2022年11月10日

英国のCO2鉱物化スタートアップとの資本業務提携~脱炭素ビジネスを通じ、気候変動の緩和に貢献~

CO2を鉱物化 -44.01とは-

住友商事は、二酸化炭素(CO2)の鉱物化サービスを提供する英国のProtostar Group Limited(以下、同社ブランド名から「44.01」)と資本業務提携を行い、脱炭素ビジネスの開発・展開を共同で手掛けていきます。

44.01というブランド名は、CO2の分子量に由来します。2020年に設立されたスタートアップで、CO2を鉱物化する技術を保有しています。中東のオマーンやアラブ首長国連邦で事業に取り組んでおり、世界の著名な脱炭素ファンドや投資家などからも出資を受けています。

44.01は、世界で唯一、かんらん岩(地球内部を構成する岩石)を利用したCO2鉱物化に取り組んでいます。一定の条件でCO2を水に溶解させ、地下のかんらん岩に圧入し、化学反応によって鉱物として固定化します。44.01には、CO2鉱物化に関して世界的に著名な研究者が所属しており、CO2鉱物化に最適な圧入条件・方法を確立している点に強みを持っています。CO2鉱物化は、CO2を鉱物として地下に恒久的に固定できるため、永続性・安定性などの観点から注目されています。

かんらん岩と反応したCO2が鉱物化し、白い帯のように見える

44.01のビジネスモデルと今後の目標

44.01は、大気中のCO2を直接回収するDirect Air Capture事業者やCO2排出企業などに対してCO2の鉱物化をサービスとして提供します。さらに、CO2回収から鉱物化までを自社で一気通貫に行うことも計画しています。44.01は、小規模な実地での実証に成功しており、今後、追加実証や現在検討を進めている各プロジェクトの実施を通じて、将来の大規模商業化の可能性について検証していきます。

特に、中東、米国、欧州、日本などでは、かんらん岩が地表近くに存在していることが確認されており、CO2鉱物化の適地が広く分布しています。44.01は、2040年までに10億トンのCO2を鉱物化するという目標を掲げ、オマーンを皮切りに世界中での事業展開を目指します。

CO2回収から鉱物化までの一連の流れ

当社が参画する意義

当社グループは、パリ協定における世界的合意を重視し、社会のカーボンニュートラル化の目標達成に向けて、より積極的に貢献していくことを目指しています。2019年には、気候変動問題の克服に向けて当社グループが果たす役割を明確にすべく、「気候変動問題に対する方針」を策定し、世界的な情勢を踏まえて継続的に見直しを行ってきました。44.01との資本業務提携は、その方針に沿った取り組みの一つです。

本取り組みにおいて、当社は、鋼管事業や資源開発事業などを通じて長年蓄積してきた知見やネットワークを生かし、事業開発および掘削技術・地下評価などに関する技術支援を行います。 また、製鉄、発電、天然ガス、アルミ精錬、水素・アンモニアなど、当社が関与するさまざまな分野において、44.01とのシナジーを創出すると同時に、共同で脱炭素ビジネスの開発・展開に取り組んでいきます。

当社は、コーポレートメッセージである「Enriching lives and the world」の下に、44.01との協業を通じて、気候変動という世界規模の社会課題の解決に貢献していきます。

44.01概要

44.01のマネジメントメンバーとかんらん岩。左からTalal Hasan(CEO)、Karan Khimji(CCO)、 Ehab Tasfai(CTO)
  
会社名 Protostar Group Limited
本社 英国(主にオマーンで事業を展開)
CEO Talal Hasan
技術専門家 Juerg Matter、Peter Kelemen
(両名ともに、CO2鉱物化研究の世界的第一人者)
設立 2020年
事業内容 かんらん岩を活用したCO2の鉱物化
Webサイト https://4401.earth/

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