2019年02月13日
住友商事株式会社
調剤オペレーション自動化の実証実験開始について
住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員CEO:兵頭誠之、以下「住友商事」)は、調剤薬局事業における基盤拡大の布石として、2019年2月から調剤併設型ドラッグストア「トモズ」の松戸新田店にて、調剤業務の効率化に向けた調剤オペレーション自動化の実証実験(以下「本実験」)を開始します。
我が国の社会保障制度は、高齢化による歳出拡大を背景に、国民負担の増加抑制と制度の安定が求められています。国民医療費は2017年度の42.2兆円から2025年度には61兆円に拡大することが見込まれ、調剤医療費も、2017年度の7.7兆円から2025年度にかけて増大することが予想されます。政府は、持続可能な社会保障制度を確立するために地域包括ケアシステムを推進しており、薬剤師に対しては在宅医療の一端を担う存在としてより一層患者様への対面業務(服薬指導等)に従事することを期待しています。また、生産年齢人口の減少により、薬剤師を含む医療従事者不足や個人薬局を中心とした後継者問題が顕在化しており、政府はICT・AI・ロボット等を活用した業務効率化を推進しています。
住友商事は、このような背景のもと、今後、他薬局との積極的な提携を取り進め、社会的に不可欠なインフラである薬局という調剤サービスの提供拠点を拡大していきます。また、調剤業務の効率化は、調剤サービスを維持・発展させていく上で必要不可欠なものとの認識から、住友商事の事業会社であり、首都圏を中心に172店舗(2018年12月末現在)を展開する「トモズ」の松戸新田店にて本実験を開始します。
本実験では、シロップ・粉薬・軟膏など薬の形状に合わせた各種調剤機器に加え、一包化(注1)を行う機器等を導入することにより、薬剤師の監督のもと、調製(注2)・収集業務の約9割を自動化・半自動化します。特定の薬に対応した機器を設置する薬局は近年増えていますが、本実験のように大規模に自動化・半自動化を図るのは国内初の試みとなります。本自動化により薬剤師の業務を効率化できる見込みであり、薬剤師はより付加価値の高い患者様との対面業務に注力することが可能となります。また、本実験を通じて、分包センター(注3)をはじめとした欧米諸国の新たな事業モデルに対応できるよう知見を集積していきます。
住友商事は、約25年間にわたり展開してきた「トモズ」や、2017年に出資した訪問看護事業者向け業務支援システム「iBow」(アイボウ)の開発・運営を行う株式会社eWeLL、医療・介護事業者への経営支援を行う株式会社地域ヘルスケア連携基盤などと協業し、ヘルスケア・在宅 医療関連ビジネスの拡大に取り組んでいます。今後はさらに、調剤薬局の事業規模を拡大しつつ、調剤業務の効率化によりサービスの質を向上することで、地域と産業の発展に貢献していきます。
(注1)一包化
患者の服薬漏れを防ぐため、朝・昼・晩など服薬のタイミング毎に服用する複数の薬剤を一包ずつパックすること。高齢者、特に認知症患者の服薬管理には欠かせないサービス。
(注2)調製
処方箋に基づき、医薬品の秤量、混合、分割等を行うこと。
(注3)分包センター
各地域の薬局からの依頼を受け、手間のかかる一包化調剤を大規模な機器で効率的に行い、一包化した薬剤を薬局や介護施設等へ配送を実施するセンター。
<参考資料>
■住友商事のマテリアリティ(重要課題)
住友商事グループは『社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)』を、事業戦略の策定や個々のビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素と位置付け、事業活動を通じて課題を解決することで持続的な成長を図っていきます。本事業は、「地域と産業の発展への貢献」および「快適で心躍る暮らしの基盤づくり」に資する事業です。
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