2023年02月03日

チリにおけるグリーン水素・アンモニア製造に関する覚書締結について~日本・チリにおける脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進~

住友商事は、チリの大手発電・エネルギーソリューション事業者であるColbún S.A.(以下「Colbún社」)と、チリにおけるグリーン水素・アンモニア製造事業の開発に向けた協業に関する覚書(以下「本覚書」)を締結しました。

Colbún社との覚書締結の様子(左:José Ignacio Escobar Colbún社CEO/右:早川チリ住友商事社長)

グリーン水素・アンモニア製造におけるチリの優位性

チリは赤道近くから南極まで全長約4,300キロメートルに及ぶ国土を持ち、北部は太陽光発電、南部は風力発電の世界有数の適地です。グリーン水素・アンモニア製造に占める電力コストの比率は高く、再生可能エネルギーを用いて低コストで製造できる可能性が高いチリは、世界中から注目されています。チリは2020年に「グリーン水素国家戦略」を発表し、2030年までに世界で最も競争力のあるグリーン水素生産体制を構築し、2040年までに世界トップ3の水素輸出国家になるという目標を掲げています。

Colbún社とは

Colbún社はチリの大手独立系発電事業者であり、さまざまな形態の発電所をチリとペルーに27カ所保有しています。発電容量は約4,000メガワットにおよび、チリ国内発電市場の約15%を占めます。2050年のカーボンニュートラル化に向けたロードマップのもと、再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵、eモビリティ(※1)、分散型発電、エネルギー効率向上など、脱炭素化に関する幅広いプロジェクトを推進中です。2030年までには約3,000メガワットの再生可能エネルギー発電事業の新規立ち上げを目指しています。また、812メガワットのラテンアメリカ最大規模の風力発電事業を手掛けるなど、グリーン水素・アンモニア製造の鍵を握る大型発電事業開発に関して優れた専門性を有しています。

  1. eモビリティ:バッテリーや燃料電池といった電力により車両の動力を得ることを指し、具体的には電気自動車などが一例

本覚書のもと、グリーン水素・アンモニアの製造・輸出を共同で検証

本覚書はチリ北部および南部におけるグリーン水素・アンモニア製造事業および輸出事業の開発を目指すものです。北部ではColbún社が開発中の大型太陽光発電事業および当社100%子会社であるInteracid Trading Chile S.A.が有する港湾設備、南部では風力発電を活用した事業開発を行います。

再生可能エネルギーを用いたグリーン水素・アンモニア製造の技術的・経済的課題は、利用する電源の出力変動のコントロールを通じた、水素・アンモニア製造設備の安定操業です。当社は、様々な産業で培った事業開発・運営の知見を活用し、パートナーであるColbún社と共に課題解決に取り組んでいきます。

本覚書の締結式でColbún社CEOのJose Ignacio Escobar氏は、同社が2030年に向けて定めた戦略における本覚書の重要性を強調しました。

(以下、同氏コメント)
「住友商事とともに、大規模グリーン水素・アンモニア事業開発に取り組めることを光栄に思います。本覚書は非常に重要なステップであり、グリーン水素やその他新エネルギーを含む新たな領域における当社の成長戦略をより強固なものにし、またチリがグリーン水素および関連クリーンエネルギーの大国へと変革することを促進するものです。グリーン水素・アンモニアは、化石燃料を電力以外の熱エネルギー等として利用する産業領域(工場でのボイラー使用など)での脱炭素化実現のための最良の選択肢の一つです。」

チリから日本へのグリーン水素・アンモニアサプライチェーンの構築

当社は本覚書締結に先立ち、2022年4月に日本企業とともに、チリから日本へのグリーン水素・アンモニアサプライチェーン構築に関する事業性評価(以下「本事業性評価」)を開始しています。

本事業性評価は、「チリ―日本間のグリーン燃料アンモニアサプライチェーン構築・最適化に関する事業化調査」として日本の経済産業省から補助金を得ており、またチリのエネルギー省他政府機関から現地の候補地選定や法制度面での情報提供等についての正式なサポートを得ています。両国政府に認知されながら民間が主導する点が大きな特徴です。当社は、本事業性評価で得られた成果がColbún社との協業を一層強化すると考えています。

住友商事グループは、水素を脱炭素社会における将来の重要なエネルギーのひとつとして位置づけ、地域や水素の特性を活かした地産地消型の水素事業、水素の大量製造・輸送/貯蔵・利用を推進する大型水素バリューチェーン事業、新技術への投資など、水素関連の事業開発に多角的に取り組んでいます。また、アンモニアについても、競争力のあるクリーンアンモニア供給網の開発、アンモニアバンカリング船の設計開発、海上輸送や貯蔵など関連するインフラ開発を含むサプライチェーンの構築など、さまざまな事業を検討・推進しています。今般のColbún社との協業を含む水素・アンモニア関連事業の推進により、持続可能なエネルギーサイクルを実現し、脱炭素化社会の構築および気候変動緩和に大きく貢献すべく、今後もさまざまな取り組みを加速させていきます。


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