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社長メッセージ全てのステークホルダーの皆様へ

先を見据えて ~今我々が為すべきこと~

当社は2019年に創立100周年を迎えます。多くのステークホルダーの皆様とともに歩んできた100年の歴史を振り返りながら、次の100年を見据え、安定的・継続的に成長できる会社を目指していきます。

代表取締役社長 中村 邦晴

足元の状況 ~市場環境の変化と中計1年目の振り返り~

中期経営計画「Be the Best, Be the One 2017(BBBO2017)」の1年目となった2015年度は、我々を取り巻く環境がさらに変化のスピードを増した年となりました。資源・エネルギー価格の長期低迷、中国経済の減速感の高まり、地政学リスクの顕在化など、外部環境は不透明感を強めました。アセアン経済共同体(AEC)や環太平洋パートナーシップ(TPP)といった新たな広域経済圏の形成、IoTや人工知能(AI)などの技術革新や環境問題への対応など、グローバルな変化のうねりを感じました。

このような環境下、2015年度の業績は、非資源ビジネスは概ね堅調に推移したものの、資源・エネルギー価格下落の影響を受け、資源上流案件を中心とした複数の案件において計1,951億円の減損損失を計上した結果、2,300億円の連結純利益目標に対して745億円にとどまることとなりました。ステークホルダーの皆様に再度ご心配をお掛けすることとなり、経営者として大変重く受け止めています。一方、鋼管ビジネスを除く非資源ビジネスの基礎収益(*)については、メディア・ネットワーク関連の主要事業や、海外電力事業、自動車製造・ファイナンス事業やリース事業などの成長により、増益基調を継続しており、2015年度には2,087億円となりました。「稼ぐ力の強化」を推進してきた結果が着実に出ていると感じています。

  • (*)基礎収益= (売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1−税率)+持分法による投資損益

また、定性面では、意思決定プロセスの見直し(経営会議の最高意思決定機関化、取締役会の機能強化)やリスク管理体制の見直し(大型投資案件の多段階・複数回審議体制整備等)に取り組みました。

3カ年中期経営計画BBBO2017の修正

当社は、事業環境の変化を踏まえ、昨年3月に公表しました、BBBO2017における定量計画を修正することとしました。修正のポイントは以下の2点です。

① 利益計画の見直し

非資源ビジネスは概ね堅調に推移することを見込む一方、資源・エネルギー価格低迷の長期化により、資源ビジネスや、鋼管事業の業績の回復に遅れが見込まれることから、2017年度の連結純利益計画を、3,000億円以上としていたものから2,200億円以上に修正しました。

② キャッシュ・フロー計画の見直し

3年合計の配当後フリーキャッシュ・フローを、黒字確保としていたものから、5,000億円確保とし、回収した資金で有利子負債を返済する計画に修正しました。

財務体質強化と資産入替・成長投資

2015年度の実績及び昨今の事業環境の悪化等を踏まえると、まさに今が、財務体質をもう一段強化するタイミングだと判断しました。そこで、過去から取り組んできた資産入替を加速することで、キャッシュを追加で創出し、有利子負債を返済する方針を定めました。これにより、今後さらに事業環境が悪化した場合でも、外的要因に大きく左右されずに経営を行うことができますし、反対に事業環境が改善局面を迎えた時に、機を逃さず、事業基盤拡大に向けて舵を切ることができます。資産入替については3年合計で約9,000億円と、当初計画より大幅に上積みした一方で、自動車・輸送関連や生活・情報産業、社会インフラ基盤などの成長分野を中心に約1兆円の投資を行います。当社を取り巻く環境がめまぐるしく変化する中で、我々のビジネスフィールドは広がるとともに、成長分野も変化していきます。将来の一段高い成長を実現するために、既存の枠組みに捉われることなく、より成長が見込まれる分野へ、そして将来の柱となる新たな案件へと、覚悟を持って経営資源をシフトしていきます。

詳細は中期経営計画「BBBO2017」の推進をご覧ください。

株主還元

当社は、株主の皆様に対して、長期にわたり安定した配当を行うことを基本方針としつつ、中長期的な利益成長による配当額の増加を目指して取り組んでいます。

BBBO2017においては、1株当たり50円を年間配当金の下限とし、連結配当性向25%以上を目安に、基礎収益やキャッシュ・フローの状況等を勘案のうえ、配当額を決定することとしています。2016年度の年間配当金については、BBBO2017の配当方針に基づき50円とする予定です。

1株当たり配当額

創立100周年とその先の50年、100年に向けて

当社は2019年に創立100周年を迎えます。創立100周年を迎えるにあたり、多くのステークホルダーの皆様とともに歩んできた100年の歴史を振り返りながら、次の50年、100年を見据え、安定的・継続的に成長できる住友商事グループにしていきたいと思います。そのような成長を実現していくには、住友が事業精神の実践により400年続いてきたように、当社もまた同じ事業精神を実践していくことが必要だと思います。住友の事業精神を表す言葉の一つに「自利利他公私一如<じりりたこうしいちにょ>(住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、社会を利するほどの事業でなければならない)」があります。住友が400年続いてきているのは、この言葉を体現すべく、自らの利益を追求しただけではなく、社会に役立つ会社、社会に貢献できる会社、社会に尊敬される会社を目指し続けたからだと思います。当社の社員一人ひとりがこの精神を受け継ぎ、それぞれのステークホルダーのためにベストを尽くすことで、次の50年、100年に向けた成長につなげていくことができると信じています。

なお、この100周年の節目を迎えるにあたって、当社は2018年秋に、東京都千代田区大手町への本社移転を実施することにしました。移転によって利便性をより高くすることで、お客様や取引先との関係を一層強化するとともに、これを機に社員の働き方そのものを抜本的に見直すことで、効率的で創造性の高いオフィス環境を整えていきます。

最後に

当社を取り巻く環境が、グローバルにスピードを増して変化する中、当社のビジネスチャンスは確実に広がりを見せています。「当社らしさ」の基本となる「住友の事業精神」と「経営理念」に沿ったやり方で、当社だからこそ実現できる「当社ならでは」の強みや機能を発揮することで、変化を先取りし、お客様や取引先への解決策の提供、価値の創造につなげていきます。BBBO2017を実行し、収益力の強化及び成長軌道への回復を果たし、住友商事グループが次の50年、100年へと安定的・継続的に成長できるよう、グループ一丸となり取り組んでまいります。

皆様には一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2016年8月
代表取締役社長
中村邦晴