当事業部門は、自動車、船舶、航空機、鉄道などの輸送機及び建設機械について川上・川中・川下の各分野に事業を展開しています。自動車分野においては、製造、卸売、小売・金融サービスにわたるバリューチェーンをグローバルに展開しています。船舶・航空宇宙・車輌分野では、商社業界で唯一造船業に出資し、自社船事業も展開しています。航空機関連では、民間航空機関連機器の輸出入、防衛関連機器の輸入を行い、さらに、鉄道・交通関連システム及び車輌の輸出に強みがあります。建設機械分野では商社業界トップの取扱高を誇り、建機販売事業のグローバル展開に加えて、総合鉱山機械サービス事業の拡大やレンタル事業などのバリューチェーンを構築するとともに、農機販売事業も展開しています。
新興国ではモータリゼーションの進展による持続的な需要拡大が期待され、成熟市場である先進国でも、ビジネスモデルの高度化・転換や事業の戦略的共同化により、新たな成長機会が見込まれます。
金融事業では、国内でオートリース業界最大のグループとなった住友三井オートサービス (株) を有しており、日立キャピタルグループと戦略的共同事業を推進していきます。インドネシアにおける自動車・二輪ファイナンス事業では、さらなる質の改善に舵を切りつつ、強固な顧客基盤と事業インフラをもとに周辺事業へも展開を図り、強みを伸ばしていきます。
製造事業では、自動車部品製造子会社 (株) キリウが、中国やインド、メキシコ、さらにはタイでも工場のラインを増設し、自動車メーカーの部品需要の高まりに応えていきます。インドでは、いすゞ自動車 (株) との提携強化により、商用車製造のさらなる拡大を目指すなど、新興国での完成車の製造事業にも注力していきます。
販売事業では、今後急速な経済発展が見込まれるリビアやイラク、ミャンマーなどの新興国にも注力していきます。
マツダ (株) と合弁でメキシコに自動車製造事業会社を設立し、工場建設に着手しました。今後需要が高まる低燃費の小型車を、北中南米全域に供給していきます。
海運市況は低迷していますが、環境・省エネ型船舶の開発が進み、優良な船舶資産の購入の可能性が広がりつつあります。中長期的な民間航空機需要の増加や、モーダルシフトの進展による世界的な鉄道需要の増大も見込まれます。
船舶事業では、 (株) 大島造船所に出資するなどの事業基盤を拡大する一方、以前からの広範な顧客基盤を強みとしてトレードを拡充し、保有船事業を一層強化することにより収益力のあるポートフォリオを維持・拡充していきます。
航空分野では、ファイナンス力とトレードで培った広範な関係先ネットワークを活用して新しいビジネスモデルの構築に努めます。車輌事業では、都市鉄道建設で蓄積したノウハウをもとに、北米や東南アジアでの大型受注を目指します。
日本車輌製造 (株) とともに、米国・ヴァージニア州在鉄道公社向けに2階建て客車50両を受注しました。本件を含めた北米向け鉄道車輌納入数は、累計で1,000両を超えています。
新興国では、インフラ整備の増大により建機需要の増加が、また資源国では、活発な資源開発により鉱山機械需要の拡大が見込まれます。
カナダでの事業は、過去の多角化と鉱山事業などへの積極投資が功を奏し、最大の収益の柱になっています。中国、ロシアでも販売代理店の事業基盤が強化され、カナダに次ぐ柱となっています。さらに中東やアジアで事業化を進め、新興国での収益基盤の拡大を図ります。モンゴルやロシアなどでは、顧客密着型の総合鉱山機械事業を展開していきます。「所有」より「借りる」が主流になりつつある先進国では、レンタル事業を推進します。
中国において、長春・西安・武漢・成都・杭州の販売代理店を子会社化するとともに、中国企業が開発する海外の鉱山向けに大型鉱山機械などを受注しました。また、石炭開発が進むロシア・ケメロボ州で、販売子会社がクズバス支店を開設しました。