2023年02月03日
日本製紙株式会社
住友商事株式会社
Green Earth Institute株式会社
木質バイオマスを原料とする国内初のセルロース系バイオエタノール商用生産およびバイオケミカル製品への展開に向けた協業に関する基本合意書の締結
日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:野沢 徹、以下「日本製紙」)、住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員CEO:兵頭 誠之、以下「住友商事」) およびGreen Earth Institute株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役CEO:伊原 智人、以下「GEI」)は、「木質バイオマスを原料とする国内初のセルロース系バイオエタノール商用生産およびバイオケミカル製品への展開」に向けた3社による共同検討を開始することに合意しました。
現在、バイオエタノールは、再生可能エネルギーやSAF(※1)のようなバイオ燃料の原料、環境負荷の低い化学品原料として、カーボンニュートラル社会の実現に向け世界各国で注目されています。木質バイオマスを原料とするセルロース系エタノールは第二世代エタノール(※2)に分類され、森林資源が豊富な我が国において、国内森林資源の利活用、エネルギー安全保障やエネルギー自給率の向上といったさまざまな問題を解決できる可能性があります。
このような状況を踏まえ、3社は日本製紙の工場内で、年産数万キロリットルの国産材由来のバイオエタノールを2027年度に製造開始することを目指し、検討していきます。製造されるバイオエタノールは、国産材の利活用や脱炭素社会への寄与を考慮して、主に国産SAFなどの原料としての利用を前提とし、バイオエタノール製造で副次的に生成されるカーボンニュートラル由来CO2を用いたCCU(※3)や発酵プロセスの残渣の有効活用など、脱炭素社会に寄与するカーボンリサイクルの取組みも同時に検討していきます。
日本製紙は、これまで培ってきた紙パルプの製造技術を活用し、「木質由来のバイオエタノール」の万キロリットル単位の大量製造技術と本格的な供給体制を早期に確立することで、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、バイオケミカル分野への市場参入を加速し、脱炭素社会の構築や地球温暖化対策に貢献していきます。
住友商事は、2050年の事業活動のカーボンニュートラル化を目指し、社会の持続可能なエネルギーサイクルの基盤となる事業開発に多角的に取り組んでいます。水素、アンモニア、次世代バイオマス原燃料などによるカーボンフリーエネルギーの開発・展開、循環経済実現に向けたグリーンケミカルの利活用推進など、さまざまな事業を通じて得た住友商事グループの知見・スキルを集約し、本検討に貢献していきます。
GEIは、これまで培ってきたバイオリファイナリー(※4)技術を活用し、非可食バイオマスを原料とした、現在国内にはない万キロリットル単位のバイオエタノール商用生産プラントの実用化を実現することで、「グリーンテクノロジーを育み、地球と共に歩む企業」として、脱炭素社会の実現に貢献しつつ、日本におけるバイオものづくりの社会実装を進めていきます。
3社が相互に強みを発揮し、国産材を活用した、国内初の純国産セルロース系バイオエタノール商業プラントを実現し、低炭素バイオ燃料の早期社会実装や、我が国のエネルギー安全保障に寄与することを目指します。
- SAF:Sustainable Aviation Fuelの略語。持続可能な航空燃料。生産・収集から、製造、燃焼までのライフサイクルでCO2排出量を従来燃料より大幅に削減し、既存のインフラをそのまま活用できる持続可能な航空燃料のこと
- 第二世代エタノール:食料と競合しない非可食用のバイオマスを原料とするエタノールのこと。対比して、砂糖やでんぷん、植物油などのバイオマスの可食部を原料として製造されたバイオエタノールは第一世代エタノールと呼ばれる
- CCU:Carbon dioxide Capture, Utilizationの略語。CO2を分離・回収し、資源として作物生産や化学製品の製造に有効利用すること
- バイオリファイナリー:バイオマスを原料として微生物の力を活用し化学品を作ること