでは」の強み

「住友商事ならでは」の強みは、これまで築いてきた「経営の礎」のうえに、収益を拡大させ、経営を安定させる力がしっかりと備わっているところにあると思います。こういった強みを今後も発揮しながら、安定的で持続的に成長する会社に導いていきます。

収益を拡大する力

住友商事は、これまで構築してきた事業基盤や機能を活用して、変化する事業環境や顧客ニーズを捉え、ビジネスを創出し深化させています。これらの取り組みを通じて社会に新たな価値を提供することで、収益の拡大を実現しています。

経営を安定させる力

一方、「経営の安定」を支えているのは、住友商事の「高度なリスクマネジメント」です。当社はこれまで、その時々の外部環境や顧客のビジネスモデルの変化に対応しながら、リスクマネジメントの高度化に努めてきました。そして、その根源には「リスク・リターン経営」の考え方があります。

これは、リスクに応じたリターンを得るという考え方、そしてリスクアセットをリスクバッファーである株主資本の範囲内に抑えることで、過大なリスクテイクを回避しようとする考え方です。この考え方は極めて重要であり、今後もこれを軸に経営の安定に努めていきます。

収益の拡大に向けた「3つの方向性」

これまで述べてきたとおり、住友商事の収益拡大は「顧客のニーズを捉えながら、新しい価値を創造していく」ことが原動力となります。こうした原動力となる3つの方向性を具体的にご紹介します。

まず1つ目は、「グローバル展開」の加速です。経済のグローバル化は急速に進行しており、また世界経済の重心は、先進国から新興国に移りつつあります。こうした変化をしっかりと捉えて成長を取り込んでいくことは、当社グループの成長にとって必要不可欠だと考えています。

2つ目は、「ビジネスモデルの高度化・転換」の更なる推進です。様々な技術革新や経済のグローバル化が進む中で、産業の再編や新しい産業の台頭などの「産業構造の変化」が待ったなしで進んでいます。こういった外部環境を背景に、顧客が総合商社である住友商事に対して求める機能も、ますます多様化・高度化していく様相を呈しています。こうした顧客のニーズにしっかりと応えていくためにも、「ビジネスモデルの高度化・転換」を着実に進めていくことが大切だと考えます。

収益の拡大に向けた「3つの方向性」1.「グローバル展開」の加速 2.「ビジネスモデルの高度化・転換」の推進 3.「パートナーシップ戦略」の深化

 

住友商事の強みと収益の拡大に向けた方向性 住友商事の強みと収益の拡大に向けた方向性

そして3つ目は、「パートナーシップ戦略」の深化です。世界には、独自の強みを持つ企業や、その地域の特性などに精通している企業が多く存在しています。その中でも特に、お互いの理念、志や考え方といった価値観を共有できるパートナーと、長期にわたって信頼関係を構築していくことが重要です。こうした信頼関係の構築が、「グローバル展開」のさらなる加速や、「ビジネスモデルの高度化・転換」のさらなる推進にも繋がっていくと思います。

住友商事を未来永劫続く会社にする

私はこれまで、住友商事の中で多くのビジネスの現場に携わってきました。その中で強く感じたのは、「企業の論理だけでビジネスが継続できるものではない」ということです。企業の持続的な成長のためには、顧客をはじめとする様々なステークホルダーの利害を尊重し、彼らと良好な関係を築いていく必要があります。この点において、「住友の事業精神」「経営理念」を経営の礎とする住友商事には、大きなアドバンテージがあると思っています。

また、住友商事が今後、総合商社として収益を拡大させていくための原動力は、すでに述べたとおり、新しい価値を創造していく力です。これらの力を蓄えていくためには、組織や会社の枠組みを越えた「総合力の深化」が必要であり、それを担うための人材の育成が、ますます重要となります。今後は「組織や会社の枠組みを越え、人の気持ちになって世を動かせる人」を育成することに、時間と経営資源を費やしたいと思っています。

住友商事を100年、そして未来永劫続く会社にする ̶ これが私の想いです。そのためにはまず、中長期的な「あるべき姿」を描くことになります。

「あるべき姿」というものは、事業の進捗によって「逃げ水」のように、またその先が見えてくるものです。「あるべき姿」の実現に向けて柔軟に軌道修正を続けていくことで、安定的、持続的に成長できる会社になっていくのだと思っています。
住友商事は今後も、それぞれの事業のバランスに配慮しながら、一つひとつの事業の柱を太く、大きくすることで持続的な成長を目指します。今後の住友商事グループの取り組みに、どうぞご期待ください。

2012年8月 代表取締役社長 中村邦晴

 

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