2025年08月20日
住友商事株式会社
商用衛星データ分析企業Ursa Space Systemsに出資~国内独占代理店として、同社サービスの導入を推進~
住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:上野 真吾)は、子会社である米州住友商事(以下、2社を総称して「住友商事グループ」)を通じて、AIを活用して各種商用衛星データ収集・分析を行うUrsa Space Systems Inc.(本社:米国ニューヨーク州、CEO:Adam Maher、以下Ursa Space社)に出資し、日本市場における同社サービスおよびプラットフォームの独占代理店契約を締結しました。

背景と出資の狙い
近年、地政学リスクの高まりや民間衛星技術の進化を背景に、商用地球観測衛星の高精細化および観測頻度の向上、データ取得コストの低下が進み、商用衛星データの利活用が拡大しています。市場規模としては毎年5パーセント増で成長していく見込みであり、2033年には約12兆円に達すると予測されています(注1)。一方で、光学、SAR(注2)、電波など、多様な衛星データを統合的かつ迅速に分析するためには専門的知見が必要であり、ユーザー側の導入障壁が高いという課題がありました。こうした背景のもと、住友商事グループは、グローバルな商用衛星データの統合・分析に強みを持つUrsa Space社との連携が、日本における商用衛星データ利活用に不可欠であると考え、今回の出資と契約に至りました。
Ursa Space社の技術的優位性
Ursa Space社は、世界中の商用衛星運用会社が保有する大多数の商用地球観測衛星との提携という強みを生かし、多様なデータを統合的に活用する“バーチャルコンステレーション”(注3)を構築しています。ここから得られる衛星データと、地理・経済などの各種公開情報を、AIを活用した独自のソフトウェアで効率的に収集・分析を行い、一日単位ではなく時間単位で分析結果のレポートを自動生成します。ユーザーは分析したい事象をプラットフォーム上で入力するだけで、最適なデータの取得から、統合、分析、レポート作成までワンストップで実行できます。Ursa Space社の技術は、災害対応、エネルギー、海運、農業、鉱山など、幅広い産業分野で応用でき、成長を続けています。

今後の展開
住友商事グループは、これまで商用電波観測衛星運用企業HawkEye360への出資を通じて、宇宙ビジネスの拡大に取り組んできました。Ursa Space社との提携により、衛星データ利活用に向けた共同実証や企業へのプラットフォーム導入に向けた提案を進めていきます。今後も引き続き革新的な技術を保有する企業への投資を通じて、社会課題の解決、宇宙産業の発展に寄与していきます。
参考資料
会社概要
会社名 | : | Ursa Space Systems Inc. |
設立年 | : | 2014年 |
所在地 | : | 米国ニューヨーク州イサカ |
事業概要 | : | 商用衛星データ(光学、SAR、電波)を最適に収集し、分析・解析 |
- Commercial Earth Observation Market Surpasses $8 Billion by 2033 - Novaspace
- Synthetic Aperture Radar(合成開口レーダー)の略称で、人工衛星や航空機に搭載され、マイクロ波を地表に照射し、その反射波を捉えることで地表の形状や性質を画像化する技術。天候や昼夜に左右されずに観測できるため、災害時の状況把握や環境モニタリングなど、様々な分野で活用されている。
干渉SARの基本 | 国土地理院 - 複数の企業や機関が運用する人工衛星を、仮想的に一つの観測網として捉え、連携させて利用する概念。個々の衛星が持つデータを統合し、より広範囲で詳細な情報収集や解析を可能とする。衛星コンステレーションとも呼ばれる。
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