2021年11月25日

環境対応ビジネス専任組織「グリーンケミカル開発室」の設立と、カーボンリサイクルを目指したセンビタへの出資

2021年5月、住友商事は環境対応ビジネスの創出を目的として「グリーンケミカル開発室」を基礎化学品・エレクトロニクス本部に設立しました。石油化学品、無機・機能化学品、電子材料などを幅広く取り扱う同本部の各部署から、循環経済をはじめ、環境負荷の低減に資する知見や情報を同室に集約することで、社内外の連携を強化しつつ、新事業の具体化を急ぎ、新しい価値創造に取り組んでいます。

21年10月には、同室の出資第一号案件として、Cemvita Factory(センビタ)の株式を取得しました。

二酸化炭素からエチレンを製造するセンビタ

米国のスタートアップであるセンビタは、微生物による二酸化炭素(CO2)の分解反応を活用して、CO2を原料にエチレンを製造する技術を保有しており、商用化に向けた研究開発を進めています。

近年、世界中で脱プラスチックの動きが加速し、日本でもレジ袋の有料化や飲食店での紙ストロー導入などが進んでいます。一方で、軽量で加工が容易という特長から、自動車や家電の製造などには引き続きプラスチックが必要とされ、原料であるエチレンも堅調な需要が見込まれます。このような状況下、石油化学分野においてもカーボンニュートラル化に向けた要望が高まっており、エチレンをはじめとする石油化学製品の製造過程でCO2を排出しない、もしくは、発生するCO2を回収・活用し大気へのCO2排出をゼロとすることが期待されています。

当社は、センビタによる非化石燃料由来のエチレン製造技術の確立を支援し、その知見やノウハウを活用することで、エチレン需要への対応と、環境負荷の低減・脱炭素への貢献の両立を目指します。また、センビタはさまざまな微生物を活用した技術を有しているため、石油化学分野以外での協業も検討していきます。

センビタは、エチレン製造の数年以内の商業化を目指している

環境負荷低減に資する技術と住友商事グループの強みを生かし循環社会構築を目指す

グリーンケミカル開発室 室長 高村 豊

昨年6月、当社グループはサステナビリティ経営の高度化の一環として、6つの重要社会課題と長期目標を定め、その一つに「循環経済」を設定しました。これは、リサイクル、省資源型の技術・商品への転換や、天然資源の持続可能な調達に取り組むことで、資源循環型社会の実現に貢献するものです。自動車、家電、消費財など全ての産業を支えるのが化学素材であり、このバリューチェーンを最適化しない限り、真のカーボンニュートラルは実現できません。

当室では3つのイノベーション(リサイクル、リソース、プロダクト)を駆使することで社会課題に対する答えを導き出し、豊かな生活や持続可能な世界を築きます。また、新事業の創出を通じて、当社グループの長期目標の達成を加速させます。


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