2025年10月06日
住友商事株式会社
東京大学大学院情報学環・学際情報学府 越塚研究室
住友商事と東京大学越塚研究室、生成AIを用いたリテイルデータ活用の高度化に向けた共同研究開発を開始~対話型ユーザーインターフェースを採用し、ID-POSデータ分析の効率化と簡易化を実現へ~
住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:上野 真吾、以下「住友商事」)と国立大学法人東京大学(東京都文京区、総長:藤井輝夫)大学院情報学環・学際情報学府 教授越塚登(こしづか のぼる)研究室( https://www.koshizuka-lab.org/ 、以下「越塚研究室」)は大規模言語モデル(Large Language Model、以下「LLM」)を用いて、リテイルデータ活用の高度化に向けた共同研究開発を開始することに合意しました。

共同研究開発の背景
近年、小売業界ではデジタル技術の急速な進展に伴い、顧客の購買行動や多様化・複雑化した嗜好をデータで把握することが可能になりつつあります。さらに、生成AIをはじめとするAI技術の実用化が加速したことで、膨大な顧客データや商品データから顧客の多様な価値観を抽出することが可能になり始めています。こうした環境変化により顧客の多様なニーズを的確に捉えて最適な商品・サービスを提供する方法の一つとして、複数の小売企業が保有する購買データベースを横断的に連携し、複数のデータを組み合わせた高度な分析を実現する新たなアプローチを構想しています。この構想の実現により、購買履歴や定性調査データなど複数のデータを組み合わせて分析することで、従来の分析では把握できなかった顧客ニーズを解明し、顧客のライフスタイルや価値観に即した新たなサービスの創出を目指します。
共同研究開発の概要
本共同研究では、越塚研究室が有するAI・機械学習などのコンピュータサイエンス分野における最先端の研究知見と、住友商事がリテイル事業で培ってきた小売事業経営やマーケティング・オペレーションのノウハウや購買データを融合し、LLMを活用した新たな分析システムの開発を進めます。本研究開発では対話型ユーザーインターフェースを採用し、メーカーや小売業者がID-POSデータの分析に費やす時間や労力を削減するとともに、専門的な知識を持たない担当者でも日々の業務の数値抽出から複数のデータベースの参照する高度な分析を容易に実行できる環境を整備し、業界全体のデータ活用の高度化を促進します。
今後の展開
2025年度内に住友商事グループ内のST共通プログラム(注1)に加盟している小売のデータを活用した分析システムのプロトタイプの開発を完了し、住友商事グループ内での実証実験を開始する予定です。その後は、システムの有効性を検証しながら、住友商事グループ内での利用範囲を拡大します。将来的にはグループ外の小売企業やメーカーなどへの展開も視野に入れています。
住友商事と越塚研究室は、共同研究で得られた知見を学術的な成果として公表し、産学連携を通じて、日本のリテイル事業におけるデジタル変革と社会課題の解決に貢献し、新たな価値創造を目指します。
- ST共通プログラム
加盟している小売で共通で使用可能な共通ポイントプログラムおよび共通電子マネーサービスを指します。
詳細:スーパー・サミットとドラッグストア・トモズの会員IDを統合、共通ポイント「STポイント」を開始