2024年02月08日

米国における木質バイオマス由来のSAF(持続可能な航空燃料)生産に向けた共同開発契約を締結~低炭素SAF生産事業により航空業界の脱炭素化に貢献~

住友商事は、米州住友商事(以下、総称して「当社グループ」)を通じて、再生可能燃料の開発事業者Strategic Biofuelsと、米国ルイジアナ州における木質バイオマス由来のSAF(持続可能な航空燃料)生産に向けた共同開発契約(以下、「本契約」)を締結しました。

本契約では、木質バイオマスを原料とした「ガス化・FT法」と呼ばれる製法によるSAF生産事業を共同開発します。「ガス化・FT法」とは、原料の木質バイオマスを合成ガス化し、その合成ガスをFT法(※1)を用いてSAFおよびナフサを生産するものです。 同時にSAF生産時に排出されるCO2を回収・貯留(CCS※2)するとともに、プラント内に併設されるバイオマス発電所から発生するCO2も回収・貯留(BECCS ※3)します。これら「ガス化・FT法+CCS+BECCS」の要素を組み合わせた複合SAF生産でサプライチェーン全体においてネガティブエミッションを実現します。
2029年の商業生産開始を目標に、年間約12万キロリットルのSAFおよびナフサを生産する計画で、将来的に第2、第3プラントの建設も視野に入れています。

当社グループは本契約の下、生産されたSAFおよびナフサと、付随するカーボンクレジットのオフテイク権を有します。SAFは、米国内で航空会社や燃料供給事業者向けに販売を想定しており、2050年に消費される航空燃料の100%をSAFとする目標を掲げている同国での航空業界脱炭素化へ貢献します。

<本プロジェクト概念図>

<プラントレイアウトのイメージ図>

航空業界の脱炭素化を実現するSAF

SAFは、従来の原油から精製されるジェット燃料に対し、バイオマス由来原料や廃棄物・廃食油を原料としています。生産・収集から、燃焼までのライフサイクルでCO2排出量を従来燃料より大幅に削減し、既存のインフラをそのまま活用できる持続可能な航空燃料として位置づけられています。国際航空運送協会(IATA)は、2050年に航空業界における温暖化ガスの排出量を実質ゼロとする目標を掲げています。一方で現在商用化されているSAF生産技術は限られており、今後も供給量を大きく上回る需要の伸びが見込まれているため、生産技術の多様化によって生産量を増加させることは喫緊の課題となっています。

住友商事グループのSAF分野での取り組み

住友商事グループは、「気候変動緩和」「循環経済」を重要社会課題として位置付け、「脱炭素・循環型エネルギーシステム構築を通じた新しいビジネスの創出」に挑戦しています。SAFを航空業界の2050年カーボンニュートラル実現の重要な手段、かつ中長期的な事業機会と捉え、グローバルにSAF生産・販売事業の開発に取り組んでいます。世界最大のジェット燃料の消費国であり政府支援策が充実している米国をはじめ、地域特性を踏まえた原料・製造方法で複数のプロジェクトに参画・推進することで、航空業界の脱炭素化、低炭素バイオ燃料の安定供給に貢献していきます。

  1. FT法:フィッシャー・トロプシュ法は、一酸化炭素と水素(合成ガス)から触媒反応を用いて液体炭化水素を合成する一連の過程。
  2. CCS:Carbon dioxide Capture and Storageの略語。CO2回収・貯留=排出されたCO2を他の気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入すること。
  3. BECCS:Bioenergy with Carbon Capture and Storageの略語。 CCSとバイオマスエネルギーを組み合わせた技術のこと。

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