特集2 BBBO2017における取り組み事例

  • 1 組織間連携の強化により、社会インフラ基盤を構築─川上から川下まで一貫した電力サプライチェーンを提供する環境・インフラ事業部門×メディア・生活関連事業部門
  • 2 アジアにおけるリテールビジネスの拡大─培った知見・ノウハウを活かし、新興国の発展に貢献する全社育成分野・地域での取り組み

1組織間連携の強化により、社会インフラ基盤を構築
―川上から川下まで一貫した電力サプライチェーンを提供する
環境・インフラ事業部門 × メディア・生活関連事業部門

中長期的に高い成長が見込まれる産業分野に対して、従来以上に組織間連携を図り、総合力を活かした取り組みを推進していきます。

次ページからは、環境・インフラ事業部門の発電事業と、メディア・生活関連事業部門のケーブルテレビ事業と住宅事業が連携し、サービスを開始した「J:COM電力」の取り組みを紹介します。

市場環境

日本の電気事業においては、高コスト構造に関する指摘を踏まえて、段階的に電気事業制度改革が実施され、新規事業者の参入が促されている状況です。この制度改革の一部である、電力の小売自由化については、2000年から参入規制が順次撤廃され、現在までに50kW以上の大口需要家向けに、全電力量の約60%にあたる部分が自由化されています。

2016年4月には、電力小売事業が全面自由化され、これまで規制のあった、戸建及び小規模マンションなどの小口需要家に対しても電力の販売が可能となります。

電力小売制度自由化の沿革

電気事業制度改革におけるサミットエナジー及びJ:COMの取り組み

当社100%出資のサミットエナジー(株)は日本国内で発電事業及び電力小売事業に取り組んでおり、国内3カ所にある自社電源の火力発電所に加え、他の発電事業者や自家発電設備所有者、電力取引市場から調達した電力をベストミックスして、需要家へ供給しています。さらに、2017年の完工を目指し、新たに日本最大級のバイオマス火力発電所を建設中です。

一方、当社が50%出資するケーブルテレビ局統括運営会社である(株)ジュピターテレコム(J:COM)は、上述の制度改革の流れを捉え、中・大規模マンション向けの電力小売事業へ参入しました。J:COMは、関東・関西・札幌・仙台・九州の国内5エリアで事業を展開しており、同エリアのうち、ケーブルが敷設されているなど、サービス提供のために必要なインフラが整っている世帯数は約1,900万世帯に上ります。その中でも、同社のサービス加入世帯数は、業界トップシェアの約500万世帯(2015年3月時点)を誇り、顧客の生活に根付いたサービスを提供しています。

自社電源及び外部調達により電源を確保できるサミットエナジーと、地域や家庭に密着するケーブルテレビ事業という特性を活かして、“どこでも、楽しめる、使える、頼れる”「J:COM Everywhere」をキーワードに、顧客にとって必要不可欠な存在となることを目指しているJ:COMが連携して実現したのが、電力小売事業への取り組みでした。

半田バイオマス火力発電所(愛知県)半田バイオマス火力発電所(愛知県)

国内CATVトップシェアの加入世帯数を誇るJ:COM国内CATVトップシェアの加入世帯数を誇るJ:COM

J:COM電力の発足

自社電源を持ち、電力調達能力を有するサミットエナジーと、これまでに培った膨大な顧客データベース、各世帯への課金システムや小売ノウハウを有するJ:COMが連携して、2012年12月、マンション向け電力一括受電サービスである「J:COM電力」のサービスを開始しました。「J:COM電力」は、サミットエナジーが調達・需給調整した電力をJ:COMが変圧し、中・大規模のマンションの各家庭へ販売するサービスです。電気料金は地域電力会社よりも安価に設定され、入居者は、インターネットなどの既存サービスとセット契約をすることで、さらに電力を安価に利用できます。

現在、J:COMサービスエリアにおいて、電力小売(マンション向け電力一括受電)サービスが提供可能な中・大規模マンションなどの大口需要家の世帯数は全国で約100万世帯ですが、電力小売全面自由化により、J:COMサービスエリア内の戸建及び小規模マンションにも、電力の小売が可能となります。新規需要家を含めたサービス提供可能世帯数は約1,900万世帯にも上り、市場が飛躍的に拡大することが見込まれています。

J:COMサービスエリア内におけるサービス提供可能世帯数内訳

「J:COM電力」は、当社の分譲マンション事業との協業も行っています。例えば、当社の分譲マンション「クラッシィハウス上北沢」では、商品企画、設計段階から共同検討することにより、「J:COM電力」に加え、J:COMによる電力使用量の“見える化”等ができる「エコレポ」も導入しています。J:COMにとっては市場の拡大、また、マンション事業にとっては、J:COMが提供するインターネット及びケーブルテレビサービスと併せた顧客満足度の向上というシナジーが発揮されます。今後、J:COMは、当社マンション事業との連携を強化し、さらなるサービスの拡大を目指します。

クラッシィハウス上北沢クラッシィハウス上北沢

社会インフラ基盤構築に向けて

J:COMは、「J:COM Everywhere」構想のもと、放送・通信サービスを核として、地域の顧客の生活に役立つ多様なサービスを“ワンストップ”で提供することを目指しています。生活に欠かせないライフラインである「電力」の提供により、これまで以上に顧客との接点を強化し、地域・家庭に密着したサービスを展開していきます。

当社はこのように、中長期的に成長が見込まれる分野において、グループ内の関係組織との連携を深めながら総合力を活かした取り組みを推進し、生活基盤としての社会インフラ構築に貢献していきます。

2アジアにおけるリテールビジネスの拡大
―培った知見・ノウハウを活かし、新興国の発展に貢献する
全社育成分野・地域での取り組み

成長ポテンシャルの高い分野・地域のビジネスを、中長期視点から育成する仕組みとして、全社育成分野・地域でのこれまでの取り組みを、引き続き強化していきます。

30ページからは、タイでのテレビ通販事業、インドネシアでの自動車金融事業及び商業銀行への出資、ミャンマーでの通信事業といったアジア諸国における、リテールビジネスの取り組みを紹介します。

ミャンマー

タイ

インドネシア