2021年03月26日

ゲノム医療情報技術によるがん治療の質向上を目指し、ゲノメディアとの協業を開始

住友商事は、ゲノム(※1)医療情報サービスを提供するGenomedia(ゲノメディア)と資本業務提携し、ゲノム医療領域における業容拡大に向けて協業を開始しました。

ゲノメディアの魅力

ゲノメディアは「ゲノム情報を活用して、豊かな生活、より良い地球環境の実現に貢献」をミッションとして掲げる、東京大学発のスタートアップ。がんゲノム医療(※2)における患者の遺伝子異常情報や臨床情報などをもとに、有効な治療法などの情報収集を支援するための知識ベース(※3)を用いて、ゲノム医療を推進する医療機関・研究機関・サービスプロバイダなどに対するゲノム医療関連情報サービスのソリューション提供をしています。

がんゲノム医療では、医療機関が採取した患者のがん組織を、解析センターなどで解析、検出された遺伝子異常に対する薬剤、治験情報などの治療法の候補が医療機関で検討されて、最適な治療法や薬剤が判断されます。患者一人一人に合わせた、より良い治療選択が期待できる一方、患者の治療法決定に際しては、主治医の他、がん薬物療法や遺伝医学、病理学、分子遺伝学、バイオインフォマティクスなど、幅広い分野の医師や専門家が参加する専門家会議が開かれ、患者ごとに適した治療法や薬剤を慎重に判断しています。

ゲノメディアの開発した知識ベースは、薬剤・治験情報など幅広い最新情報を取り込んでおり、医師はこれらの最新情報から、有効な治療方針を検討するために必要な参考情報を得ることができます。また、従来のがん組織から調べるゲノム検査だけでなく、米国で先行して承認が進む、血液などから解析を行うリキッドバイオプシーで得られた遺伝子異常情報にも対応しており、今後の活用拡大が期待されています。さらに同社は、2015年より、国内最先端のがん治療を手掛ける国立がん研究センターをはじめ、さまざまな医療機関、研究機関に各種サービスを提供し、現場医師からのフィードバックを受けブラッシュアップを続けています。

ゲノメディアが開発するデータベースサービスのイメージ図

ゲノメディアと当社との協業

住友商事は今回の資本業務提携により、ゲノメディアのサービスの医療機関向け営業と、新規事業開発を支援していきます。100パーセント子会社の住商ファーマインターナショナルから競争力のあるゲノム解析機器や試薬を提供するなどの連携も進行中です。また、米国の優れた技術やサービスと、ゲノメディアのサービスを掛け合わせるなど、海外マーケットにおける先進企業との戦略的提携などの検討が進んでいます。

医療分野におけるデジタルトランスフォーメーションは、今後さらなる加速が見込まれており、当社は医療のデジタル化に資する新たなビジネス創出に取り組み、日本の医療のさらなる質の向上に貢献していきます。

  1. ゲノム:あらゆる生物が持つ遺伝情報のこと
  2. がんゲノム医療:がんは遺伝子の異常が原因で起こる病気だが、その遺伝子異常は患者ごとに異なる。がんゲノム医療では、一度に多数の遺伝子を調べて遺伝子異常を明らかにし、患者一人一人の体質や症状に合わせて診断や治療を行う。日本では、2019年6月に主にがん組織を用いて多数のがん遺伝子を同時に調べる「がん遺伝子パネル検査」が保険適用されるなど、がんゲノム医療が急速に普及している
  3. 知識ベース:さまざまな場所に散在し、日々更新されていく多様な情報を収集したうえで整理し、検索サービスなどの自動化されたシステム・サービスにおいて利活用しやすい形に整備したデータベースのこと

ゲノム情報を活用して、医療の質向上へ貢献する

ゲノメディア代表取締役社長 山田 智之氏

ゲノム解析に必要なコストは過去15年で1000分の1以下にまで減少し、近年個人の全ゲノム解析も10万円以下で実施できるようになりました。その結果、さまざまな領域でゲノムを解析することのメリットがデメリットを上回り、活用の幅が広がってきています。特に医療の領域においては、ゲノム情報の活用は今後ますます重要になると考えています。

ゲノメディアでは、これらのゲノム情報を、高品質な新しい医療に役立てるためのゲノム医療情報解析サービスと、知識ベースの開発を進めています。今回、住友商事からの出資を受け、ゲノム医療を推進する医療機関・研究機関・サービスプロバイダなどに対するソリューション提供を加速し、ゲノム医療情報を活用した創薬支援、ゲノム医療の質向上への貢献を進めてまいります。



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