中期経営計画「BBBO2017」の推進特集2BBBO2017における取り組み事例
メディア・リテイル・不動産の基盤を活かした組織間連携の強化
当社は、66カ国で多岐にわたる事業展開を行っています。中期経営計画Be the Best, Be the One 2017では、中長期的に高い成長が見込まれる産業分野/機能/地域に対して、従来以上に組織間連携を推進し、総合力を活かした事業活動を展開していきます。
J:COMによる連携強化
当社が50%出資するケーブルテレビ局統括運営会社である(株)ジュピターテレコム(J:COM)は、規制緩和による電力小売の全面自由化を契機と捉え、2016年4月より戸建や小規模マンションを含めた小口需要家に対する電力販売を開始しました。電力の調達・需給調整は当社100%出資のサミットエナジー(株)が行い、ケーブルテレビなどを通じて地域・家庭に根差したサービスを提供するJ:COMとともに、互いの強みを活かし連携することで、生活に欠かせないライフラインである電力の提供を行います。
また、J:COMは、当社の分譲マンション事業との協業も行っています。当社が開発するマンションの商品企画、設計段階から共同検討することで、ケーブルテレビやインターネット、電力一括受電サービスなどの提供を通じ、新規顧客の獲得、既存顧客の囲い込み、顧客満足度の向上を図ります。
さらに、2016年3月に実施した資本再編を機に、テレビ通販会社ジュピターショップチャンネル(株)(ショップチャンネル)との協業によるシナジー創出(参照:プロジェクト紹介)や、ITサービスプロバイダーのSCSK(株)によるJ:COMの顧客データベースのシステム開発・運用等、組織間連携を推進しています。
IoTへの取り組み
社会・産業に多大な構造変革をもたらすと言われているIoT(Internet of Things)は、当社にとっても大きなビジネスチャンスであると捉えています。
2016年4月、ネットワーク事業本部が中心となり、組織横断でIoTに取り組むべく、全社ワーキング・グループを立ち上げました。当社の事業ポートフォリオをもとに、IoTを切り口とした「ビジネスの高度化」や「新ビジネスモデルの創出」を図り、全社的な事業価値の向上を目指しています。
グループネットワークの活用による収益機会の創出
そのほかにも、当社が手掛ける商業施設、分譲マンションへの食品スーパー「サミット」やドラッグストア「トモズ」の出店、建設段階における建機レンタル、鉄骨・セメントをはじめとする建材納入など、不動産事業を中心とした連携や、当社のバイオマス発電事業へのバイオマス燃料の一括供給など、組織間連携の実例は多岐にわたります。セグメントや地域の括りに縛られることなく、全社を通じた連携を強化・促進することで、より高度な価値創造を果たし、収益力の成長を図っていきます。
将来を見据えた環境変化への対応
資源・エネルギー価格の長期低迷といった厳しい外部環境に直面している事業においても、今我々が為すべきことに覚悟を持って取り組み、来るべき将来を見据えています。
鋼管事業
―厳しい環境においても、強固なビジネス基盤を活かして次の成長を目指す
当社の鋼管ビジネスは世界最大級の油井管取扱数量を誇っており、特に、米国においては石油・ガス開発業界向けに、市場シェア3割を有する油井管問屋事業を展開するなど、広範な顧客ネットワークを展開しています。
2014年秋以降の原油価格急落後、石油・ガス開発業界において設備投資意欲が大幅に減退した影響を受け、2015年度の当社ビジネスは前年度比大幅な減益となりました。今後すぐには原油価格の急激な回復が見込めないことから、当面の間は厳しい外部環境に直面せざるを得ないことが予想されています。
こうした厳しい外部環境を乗り切るために、資産の効率的な活用とリーンな体制構築により、体質の強靭化に継続的に取り組んでいます。たとえば、在庫については1年超でピーク時から約4割削減しました。また、米国ではグループ内の油井管問屋を再編して、効率的な事業運営に向け取り組んでいます。一方で、原油価格回復局面に備えて、当社の強みである油井管ビジネスの世界に広がる顧客ネットワークを活用した鋼管周辺事業の開拓に重点を置いた成長戦略の実行も図っています。
具体的には、顧客に対して油井管の供給だけではなく、特に長期契約を有する優良顧客に対して、設計時のコンサルティングから井戸での使用サポートまでを含めた油井管に関するライフサイクルで生じるさまざまなニーズに合った価値提供を行うことや、油井管供給の隣接分野である油井用資機材調達分野での事業をさらに拡大することに取り組んでいます。全社横断的なプロジェクトを組成して具体的な案件を、当社の総合力をもって多面的に検討し、慎重に環境を見極めながら、将来性があると見込まれる事業への投資も進めています。
アンバトビー ニッケルプロジェクト
―高い稼働率での安定操業と収益性の向上を目指す
ニッケルは、ステンレス鋼、特殊鋼、電池材料などに幅広く利用され、世界的に需要が高まっています。このような需要増加に応えるべく、2005年にマダガスカルでニッケル酸化鉱石の採掘から地金精錬までを一貫して手掛け、30年近いロングライフである世界最大級のプロジェクトに参画し、開発にあたってきました。
プロジェクトの開発はパートナーであるカナダの資源会社Sherritt International Corporation、韓国鉱物資源公社Korea Resources Corporationとともに進められ、森林や生物保全のための多様なプログラムを実施するなど、環境面への配慮にも取り組んできました。2014年1月に商業生産を開始、2015年9月にはプロジェクトを完工させ、さらに同月に製品であるニッケル地金のLondon Metal Exchangeへの登録も承認されました。販売面でも、当社は、製品引取義務を果たすべく、日本のみならず、欧州、アジア、米国等の世界各地でニッケル地金販売網を開拓・構築し、完売実績を重ねています。
プロジェクトの建設/立ち上げに取り組んできた一方で、世界的な資源価格の下落を受けてニッケル価格の中長期見通しを見直した結果、2015年度第3四半期に770億円の減損損失を計上しました。現在は、このような大変厳しい外部環境に直面していますが、パートナーとともに、高い稼働率での安定操業の維持とさらなるコスト削減の推進に向けた取り組みを継続しており、2015年度は前年度に比べて生産コストを大幅に削減することに成功しています。今後も、世界のニッケル生産者のうちで上位25%に入るコスト競争力を有するプロジェクトとなることを目指して、取り組みを継続していきます。
プロジェクト概要
- 総事業費:72億米ドル
- 年間フル生産量:ニッケル6万トン、コバルト0.6万トン
- 出資者:Sherritt 40%、当社32.5%、Korea Resources 27.5%、
- 当社エクスポージャー:約17億米ドル(2016年3月末)