2024年10月21日
住友商事株式会社
不妊症・不育症検査のRevorfと海外向け独占代理店契約を締結~先端医療技術のスタートアップへの出資とグローバル展開で少子化の課題解決に貢献~
住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:上野 真吾、以下「住友商事」)は、医療検査や創薬支援事業を展開するバイオベンチャーRevorf(本社:東京都中央区、代表取締役CEO:末田 伸一、以下「レボルフ社」)に出資し、レボルフ社が国内で展開している不妊症・不育症(注1)の検査事業に関して、日本を除く全世界での独占代理店契約を締結しました。
日本では不妊症の女性患者が約50万人、不育症患者は約30~50万人いると考えられていますが、それぞれ約半数が原因不明のため治療が難しく、少子化が進む日本において重要な社会課題となっています。また、世界では成人人口の約17.5パーセント(約6人に1人)が不妊症と言われており、安価で質の高い治療へのアクセスを高めることが急務であるとされています。
レボルフ社が展開する不妊症・不育症検査は、従来原因不明とされ、不育症の原因の約2割を占める流産や血栓症などを引き起こすネオセルフ抗体(注2)を血液検査で調べることができる新たな技術で、近年では不妊症にも関連することも報告されています。臨床研究では、検査結果が陽性の場合、対応する治療が実施された群において、不妊症では妊娠率が2倍以上、不育症では出産率が約1.7倍以上高い結果であったことが確認されています。レボルフ社は2022年より同検査事業を開始し、国内140以上の医療機関向けに展開しています。今後、本検査が先進医療として承認された場合は、自治体からの医療費補助の適用が想定され患者の自己負担が軽減されることで、さらなる普及が期待されています。
住友商事は、1970年代から医薬関連ビジネスを手掛けており、主に製薬会社向けに創薬研究・開発支援、原料供給を行うとともに、販売・マーケティングや製造受託などの総合的なサービスを提供しています。今後はこれまで培った医療・医薬分野の知見を活用し、日本発の有望な医療技術の発掘と、グローバルネットワークを生かした海外展開による新たな医療支援ビジネスの創出を目指しています。本件はその第一号案件として、不妊症・不育症の新規検査技術の海外における独占代理店権を取得し、海外大手病院グループとのネットワークを通じてグローバル展開を行うものです。
住友商事は医療分野の知見と国内外のネットワークで、日本発の医療技術を生かした新たな医療支援ビジネスを収益の柱として育成し、グローバルで医療分野に貢献していきます。
(注1)不育症
日本不育症学会によると、不育症とは妊娠は可能だが、流産または死産を2回以上繰り返す状態を指す。不妊症は原因によって男性・女性いずれも患者となるが、不育症は女性のみが対象となる。
(注2)ネオセルフ抗体
抗体とは、体内に侵入した異物(抗原)を排除するたんぱく質のこと。ネオセルフ抗体は、何らかの原因で、身体の中にある正常な細胞や組織(自己抗原)を攻撃してしまう抗体(自己抗体)の一種で、2014年にレボルフの共同研究パートナーである大阪大学の荒瀬教授らが発見した。その後、特定のネオセルフ抗体は、不妊症・不育症や血栓症などを引き起こす新たな自己抗体として研究が進められ、2020年には、神戸大学を中心とする5つの大学病院の協力により、不育症とネオセルフ抗体の関係が臨床研究で確認された。
(米国リウマチ学会『Arthritis & Rheumatology』2020年6月24日付(筆頭著者:Kenji Tanimura、論文タイトル:「The β2-Glycoprotein I/HLA–DR Complex As a Major Autoantibody Target in Obstetric Antiphospholipid Syndrome」)
Revorf概要
会社名 | : | Revorf |
本社所在地 | : | 東京都中央区 |
事業概要 | : | 医療検査事業、創薬支援事業 |
会社設立 | : | 2019年 |
ウェブサイト | : | https://www.revorf.jp/ |
参考情報
ネオセルフ抗体をもつ不育症女性は、低用量アスピリンやヘパリン療法により生産率(生児獲得率)が上がることが報告されました – 株式会社Revorf
妊娠高血圧症候群、胎児発育不全などの妊娠中の異常に「ネオセルフ抗体」が関連 | 神戸大学ニュースサイト (kobe-u.ac.jp)