住友商事グループが持続的に成長していくためには、事業戦略と人材戦略を一体的に取り進め、グローバル展開に対応する要員の確保・育成・活用を中長期的観点から戦略的・計画的に推進することが重要です。中期経営計画ƒ(x)では、前中期経営計画「FOCUS’10」の基本方針・諸施策を踏襲しながら、全てのパートナーとともに地域・世代・組織を越えた成長を目指します。
当社では、ビジネスのグローバル展開に対応する要員の確保・育成を強化するために、海外組織や事業会社の現地採用社員の登用と育成にも注力しており、その一環として、海外の現地採用社員などを対象とした階層別(実務担当者、マネージャー、経営幹部)研修を実施しています。この研修では、年間300名近くの世界各地の現地採用社員を東京本社に集め、住友の事業精神や住友商事グループの経営理念の再確認を通じた、住友商事グループの一員としてのDNAの共有や一体感の向上、経営方針や経営戦略に関する情報共有、各種講義によるスキルアップ、さらには本社社員も参加する合同プログラムを実施しています。
本社及び海外組織における基幹要員の把握と共有を目的として、現地採用社員の育成・登用計画等を整備し、データベースを構築することで人材の「見える化」を行います。各拠点における派遣員及び現地採用社員の戦略的人員配置、地域や組織を越えたグローバルベースでの活躍に向けた基盤づくりに取り組んでいます。
[ 住友商事グローバル人材開発センター ]2012年3月、東京都中央区銀座に当社の新たな研修所が竣工しました。研修所新設の目的は「グローバル人材育成拠点」と「戦略的な多目的施設」としての活用です。前者は、グローバルベースでのさらなる人材育成の強化と、多様な人材の活躍促進の拠点としての活用です。後者は、本社機能を補完する多目的施設としての活用です。住友商事グループの社員同士が職場や国を越えて集い、将来のビジョンや戦略を徹底的に議論する場として活用していきます。
当社では自主管理・自己責任原則が徹底されており、各組織主導での人材マネジメントが戦略的に実行されています。また、各組織では、中長期的に事業戦略上必要となる人材を確保するため、そのニーズに応じて主体的に人材育成を図っています。ƒ(x)ではこれを継続するとともに、組織を越えた全社レベルでの戦略的な人材配置を推進します。
事業部門とコーポレート部門双方の業務を経験することにより、現場での経験のみならず全社的視点や経営的視点の双方を兼ね備えた人材の育成を目的として、事業部門–コーポレート部門間の育成的ローテーションを実施しています。ƒ(x)では、事業部門横断的なビジネスの推進や事業経営を担う人材の育成を目指し、事業部門間の育成的ローテーションも実施しています。幅広く多様な経験・価値観を持った人材の育成を通じて、各組織での人材の厚みを増し、機動的な人材配置につなげていきます。
各部門・本部の中長期的な成長戦略の実現に必要な人材の確保・育成をサポートすることを目的に、2010年度より人材育成促進ファンドを導入しました。ファンドを活用した海外研修生の積極的な派遣を通じて、グローバルに活躍できる人材を戦略的・計画的に育成しています。特に、新興国の成長を取り込むことが将来にわたる住友商事グループの経営課題であると考え、中国語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語などの語学要員を増やし、成長市場攻略のための人材として育成しています。また、最新の経営リテラシーの習得とエグゼクティブ層との交流を目的に、主に管理職層を対象として海外の短期エグゼクティブプログラムへの派遣も積極的に推進するとともに、海外組織の現地採用社員の本社への受け入れなど、中長期的観点からの人材投資を積極的に実施しています。
[ 住商ビジネスカレッジを通じたグローバル人材育成 ]企業内大学である住商ビジネスカレッジ(SBC)では、年間約300の講座を開催しています。住友商事グループの経営理念の源流である「住友の事業精神」を体感・再確認することを目的とした「別子銅山訪問」をはじめとして、体系的なリーダーシップ開発や全社員共通に求められる基礎研修プログラム、さらには高度な専門知識の習得を目的とした多種多様なプログラムを提供しています。「与えられる育成機会」ではなく「自ら学びとる成長機会」というコンセプトのもと、自ら考え行動し成果につなげていく人材を支援する仕組みとして、一層の充実を図ります。
各組織での事業戦略と要員の状況に応じて人材の確保と事業部門間のローテーションも含めた全社レベルでの人材配置を進めていきます。人材確保の観点では、新卒・キャリア採用の強化と合わせて事業会社・地域組織との連携など人材確保策の多様化に取り組みます。また、部長や事業会社の社長など主管者ポストについてサクセッションプランを策定するとともに、個々人の強み・適性など要員配置のための人材データを再整備することで、各組織での計画的な人材育成と配置を促進します。