2024年05月07日
住友商事株式会社

成長著しい東南アジアの民間医療・クリニック事業に本格参入~マレーシア最大のクリニック事業者への出資でヘルスケアビジネスを拡充~

住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:上野真吾、以下「住友商事」)は、マレーシアで民間医療クリニックを経営するCareClinics Healthcare Services(以下「CCHS」)への出資を通じ、成長著しい東南アジアの民間医療・クリニック事業に本格参入します。

CCHSは、マレーシアで104施設のクリニックを運営する民間医療グループです。年間延べ約200万人の患者数を有しており、地域に根差したプライマリケアサービス(※1)を提供しています。住友商事は、リテイル事業やドラッグストア・調剤薬局事業を通じて獲得した有店舗チェーンストア運営の知見を活かし、便利で質の高い医療サービスを提供するべく2020年にCCHSに出資参画。以降、複数回の増資を経て今回筆頭株主となりました。
住友商事は、CCHSに対し、成長資金の提供に加え、戦略策定、事業開発・内部統制等の体制強化といった様々な支援を実施しています。具体的には、各地域におけるクリニックの需要を分析、需要が充たされていない地域においては、営業時間を延長するなど各地域に住む患者のライフスタイルに合わせた運営体制を敷くことで、地域の医療インフラとして貢献しています。また、全てのクリニックで医療サービスを標準化しつつ、デジタルを活用することで患者情報を一元管理し、シームレスに質の高い医療サービスを提供しています。
双方の強みを活かし、クリニック数は協業当初の18施設から104施設(2024年3月時点)にまで拡大し、マレーシアでNo.1の事業規模を有する民間医療クリニックとなりました。
今後は、2026年までに300施設への拡大を目指し、マレーシアにおける強固な事業基盤を確立していきます。さらには他国へのクリニック展開や、グループ会社SC Healthcare Holdingsが展開するマネージドケア事業(※2)との連携を通じ、東南アジアにより良い医療サービスを提供しながら、ヘルスケア事業の拡大を目指します。

(※1)プライマリケアサービス:
国民の健康管理やかかりつけ医の機能として、未病・予防からあらゆる健康上の問題、疾病に対し、総合的・継続的に対応する地域の保健医療機能。

(※2)マネージドケア事業
主に公的医療制度が充実していない国で発展しつつある管理医療システムで企業・民間医療保険会社、マネージドケア事業者、医療機関の三者が連携して医療サービスを提供する仕組み。

CCHSのクリニックの写真

マレーシアの医療の現状

近年、マレーシアでは、高齢化や生活習慣病の増加など、高まる医療需要に対し、医療サービスの質の向上や供給が追いついておらず、適切な医療サービスを受けられない、診療を受けるまでに時間を要する、など課題が表面化しています。また、医療技術の発展も相まって、医療費が増大しており、患者や企業、保険会社の負担が過大になってきています。
そのような環境下において、効率的で利便性の高いクリニックが、健康管理の最初の窓口や、かかりつけ医の担い手となることが期待されており、マレーシア政府は、プライマリケアサービスの中で地域のクリニックが重要な機能を発揮することを推奨しています。

住友商事が取り組む意義 マネージドケア事業との親和性

住友商事は、「ヘルスケア」関連事業を中長期的に強化・育成すべく、国内外で調剤併設型ドラッグストアの展開や地域包括ケア体制の構築、創薬支援などに取り組んでおり、東南アジアではマネージドケア事業を展開しています。
マレーシアにおいては、クリニック訪問患者の約6割が、マネージドケア事業者が契約する医療保険の会員、もしくは企業の従業員となっています。マネージドケアの会員は、マネージドケア事業者が契約するクリニックを利用する必要があることから、マネージドケア事業とクリニック事業の親和性は非常に高く、良質で効率的な医療サービスの提供には密な連携が必要不可欠です。
住友商事は、クリニックとマネージドケア事業者との連携を通して、マネージドケア事業者の法人顧客への企業内クリニックの提供や、従業員に対する健診などの未病・予防プログラムを提供し、健康管理のサービスを提供します。また、各事業から得た知見・各種データをもとに、医療費抑制・適正化のサービス提供を開発、未病・予防サービス、疾患リスクの高いマネージドケア会員の早期発見と医療の提供、ケア状況の管理などを通して、患者や医療機関、企業、国・自治体の財政などに貢献していきます。

<CareClinics Healthcare Services Sdn. Bhd.概要>

会社名 CareClinics Healthcare Services Sdn. Bhd.
設立年月 2017年
事業内容 マレーシアにおけるプライマリケアサービス事業
従業員数 959名(2024年3月時点)
施設数 104施設(2024年3月時点)
クリニック所在地 KL、セランゴール:78施設、イポー:8施設、マラッカ:11施設、
ジョホール:4施設、ペナン:1施設、その他2施設

~住友商事が取り組む東南アジアでのヘルスケア事業について~

住友商事は、1993年に「調剤併設型ドラッグストア」であるトモズを創業して以来、日本において地域医療の質を高める取り組みを行ってきました。その知見を活用し、「個人のQuality of Life向上に資するサステナブルなヘルスケアシステムの構築」を掲げ、国内外でのヘルスケア事業拡大に乗り出し、2019年に海外ヘルスケア事業に参入しました。
住友商事は、マレーシアではグループ会社SC Healthcare Holdings、ベトナムではInsmartに出資参画し、マネージドケア事業を展開しています。
住友商事の参画以前からあった医療費決済管理および医療インフラとしての役割に加え、オンライン診療・調剤の開始、健康増進プログラムなどの付加価値サービスを推進することで、マネージドケア事業の高度化および社会課題解決に取り組んできました。その結果、SC Healthcare Holdingsでは、マレーシアにおいて業界最大の市場シェアを有しています。さらに今後、医療データの分析・活用を通じた事業拡大を続け、2030年までにマレーシアにおける取扱医療費を約300億円抑制することを目指すとともに、シンガポールやフィリピンなど東南アジアの他地域への事業展開も積極的に検討しています。
マネージドケア事業者とクリニック事業の連携を通じて、今後も東南アジアの医療を支える社会インフラとしてのネットワークを構築していきます。


本件に関する問い合わせ先
住友商事株式会社 広報部 コミュニケーションチーム
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