2023年01月04日
住友商事株式会社
2023年社長年頭挨拶
本日、住友商事本社にて行われました、当社社長の兵頭誠之による年頭挨拶を下記の通りお知らせいたします。
記
皆さん、あけましておめでとうございます。東京の大手町本社より世界各地の住友商事グループの皆さんへ、新年の挨拶を申し上げます。
【外部環境】
昨年の世界情勢を振り返りますと、国・地域により差はありますが、COVID-19との共存、社会経済活動の正常化が一段と進みました。
人の往来も回復し、私自身、国内出張に加え、約2年ぶりに海外へも出張し、現場の皆さんと顔を合わせてお話できたのはとても嬉しい出来事でした。一方、ロシア・ウクライナ情勢など、地政学的リスクが顕在化し、世界が大きく揺れ動きました。こうした動きは、エネルギー、素材、食料などの価格高騰を招き、また、インフレに対する金融引き締めなどを通じ、世界経済に下押し圧力を与えました。
また、欧州で夏に40度を超える気温を記録、世界各地で森林火災や洪水が発生するなど、地球温暖化が原因と考えられる地球規模の自然災害が多発しました。カーボンプライシングや国境調整の仕組みの具体化を含めた脱炭素への取り組み強化など、気候変動問題解決を目指した多くの努力が続く一方で、足元のエネルギー危機への対応から、先進国を中心にCO2排出が逆に増えてしまうなど、 脱炭素と経済活動の両立の難しさが露呈しました。
今年の世界情勢・経済見通しについて、住友商事グローバルリサーチは、“進む分断、救世主無き停滞” と表現しています。
私はこれを“我が道を切り拓くのは私たち自身”と捉えています。昨年来のインフレが今後も継続し、雇用・財政・債務への圧力が上昇し、金融市場でボラティリティが大きくなる可能性があります。その結果、世界経済の減速リスクが高まると見ています。今年待ち受ける経済環境は予断を許しません。しかしながら、当社の歴史を俯瞰してみると、諸先輩はこれまでも厳しい環境を乗り越えてきました。今を担う私たちも、中期経営計画「SHIFT 2023」の構造改革により、守りと攻めの陣形を整えてきました。当社に備わったリスクをマネジする仕組みと実力を活用しつつ、刻々と変化する情勢に機敏に対応すること、そして何より変化をチャンスと捉え、その時々の社会が必要とする価値を提供し続ける、正に我々の実力を発揮する年としましょう。ビジネスの基本動作を大切にし守りを固めつつ、来る厳しい環境や大きな変化の先にある私たちの目標に向かって、したたかに我が道を拓いていきましょう。
【当社にとっての2023年】
もう少し具体的にお話します。
昨年11月に発表した第2四半期の決算では、純利益が過去最高益を更新しました。通期でも過去最高益を2年連続で更新する見込みです。2021年3月期には大きな損失を計上し、私自身大変悔しい思いをしました。そこから全社一丸となり、構造改革に取り組んだ努力が実り始めています。COVID-19の影響を受け、生活にさえ不安がある中、世界各地の現場で皆さんの大変な努力がありました。私はそれを誇りに思っています。まさに、現場の実行力の賜物です。当社の強みは皆さんです。今年は、皆さんが成長に向け思う存分に力を発揮しさらなる成長を果たせるよう、職場環境とより良い風土を作ることにも取り組んでいきます。
2023年は、社会の大変革の時勢に、その機を捉えて全社一丸となり、SHIFT 2023を完遂し、飛躍的な成長への一歩を踏み出す年にしたいと思います。
世の中ではデジタル化、グリーン化を軸に産業構造や経済社会の変革の潮流が益々加速しています。産業の垣根を越えた、大変革のうねりの中、当社の総合力や機能が求められる機会が確実に増えています。DXやサステナビリティ経営を更に磨き、事業ポートフォリオのシフトを進めていくことが、当社グループ成長戦略の一丁目一番地です。
実際に、エチオピアの総合通信事業やインドネシアのエナジートランジションに関わる取り組み、また、その他世界各地でも当社らしい案件が産声をあげています。それぞれの国・地域の発展に貢献しながら、新しい価値を生み出し、将来的な拡張性もある、いずれもとても楽しみな案件です。
私たちが実践すべきは、長期的な視点で立てた事業戦略を手にして、社会・お客様の課題解決に向け仕組みを練り上げ、ビジネスに組み込むこと。そして、当社に強み・競争力がある分野に、積極果敢に経営資源を投下することです。足元の現実を重んじつつも、同時に遠い将来を考え、緻密な計画を立て、継続的に実現へ向けた努力を重ねること、まさに住友の事業精神にある企画の遠大性を体現していくことで、これからも長期にわたり持続的に成長していけるものと私は確信します。
【役職員へのメッセージ】
夢・志
こうした取り組みを進めていくために、新年にあたり、今日ここで皆さんと改めて考えたいことを2つお話しします。
1つ目は夢・志です。社長就任時に申し上げました。“夢なきものに成功無し”。
私たちのビジネスは、多くのステークホルダーとの相互協力関係がとても大切です。お取引先/パートナー、政府機関/国際機関、国/地域住⺠の方、投資家、世間⼀般・・・そして私たち⾃⾝。多くの方々から協力を得るための第一歩は何でしょうか?
昨年私は世界20以上の都市で、事業現場を訪問したり、あるいは対面やWEB会議を通じて、社内外の多くの方と対話する機会を得ました。製造現場、建設現場、これから拡大していこうとする事業会社、改革真っ只中の事業会社、開業を迎えた工業団地、60周年記念を迎えた事務所、事業開発の現場、研修の場、フォーラムなど、様々です。
そこでお会いした全ての方から、自ら手掛ける仕事や事業への思い、情熱、成し遂げたい夢や志について伺う事が出来ました。大変頼もしく感じると同時に、この方々であれば仕事や事業を任せられる、或いは一緒に努力できる、との思いを強くし将来への期待が膨らんだ事を、昨日の様に覚えています。
お会いした皆さんが抱いている夢や志が、私にそう感じさせる力を持っていた。現在当社グループを支える全ての事業には、長年、ステークホルダーの皆様と共に、そういった夢や志のたすきを受け継いできた多くの方々がいらっしゃいます。
仕事や事業を行っていると必ず苦しい局面に出くわします。⻑年信頼を築いてきたお取引先との関係でさえ、世代交代と世の変化に伴い変わってしまうこともあります。そのような時にでも、⼈から共感と協力を得る⼒となるのは、私たち自身が語る夢や志、そしてそれを実現するまでやり遂げる私たちの覚悟だと思います。夢と志そして覚悟、これが窮地において必ず皆さんの支えとなり、成功に導いてくれます。
私の夢・志は2つあります。
・力を合わせて、人々の暮らしを、私たちの暮らしを、より豊かにしたい。私たちの事業を通じて、変わりゆく社会をさらに魅力あふれるものにしたい、ということ。
・これを実現するために、商い・投資のプロとして、基本動作を徹底し、ダイナミックに応用する、ということ。
皆さんもご自身の夢・志、そして具体的目標を掲げやり遂げる覚悟を胸に、仲間と新たな成長に向けた取り組みを進めてもらいたいと思います。それぞれの夢・志の実現に向け、共に努力を重ねていきましょう。
強みを活かす
2つ目は、私たちの強みを活かすということです。当社グループには、強みがあります。先人が築いた信用があります。そして、それぞれの事業基盤、それを支える営業力とコーポレート機能、そこに集う多くの人材があります。
当社を支える各ビジネスに目を向けると、必ずこの信用と人材の強みがあります。基本動作の第一歩は、培ってきた強みを活かし、無ければその強みを新たに手にした上で、代替困難なポジションを獲得すること、すなわち戦略的不可欠性の構築です。事業の存在が、社会・お客様にとって不可欠となるような機能や分野を戦略的に拡大していくことが肝要です。これが当社の持続的な成長に繋がります。
改めて、それぞれのビジネスにおいて、私たちがお客様にとって欠かせない存在になれているか、また、どうしたらなれるかを考え、具体的施策を立案し、実行する。強みを活かしてビジネスを築き、その基盤の上に更に機能を拡張することで、当社の戦略的不可欠性・競争力は確実に磨かれていきます。
申し上げました、二つの点、夢・志と覚悟を持ち、私たちの強みを活かして、”Enriching lives and the world”の実現に向けて、全社一丸となり、今年も努力を重ねていきましょう。
結びにあたり、2023年が、当社グループの益々の発展、そして皆さんと皆さんのご家族にとって、幸せな1年となることを祈念して、年頭の挨拶と致します。
※これは、2023年1月4日に、住友商事グループ役職員向けに行われた年頭挨拶です。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大対策を十分に講じたうえで、オンライン配信と対面のミックスにて実施しております。
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- 住友商事株式会社 広報部 報道チーム
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