2025年11月13日
住友商事株式会社
インド最大手のエタノール製造会社TruAlt Bioenergyと協業、来年圧縮バイオメタンガス製造、販売へ~TruAlt Gas Private Limitedの一部株式を取得、バイオエタノールやSAFの製造も計画~
住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:上野 真吾、以下「住友商事」)は、2025年11月11日、インド最大手のエタノール製造企業であるTruAlt Bioenergy Limited(本社:インド ベンガルール、MD/CEO:Vijay Murugesh Nirani、以下「TruAlt社」)と、同社子会社であるTruAlt Gas Private Limited(本社:インド ベンガルール、代表者:MD/CEO:Vijay Murugesh Nirani、以下「TGPL」)の株式を一部取得し、協業することで合意しました。株式取得後、TGPLは社名をTruAlt Sumi Gas Private Limited(以下「TSGPL」)に変更する予定です。TSGPLを通して、インド国内に16基の圧縮バイオメタンガス(注1、Compressed Biogas、以下CBG)製造設備を今後3年間で建設し、2026年以降の順次操業開始を目指します。1日あたりのCBG生産量は16基合計で約320トン(インドで約80万家庭分の1日あたりのガス使用量に相当)を見込みます。CBGの原料には、サトウキビの搾りかすやエタノール製造時に発生する廃液をTruAlt社などから調達します。製造するCBGは、主に自動車燃料としてインド国内の主要な都市ガス供給事業者に販売予定です。また、CBG製造に加えて、バイオエタノール製造や、バイオエタノールを用いた持続可能な航空燃料(以下SAF)の製造など、TruAlt社との協働分野を拡張していきます。
住友商事は、インドでのCBG製造事業ならびにバイオエネルギー事業への参画を通して、今中期経営計画における強みを核とした成長事業のひとつであるエネルギーソリューション事業の成長を加速します。
インドにおけるCBG供給の促進
世界第3位のエネルギー消費国であるインドでは、今後のエネルギー需要増加を見据え、エネルギー自給率の向上を目指して2047年までのエネルギー自立達成を目標に掲げています。CBGは、農業大国でもあるインドで、作物生産時に廃棄される農業残渣などを原料として生産できることから、廃棄物の有効活用とエネルギー自給率向上の両側面に貢献する重要なエネルギー源と考えられています。インド政府は同国内のCBG供給を促進するため、自動車燃料と家庭用都市ガスへのCBG混合を義務化し、同国内の都市ガス供給事業者は、段階的に都市ガスへのCBG混合率を引き上げ、2028年には5パーセントのCBG混合率を達成する必要があります。そのため、インドにおけるCBG生産設備の増大は急務であり、CBG市場は拡大基調にあります。
TSGPLへの出資の狙い
TruAlt社は、インド大手の砂糖製造企業であるNirani Sugarsなどと同じ企業グループに属する、エタノール製造のインド最大手企業です。1日に約2百万リットルのエタノールを生産しています。TSGPLは、TruAlt社含む企業グループの製造拠点から排出される、砂糖製造時に発生するサトウキビの搾りかすや、エタノール製造時の廃液を原料として調達することで安定的なCBG製造を見込みます。住友商事は、主にCBGの販売、マーケティング活動において、これまで蓄積した知見やインド国内でのネットワークを生かし、両社の強みを掛け合わせることでインド国内でのCBG製造、供給を促進していきます。
今後の取り組み
TSGPLへの出資後、まずはサトウキビの主要生産地である、インド南部カルナタカ州とマハラシュトラ州で4基のCBG製造設備の建設を開始するともに、製造拠点拡張の戦略策定や実現可能性の調査を行います。加えて、住友商事およびTruAlt社の知見や経験を生かし、バイオエタノール製造設備の拡大や、バイオエタノールを用いた持続可能な航空燃料(以下SAF)の製造も将来的に検討していきます。
また、2025年8月に締結された日印二国間クレジット制度に寄与することを目指し、TSGPLを通してカーボンクレジット創出に取り組みます。
住友商事におけるバイオエネルギー事業
住友商事は、2050年の事業活動のカーボンニュートラル化や持続可能なエネルギーサイクルを実現するうえで、バイオエネルギーを重要な手段と位置付けています。2025年6月には、デンマークにバイオガス製造事業のNorth Sky A/Sを設立し、住友商事として初のバイオガス製造事業に参画しました。現在、純国産SAF製造実現に向け日本国内で「森空プロジェクト」を推進するほか、在マレーシアreNIKOLA社とバイオエネルギー開発に関するMOUを締結するなど、各国での開発検討を進めています。
住友商事のエネルギーイノベーションイニシアチブSBUは、今後もバイオエネルギー事業分野での取り組みを強化していきます。
調印式の写真
TruAlt社のエタノール製造設備(調印式翌日に訪問)
- 圧縮バイオメタンガス(Compressed Biogas)
農業残渣など有機性廃棄物から生成され、燃焼時に新たな二酸化炭素を発生させず、原料が元々吸収していた二酸化炭素を大気中に戻すのみであることから、カーボンニュートラル化の実現に貢献すると考えられている。都市ガスの代替となるドロップイン燃料として活用されている。
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