2023年02月27日

医療データ分析・活用を通じた東南アジアでのヘルスケア事業拡大について~ローランドベルガーシンガポールなどと協業し、医療費の抑制・適正化を図る~

住友商事は、東南アジアでのヘルスケア事業拡大に向けて、医療データ活用の知見を有する戦略コンサルティングのRoland Berger Pte. Ltd.(本社:シンガポール、代表取締役社長:Damien Dujacquier)と協業契約を締結しました。同社の知見を活用し、2023年度から医療データ分析を通じたさまざまな医療費抑制に資するサービスを展開します。また、本協業を足掛かりとし、東南アジアでのヘルスケアシステムの基盤をつくり、拡大していきます。

近年、東南アジアでは、高齢化や生活習慣病の増加などによって高まる医療需要に対し、医療サービスの質の向上や供給が追いついておらず、適切な医療サービスを受けられない、診療を受けるまでに時間を要するなどの課題が表面化しています。また、医薬品、医療技術などの発展も相まって医療費が増大しており、患者や企業、保険会社の負担が過大になっています。

加えて、スマートフォンの普及、ビッグデータ、AIといったテクノロジーの発展により、オンライン診療や在宅医療といった医療アクセスの「多様化」、ゲノム医療などの個人に応じた医療のオーダーメイド化による「個別化」が進んでいます。さらに、医師と患者との情報の非対称性の是正が進むことにより、医療の主体が患者自身にシフトする「主体化」も加速しています。これら医療需要の変化が今後進んでいく一方、東南アジアでは、データを有意義に活用するための仕組みがまだ十分に整備されていません。

当社は、これらの課題解決に向けた取り組みとして、ベトナムおよびマレーシアでマネージドケア事業(※)を展開しています。さらに今後は、マネージドケア事業で得た医療データの分析・活用を進め、東南アジア全域における医療費の抑制・適正化を目指します。具体的には、個人の携帯アプリなどを通じ、適正価格の病院・クリニックへの誘導、慢性疾患のレベルに合わせた健康指導や服薬指導プログラムの提供などを検討していきます。

当社は、中期経営計画「SHIFT 2023」において「ヘルスケア」を次世代成長戦略テーマの一つに掲げ、国内外で調剤併設型ドラッグストアの展開や地域包括ケア体制の構築、創薬支援などに取り組んでいます。今後も、世界各国のヘルスケア市場において企業・民間医療保険会社や個人と医療機関をつなぐ存在として、良質で効率的な医療サービスを提供します。また、医療機関と一丸となったDX推進や医薬品流通、医療データ整備などの周辺事業への参画も視野に入れた、サステナブルなヘルスケアシステムの構築を通じて、生活水準の向上に貢献します。

(※)マネージドケア事業
主に公的医療制度が充実していない国で発展しつつある管理医療システム。企業・民間医療保険会社、マネージドケア事業者、医療機関の三者が連携して医療サービスを提供する仕組み。

当社が取り組むマネージドケア事業について

当社は、「個人のQuality of Life向上に資するサステナブルなヘルスケアシステムの構築」を掲げ、東南アジアにてマネージドケア事業を展開しています。

2019年にマレーシアのPM CareおよびHealth Connect Holdings、2021年にベトナムのInsmartに出資参画し、さらにマネージドケア事業のホールディング会社として2022年にマレーシアにSC Healthcare Holdingsを設立しました。当社の参画以前からあった医療費決済管理および医療インフラとしての役割に加え、オンライン診療・調剤の開始、健康増進プログラムなどの付加価値サービスを推進することで、マネージドケア事業の高度化および社会課題解決に取り組んできました。

その結果、当社が出資・運営するマネージドケア事業者に対する需要は、医療市場の成長と企業や民間保険会社の医療費抑制ニーズを背景に拡大を続けており、SC Healthcare Holdingsでは、マレーシアにおいて業界最大の市場シェアを有しています。さらに今後、医療データの分析・活用を通じた事業拡大を続け、2030年までにマレーシアにおける取扱医療費を約300億円抑制することを目指すとともに、シンガポールやフィリピンなど東南アジアの他地域への事業展開も積極的に検討していきます。

Roland Bergerについて

Roland Bergerは、ドイツで創業したグローバル戦略コンサルティングファームで、35カ国に51オフィスを展開し、全世界に1,000社以上のクライアントを有しています。東南アジアの主要都市にもオフィスを置き、現地に根付いた支援を実施しています。東南アジアのヘルスケア領域では、新規参入戦略や販売戦略、事業再構築やコストの最適化など、幅広いテーマにおけるプロジェクト経験があり、民間企業への支援にとどまらず、公的機関との医療政策立案にも従事するなど幅広い知見を有しています。

本件に関する問い合わせ先
住友商事株式会社 広報部 コミュニケーションチーム
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