2023年06月23日

住友商事グループでの生成AIの活用検討について~生成AIにより、DX推進を加速させる~

住友商事は、2023年4月にグループ会社のSCSK、Insight Edge、SCデジタルメディアとともに、CDO・CIO傘下組織の生成AI活用ワーキンググループを組成し、5月より事業現場における生成AI活用の実証実験を開始しました。

当社は、グループ全体で生成AIに関するノウハウを蓄積・共有し、産業分野を問わず、さまざまな事業において迅速に生成AIの活用を進めることで、既存事業の高度化や新規事業の創出につなげます。

生成AIの進化と企業への導入

OpenAI社によるChatGPTの公開以降、生成AI技術の発展と企業での活用が急速に進んでいます。生成AIは、人間が日常的に使っている自然言語による入力・出力が可能で、議事録の作成やアイデア出しなどのさまざまな業務を支援します。さらに、既存の事業やサービスに取り入れることで、ユーザーエクスペリエンスの向上などに寄与します。一方で、使い方を誤ると情報漏洩や法令違反のリスクがあるため、企業での利用は慎重に検討する必要があります。

AI活用を推進する当社の体制

当社グループは2018年4月に、組織横断的にDX支援を行う「DXセンター」を設立し、幅広い産業分野におよぶビジネスの現場で、それぞれの課題にデジタル技術を掛け合わせて既存事業の高度化と新規事業の創出を図ってきました。これまで、グローバルCVCなどを通じてスタートアップ企業との協業に取り組むとともに、最先端技術やイノベーションを積極的に取り込んできました。

当社グループは、生成AIをディスラプティブ(破壊的)な技術であると捉え、不可逆な変化が起きることを見据えています。生成AIを活用し、当社グループのDXを推進すべく、2023年4月に生成AI活用ワーキンググループを組成しました。グループ会社のSCSK、Insight Edge、SCデジタルメディアとともに、Microsoft 社のAzure OpenAI Serviceの利用・活用方法に関して、日本マイクロソフト社と連携の上、情報共有を行っています。

2023年5月には、当社内において生成AIの実装を推進するCoE(※)組織「SC-AI Hub(スカイハブ)」を設立し、生成AIの活用による事業高度化・新規事業創出の支援や、情報漏洩・法令違反のリスク対応などを進めています。

  • CoE:センター・オブ・エクセレンス(Center of Excellence)の略。「組織を横断する取り組みの中核となる部署や研究拠点」を意味する
グループ会社と日本マイクロソフトのサポートを受け、当社のCoE組織「SC-AI Hub(スカイハブ)」が現場での生成AI活用を推進

具体的な生成AI活用

当社は、Insight Edgeとともに、以下の事業現場で生成AI活用の実証実験を開始しました。

  1. 鋼管トレード事業では一部業務を支援するアプリケーションの構築を開始。生成AIが社内ルールや関連法令、業務知識や過去の取引情報などを保持し、業務上のアシスタントとして機能するか検証します
  2. 消費者関連事業では、お客さまサポートセンターに寄せられた顧客の声(Voice of Customer)の要約、分析・点数化を行うレポートツールを構築し、より深いインサイトを捉えることで顧客満足度の改善につなげていきます

実証実験を通じて、構築した仕組みの有用性が認められた場合、事業ごとのデータセットを準備することで、他事業にも速やかに展開していきます。

鋼管トレード事業では、生成AIが社内情報を保持し、一部業務をサポートすることを目指す
消費者関連事業では、1日あたり1000件ほどの「顧客の声」が寄せられ、生成AI活用の余地が大きい

さらに、社内重要会議における資料や議事録などをデータセットとして保持し、経営における意思決定支援を行う生成AIチャットボットの構築も検討しています。経営層が、意思決定時に参考となる情報をチャットボットによって迅速に入手できるようにします。将来的には、社外における成功事例などのデータの取り込みも検討し、経営層による意思決定の迅速化・高度化を支援するシステムの実現を目指します。

また、生成AIを活用したデジタル分野における新規事業創出について、社外パートナーとの事業化も検討を開始しています。当社の経営リソースや専門性を生かしたAIインテグレーション事業やAIコンサルティングサービスの展開を目指します。

当社グループは、生成AIを事業現場で活用することでDXを一層推進し、新たな価値創造を図っていきます。

生成AIを活用し社会実装へ ー 住友商事の内製DXエンジニアが挑むDXの新領域

Insight Edge 代表取締役CEO 小坂 順一

DXセンターの一翼を担うInsight Edgeは、住友商事の内製DXエンジニア会社として、最先端のデジタル技術を活用して、日々、住友商事グループの多岐にわたる現場ビジネスの生産性向上と価値創造に取り組んでいます。

生成AIの進展、特にChatGPTのような技術は、新たなパラダイムシフトを切り開く可能性を秘めています。我々は最先端のエンジニア組織としていち早く当該技術の社会実装を推進すべく機会とリスクを的確に見極めながら、内製組織ゆえの現場との距離の近さを生かし、生成AIの現場でのスピーディでアジャイルな適用を探求しています。

引き続き、住友商事内外のステークホルダーと緊密に連携し、"デジタルソリューション総合商社"としての総合力を結集して、現場ビジネスのデジタルバリューアップを推進していきたいと考えています。



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