2025年06月12日
住友商事株式会社

デンマークのSkovgaard Energy社とバイオガス・e-SAF事業の合弁会社を設立～バイオガス製造拠点をデンマーク全土に拡大。持続可能な航空燃料であるe-SAFも開発へ～

住友商事株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役社長執行役員 CEO：上野真吾、以下「住友商事」）は、再生可能エネルギー開発企業Skovgaard Energy（本社：デンマークLemvig市、CEO：Niels Erik Madsen、以下「SE社」）とバイオガス製造事業およびe-SAF（注1）などを製造するPower to X（注2）事業を行う合弁会社North Sky A/Sを設立しました。バイオガス4,000万ノルマル立方メートル（注3）（デンマークでの約2万家庭の年間ガス使用量に相当）の製造を目指すほか、SE社が保有するバイオガス製造事業拠点をデンマーク全土に拡大します。また、バイオガス製造事業から得られた知見を活用して、持続可能な航空燃料であるe-SAFなどの他バイオエネルギーも開発予定です。住友商事として初となるバイオガス製造事業への参画を通して、今中期経営計画における強みを核とした成長事業のひとつであるエネルギーソリューション事業の成長を加速します。

デンマークにおけるバイオガス市場

農業大国であるデンマークでは、農業により生じる有機性廃棄物の有効活用と、カーボンニュートラル化の実現に向け、2030年までに国内のガスグリッドを100パーセント、バイオガスで賄う目標が掲げられています。食品廃棄物や家畜糞尿などの有機性廃棄物から生成されるバイオガスは、燃焼時に新たな二酸化炭素を発生させず、原料が元々吸収していた二酸化炭素を大気中に戻すのみであるため、カーボンニュートラル化の実現に貢献する再生可能エネルギーとして注目されています。また、同国内で生産される原料を活用することで、エネルギー自給率の向上も見込まれ、バイオガス製造プラントの増設が進んでいます。

新会社設立の狙い

SE社は、1999年の設立以来、風力発電などの再生可能エネルギー事業を開発し、現在では牛糞を原料とするバイオガス製造設備や、e-SAFなど製造のためのPower to X事業用地を保有する会社です。SE社は同国における農家連合と強固な連携を築いており、2032年までの長期原料供給契約を締結しました。これにより、安定的にバイオガスの原料を調達していきます。

住友商事の欧州域内ビジネスネットワークとSE社の強みを掛け合わせ、新会社を設立することで、バイオガス製造事業の拡大とともに、e-SAFの製造事業開発も進めることを目指します。e-SAFは、バイオマス由来の二酸化炭素とグリーン水素を原料に生成される合成燃料で、今後の商用化に向けて需要が見込まれるバイオエネルギーです。デンマークは国内電力消費の約9割を再生可能エネルギーで賄っており、グリーン水素の調達に優位性を持ちます。新会社は、バイオガス製造事業をデンマーク全土に拡大することで、e-SAF原料としてのバイオマス由来の二酸化炭素を、自社プラントを活用し安定的かつ低コストでの供給を実現することが可能になります。

当社グループのバイオエネルギー事業

住友商事グループは、2050年の事業活動のカーボンニュートラル化や持続可能なエネルギーサイクルを実現するうえで、バイオエネルギーを重要な手段と位置付けています。2025年2月に締結した純国産SAF実現に向け覚書に基づき日本国内で「森空プロジェクト」を推進する他、2025年5月には在マレーシアreNIKOLA社とバイオエネルギー開発に関するMOUを締結し、マレーシアやインドネシアにおけるバイオメタン製造販売案件の開発を計画しています。

（注1）e-SAF
再生可能エネルギーで水を電気分解し発生させたグリーン水素と、二酸化炭素などを合成し生成する液体燃料で、持続可能な航空燃料（Sustainable Aviation Fuel, SAF）の一種。
（注2）Power to X
再生可能エネルギーを、水素・燃料・化学物質（総称してX）に変換する技術の総称。燃料にe-SAFも含まれる。
（注3）ノルマル立法メートル
温度0度、圧力1気圧の標準状態における気体の体積の単位。

Skovgaard Energy社概要

会社名	:	Skovgaard Energy
本社所在地	:	デンマーク Lemvig市
事業概要	:	再生可能エネルギー開発事業
会社設立	:	1999年
ウェブサイト	:	https://www.skovgaardenergy.dk/en/