2023年11月17日
住友商事株式会社

英領北海にてCarbon Storage(二酸化炭素貯留)権益を取得~産業集積地に隣接するコスト競争力の高いCO2の輸送・貯留サービスを目指す~

住友商事は、在英国の100%子会社Summit Energy Evolution Limited(以下、SEEL)を通じて、英領北海南部のAmethystガス田およびWest Soleガス田にて設定されている2つのCarbon Storage(二酸化炭素貯留、以下「CS」)権益(CS017、CS018)のそれぞれ10%を取得しました。日系企業としては初めて英国で直接CS権益を取得することになります。

Carbon Storageを通じて脱炭素化を目指す英国政府

英領北海では、石油・天然ガス開発エリアにおける巨大な二酸化炭素の貯留キャパシティが期待されており、2050年までのCO2 Net-zero達成を目指す英国政府はCCS(※)の普及を脱炭素化の主要な戦略に位置付けています。なかでも、大型の廃ガス田のCCSへの転用は、コスト低減および商業化へのスケジュールの観点で優位性が期待され、昨年実施されたCS権益の英国第一次公開入札を通じて、BPやShellをはじめとする総合エネルギー企業が積極的に権益を取得しています。

本事業の概要

本事業は、英領北海南部のAmethystガス田およびWest Soleガス田にて、ガス生産を終了した地層にCO2を貯留することで、英国の脱炭素化に貢献する取り組みです。英領北海南部は多くのガス田が存在する事から英国政府により多くの権益が設定され、競争性の高い地域に位置付けられています。また、本件の対象エリアは英国最大の産業地帯であるHumbersideに近接し、CO2排出源からの輸送距離が短く、コスト競争力の高いCO2の輸送・貯留サービスを提供することが可能です。

今後は、地下データの解析による貯留可能量の精緻化、漏洩リスクの分析、設備計画やモニタリング計画の作成などの事業性評価、および英国政府による商業化のための許認可取得を経て、2029年の開発意思決定、2031年には1.5百万トン/年の圧入を開始、その後段階的に6百万トン/年への貯留量の拡大を目指します。英国政府が掲げる2030年時点における20-30百万トン/年の貯留量の達成に向け、事業を推進していきます。

住友商事のCarbon Storage(二酸化炭素貯留)事業戦略

住友商事は、1970年代より蓄積してきた石油・ガス上流事業の経験に加え、多様な事業領域及びサプライチェーンの知見を活かし、「CO2分離・回収」「輸送・貯留」「利活用」の事業開発に取り組んできました。本事業を端緒として、英国におけるCO2の輸送・貯留事業の実績を更に積み重ね、ここで得た知見を用いて米州やアジア大洋州地域への事業展開を目指していきます。

  1. CCS:Carbon dioxide Capture and Storageの略称。産業活動から排出されるCO2を回収・貯留すること
  2. CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略称。産業活動から排出されるCO2を回収・貯留・利活用すること

会社概要

会社名 Summit Energy Evolution Limited(SEEL)
本社所在地 英国 ロンドン
代表者 Paul Lafferty
設立 2021年
事業内容 低炭素エネルギー事業(CCUS、低炭素水素製造ほか)

権益概要

対象権益 CS017(Amethystガス田を含むエリア)
CS018(West Soleガス田を含むエリア)
パートナー Perenco UK Limited 80%
Carbon Catalyst Limited 10%
SEEL 10%
期間 5.5年間
開発意思決定 2029年
圧入開始 2031年
圧入量 当初:1百万トン/年
拡張後:6百万トン/年

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