2024年03月29日
American Bureau of Shipping
CALAMCO
Fleet Management Limited
住友商事株式会社
TOTE Services
米国西海岸における船舶向けアンモニア燃料供給の事業化に向けた共同検討を開始
American Bureau of Shipping、CALAMCO、Fleet Management Limited、住友商事株式会社、TOTE Servicesの5社は、米国西海岸において、STS方式(注1)での船舶向けクリーンアンモニア燃料供給の事業化に向けた共同検討(以下「本共同検討」)を開始します。まずはカリフォルニア州の主要港であるオークランド港およびベニシア港において実証(以下「本実証」)を行い、近隣の大型コンテナ港への普及・拡大を目指します。
2016年のパリ協定発効以降、世界的に脱炭素化および気候変動対策の機運が高まるなかで、海運分野においても温室効果ガス(GHG)の排出削減が課題となっています。国際連合の専門機関である国際海事機関(IMO)は、2023年7月に温室効果ガス(GHG)削減戦略を改定し、国際海運からのGHG排出削減目標を「2050年頃までにGHG排出ゼロ」へと強化しました。
アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないため、次世代船舶燃料の最有力候補の一つとして期待されています。特にクリーン水素(注2)を原料として製造されるクリーンアンモニアは、ライフサイクルにおけるCO2排出量が少ないため、海運業界のみならず、世界の脱炭素化に貢献することができます。
カリフォルニア州最大のアンモニア小売事業者であるCALAMCOは、2027年頃にアンモニアの輸入調達を停止し、環境負荷の低いクリーンアンモニアの地場生産への切り替えを予定しています。本実証では、CALAMCOによる輸入停止を機に、ストックトン港においてCALAMCOが保有・運営するアンモニア基地を利活用し、近隣のベニシア港に寄港する自動車運搬船やオークランド港に寄港するコンテナ船向けに燃料アンモニアの供給を検討します。
本共同検討では、米国の関係当局や専門家の協力を得て、アンモニアバンカリング船のオペレーション・ガイドラインや法規制の整備に向けて取り組みます。5社は本共同検討を通じ、船舶向けクリーンアンモニア燃料供給事業を早期に実現することで、海運業界の脱炭素化への貢献を目指します。
- STS(シップトゥーシップ):錨地に停泊または岸壁・桟橋に係留中の船舶に対してバンカリング船が接舷して燃料を供給する手法
- 水素1キログラムを製造する際に大気に放出されるCO2量に基準を設け、その基準以下で製造された水素がクリーン水素として定義される。
【CALAMCOのストックトン港のアンモニア基地】
【米国西海岸】
【各社の役割】
パートナー | 役割 |
---|---|
American Bureau of Shipping | 米国でのアンモニアバンカリングのオペレーション・ガイドライン等の策定を目的としたリスクアセスメント、および関係当局との折衝など |
CALAMCO | ストックトン港におけるアンモニア基地の保有・操業の経験と知見を活用して、基地からアンモニアバンカリング船への積み荷役の安全なオペレーションの検討など |
Fleet Management Limited | 船員配乗を行う船舶管理会社の観点から、アンモニアバンカリングのオペレーションの検討など |
住友商事株式会社 | クリーンアンモニアの調達・輸送・貯蔵・バンカリングを含む、競争力のある包括的サプライチェーンの構築に向けた検討など |
TOTE Services | 米国初のLNGバンカリング船の建造・保有・運航の経験と知識を活用して、アンモニアバンカリング船の開発、および米国でのアンモニアバンカリングのオペレーション・ガイドラインの策定など |