住友商事グループは、経営理念の冒頭で「私たちは、常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く社会に貢献するグローバルな企業グループを目指します」というビジョンを掲げています。このビジョンを踏まえて責任ある企業活動を進めること、即ち、経営理念の実践こそが住友商事グループにとってのCSRにほかなりません。ステークホルダーとの関わり合いを深めながら、健全な事業活動と社会貢献活動を通じて、企業の立場から社会的課題の解決に向けて取り組み、持続可能な社会、即ち、全てのステークホルダーの豊かさと夢を実現することが、住友商事グループのCSRの基本であると考えています。
住友商事グループは、CSRに関する国際的なイニシアティブであり、住友商事グループの経営理念と共通の価値観を提唱する国連グローバル・コンパクト10原則を支持しており、常に10原則の価値観を企業活動に照らして改善点を見極め、より一層の企業価値向上に向けて取り組んでいます。 * 住友商事は、グローバル・コンパクト10原則が準拠する世界人権宣言を支持しています。
CSRの取り組みについては「社会と環境に関するレポート」をご覧ください。当社のWebサイトにも掲載しています。
社会と環境に関するレポート
国際社会が直面する地球環境問題や貧困・人権問題などは、グローバル規模で多様なバリューチェーンを構築する住友商事グループにとっても共通の社会的課題であり、サプライチェーンCSRの実践により、その改善・解決に向けて取り組んでいきます。
住友商事グループは、常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く社会に貢献するグローバルな企業グループを目指し、経営理念において、健全な事業を通じて豊かさと夢を実現することを企業使命として定め、人間尊重を基本とし、信用を重んじ確実を旨とする経営姿勢を堅持しています。
住友商事グループはこの経営理念に基づき、持続可能なより良い社会の実現に向けて、ここに「サプライチェーンCSR行動指針」を定め、住友商事グループのコア・コンピタンスである総合力を支えるビジネス基盤のひとつであるグローバルリレーションを一層強固なものとするために、サプライヤーをはじめとする取引先や事業パートナーに対し、本指針への賛同と理解、実践を求め、関与するバリューチェーンにおいて、取引先や事業パートナーとともに社会的責任を果たしていきます。
住友商事グループでは、「安全第一」を掲げ、事業展開を行っています。国内外での事件、事故、災害などに備えるため、役職員一人ひとりが日頃から危機意識を持ち、適切な安全確保策を認識し、行動に移すための啓蒙活動と、安全対策インフラの整備に取り組んでいます。
その取り組みの一つとして、製造・加工・倉庫業に関わる事業会社での労働災害も“ゼロ”を目指しており、各事業部門では、安全対策推進委員会を設置し、国内外で展開している事業会社とともに安全管理と労働災害防止の徹底に努めています。
金属事業部門では、全ての事業会社において、基本書類として「安全マニュアル」「安全衛生管理規定」「作業手順書」の整備を完了し、従業員一人ひとりに対する安全管理に関する教育を徹底することで、未然に事故を防止する組織体制づくりに努めています。
世界各地で鋼管関連事業を展開する鋼管本部においては、世界横断的な安全管理ネットワークを強化することに注力しています。現在活動中の安全管理専門家に加え、欧州、北米において新規に専門家のマネージャーを雇い入れ、全世界の安全管理システムの標準化、最適な運営管理とその展開を促進すべく取り組んでおり、安全情報の組織内の共有化、地域間のコミュニケーションも著しく向上しています。
各地のSCMプロジェクトや事業会社のマネジメント・従業員がこの強化されたネットワークを活用することで、より効果的に安全管理の改善が進んでいます。2011年度は、ネットワークのメンバーにより、北米、欧州、中東、極東など20以上の地域を訪問し、安全管理状況の把握、改善に取り組みました。
住友商事グループは、グローバル企業として、環境問題が地球規模の広がりを持つとともに、次世代にも及ぶ長期的な問題であることを認識し、その環境方針において、「健全な事業活動を通じて、社会・経済の発展と地球環境との調和を目指す『持続可能な発展』の実現に向け努力する」ことを基本理念としています。
当社は2010年9月、日産自動車(株)と共同で、リチウムイオンバッテリーの2次利用における実証実験と新しい蓄電池マーケットの創出を目的として、フォーアールエナジー(株)を設立しました。社名のフォーアール(4R)は、再利用(Reuse)・再製品化(Refabricate)・再販売(Resell)・リサイクル(Recycle)の頭文字から付けられたものです。
日産の電気自動車「リーフ」に搭載されるリチウムイオンバッテリーは、5年後でも80%程度は残存容量があるとされており、2次利用は十分に可能です。4R社は交換後のバッテリーを回収し、再び製品にする「仕組みづくり」を進めています。また、昨年の東日本大震災以降、蓄電池への関心が高まる中、4R社も家庭用の蓄電 システムを開発しました。この蓄電システムは、一般家庭の約1日分の電力を蓄えることができます。深夜に蓄えた電力を日中に利用するなどの経済的なメリットが期待できるほか、災害などによる停電時には、バックアップとしての機能を発揮します。4R社は、開発と並行して販売準備を進めてきましたが、住友林業(株)が今年の秋より販売開始予定のスマートハウスに採用されることが決まりました。
さらに、当社は2012年2月、日産自動車、NEC、昭和シェル石油(株)と共同で、電気自動車用の充電サービスの事業性検証に向けて、ジャパンチャージネットワーク株式会社を設立しました。充電サービス事業とは、電気自動車やプラグインハイブリッド車のユーザーが外出先などで安心して安全に充電することができる、電気自動車の普及には不可欠なインフラサービスです。同社は、会員の認証や充電の課金管理のほか、充電器の利用状況なども把握できる充電コントローラー(認証課金コントローラー)を使って各地に設置された充電器をネットワーク化し、国内初の本格的な会員制充電サービスとして全国展開していく計画です。
当社は、これからも電池を活用したビジネスを推進し、低炭素社会の実現に貢献していきたいと考えています。
住友商事グループは、社会の持続的発展を担う次世代人材の育成支援、並びに、事業活動の場である内外地域社会への貢献を軸として、社会貢献活動を推進しています。また、企業市民として、様々な活動に参加しています。
東日本大震災発生から1年余りが経ち、被災地支援の形も徐々に変化してきました。当社は、未曾有の被害からの復興には長い時間を要すると考え、「息の長い復興支援」という方針に基づき、被災地のニーズに合った取り組みを進めています。
震災発生直後、当社は義援金拠出・救援物資の提供などの緊急支援を行いました。その後は、2011年8月から11月の4ヵ月にわたり、継続的に延べ約160人の社員が震災復興ボランティア・プログラムに参加するなど、その時々の被災地のニーズに沿った形で支援を行ってきました。このような取り組みと並行して、被災地のニーズを把握するための独自調査を行いました。その結果、被災地で高校生から大学生、大学院生というユース世代が復興に参加するための支援が少ないことが判明しました。そこで当社は、特定非営利活動法人市民社会創造ファンドと協働し、被災地の次世代を担う若者を応援する「住友商事 東日本再生ユースチャレンジ・プログラム」を立ち上げました。
このプログラムは、2012年度から5年間にわたり、年間総額最大1億円の助成を行い、被災された方々の生活再建を通じた地域再生プロセスにユース世代の参加を呼び込み、復興を促進するとともに、将来を担うユース世代の成長を支援するものです。プログラムは「活動・研究助成(2012年6月1日助成開始)」と、「インターンシップ奨励プログラム(2012年7月1日活動開始)」から構成されています。「活動・研究助成」はユース世代がチーム、サークル、グループで取り組む、あるいはユース世代を主体とするNPOなどが取り組む地域再生へ向けた活動や調査研究を支援するものです。今年度はすでに、ユースがそれぞれの独自性を活かした「まちづくりの提言」「地域コミュニティの再生」「次のユース世代である子どもたちへの教育支援」などの、ユニークで若者らしい情熱を感じさせる活動に対する助成を進めています。一方「インターンシップ奨励プログラム」は、ユース世代に被災地で活動するNPOなどでのインターンシップを促すものです。このプログラムに参加するユースは一様に被災地復興に対する使命感・責任感を強く持ち、それぞれの活動に一所懸命取り組んでいます。
住友商事は被災地の一日も早い復興・再生を願い、地域再生に向けた活動に参加するユース世代の応援を通じて、息の長い復興支援に取り組んでいきます。