2024年02月28日
住友商事株式会社
Orient Overseas Container Line Limited
電場技術を活用した冷蔵海上輸送の提供開始~新たな産地と消費地を繋げる低炭素型冷蔵海上輸送~
住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員 CEO:兵頭誠之、以下「住友商事」)とOrient Overseas Container Line Limited(本社:香港、代表取締役社長 CEO:Zhijian Yang、以下「OOCL」)(以下総称して「2社」)は、電場技術(※1)を活用し、長期間の鮮度維持を可能とした冷蔵海上輸送する業務提携契約を締結しました(以下「本サービス」)。
生鮮商品の輸送においては、冷凍保存し海上輸送するか、冷蔵保存にて海上または航空輸送を活用しています。しかしながら冷凍保存の場合は解凍時の細胞破壊による品質低下、冷蔵保存による海上輸送では航海日数の制約、航空輸送の場合はコストが課題となっています。食料供給地を拡大して食品の安定供給を確保するためにも、品質低下が無い冷蔵保存にて、長期間の海上輸送が可能となるサービスの開発が望まれていました。
住友商事は株式会社MARS Company(本社:群馬県高崎市/住友商事8.53%出資)が実施した電場コンテナの開発を機に、電場関連機器の開発を行う第一施設工業株式会社(本社:福岡県粕屋郡)とOOCLの協力を得て、電場コンテナ調達の仕組みを確立しました。また住友商事は電場環境で真空度の高いシュリンク梱包を食品に施すことで、食品の非凍結温度を下げ、鮮度保持効果を上げる「食品輸送方法」に関する特許など(※2)も取得しました。
また、OOCLは世界最大規模の国際コンテナ輸送と総合型物流を行う企業で、100以上の主要都市に130の拠点を持ち、グローバルな顧客基盤を有しています。
2社は、本サービスを基に冷蔵海上輸送の展開を図り、鮮度保持物流の新しいスタンダードの確立を目指します。本サービスが普及することによって、従来不可能だった遠方からの冷凍ではない冷蔵品の海上輸送を実現し、世界に点在する魅力ある食品を新たな消費地へ届けることができます。同時に、生鮮食品の輸出促進を目指す地域のニーズに応えることで、供給地の多様化を通じた食品の安定供給に寄与します。また、本サービスを通じて消費期限延長によるフードロス削減効果がもたらされることに加え、航空輸送から海上輸送への切り替えが進むことで、温室効果ガス排出・輸送コスト削減の効果も期待されます。
本サービスの実装に際し、2社は食肉および食肉加工業界大手の伊藤ハム米久ホールディングスと30カ月に及ぶ実証実験を重ね、従来冷凍品としてのみ輸入されていたスペイン産ポークを、食肉・物流業界として初めて冷蔵輸送することに成功し、これを流通させる体制が整いました。今後2社は、住友商事グループの食品専門商社である住商フーズ株式会社やサーモンメーカー大手の株式会社モウイジャパンなどとも様々な生鮮商品の新しい流通モデルの実現に向けて連携を行います。
2社は、引き続き両社の強み・事業基盤を生かし、価格競争力のある高品質な低炭素型冷蔵海上輸送を通じて、より環境にやさしいグローバルな物流網を構築していきます。
- 電場技術 : 高電圧を印加し、微弱な電場を食品に与えることで氷点下における食品の非凍結温度を低減させる技術。
- 特許番号第7329121号, 第7284335号, 第7266937号