2024年05月24日
住友商事株式会社
Reconciliation Energy Transition Inc.

カナダ・アルバータ州でのCO2回収・貯留事業に関する共同開発契約を締結

Reconciliation Energy Transition Inc.(本社:カナダ・アルバータ州、CEO:Stephen Mason、以下「RETI」)と住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:上野 真吾、以下「住友商事」)は、住友商事の子会社であるAmmolite Carbon Sequestration(アンモライト・カーボン・セクストレイション、以下「ACS」、本社:カナダ・アルバータ州、CEO:長谷川真一、以下総称して「住友商事グループ」)を通じて、カナダ・アルバータ州カルガリー東部のRETI East Calgary Region Carbon Transportation & Sequestration Hub プロジェクト(以下「本案件」)の共同開発契約を締結しました。また、本案件実施に伴い設立した投資事業有限責任組合RETI East Calgary Region Transportation & Sequestration Hub LPも本契約に署名しました。今回の契約締結は2023年10月にRETIと締結した  独占契約  に基づいて実施されたものであり、今後住友商事グループは本案件の2026年度CCS(※1)開始を目標とし、共同開発を進めてまいります。

年間最大1,000万トンのCO2貯留を想定する本案件は、圧入井(※2)、コンプレッサー(※3)、および輸送用パイプライン等を建設し、カルガリー東部帯水層でのCCSを推進します。CO2排出量削減を目指す既存の事業者および新規参入事業者に対してもサービス提供し、2050年までのカナダのネットゼロ(CO2排出量実質ゼロ)実現に貢献します。

サービス提供先(一例)

  • クリーンエネルギー規制遵守を目指す発電所
  • クリーン水素製造施設
  • バイオ燃料製造工場
  • DAC(※4)製造事業者
  • その他排出事業者

RETIと住友商事グループは、本案件への出資をもって長期的なパートナーシップを構築し、今後はカルガリー地域でのSAF(※5)製造事業やDAC事業を協業していきます。

RETI会長兼CEO Stephen Mason

「本日発表した住友商事グループとのパートナーシップは、持続可能な低炭素社会の実現に向けた大きな一歩です。本案件の開発はCO2排出量削減だけでなく、 先住民にとって有意義な株式所有の機会提供となります。このパートナーシップによって、両社はエナジートランジション分野における事業開発を加速させてまいります。」

ACS取締役兼米州住友商事 エネルギーイノベーション・イニシアチブ部長 長谷川真一

「RETIとの協力はまさに、気候変動対策と地域の発展を促進させる動きと言えます。本案件は、脱炭素実現への道のりを加速させるだけでなく、CCS事業における産業間連携を実現するものです。両社が保有する専門知識と資源を活用することで、CO2排出量削減へ向けた具体的な道筋を示し、アルバータ州ひいてはカナダ全域のクリーンエネルギーへの移行を支援していきます。」

住友商事 エネルギーイノベーション・イニシアチブSBU長 北島誠司

「世界的にもCCSの制度整備が進んでいるアルバータ州で、本案件に参画できることを大変うれしく思います。RETIとのパートナーシップ締結を大変喜ばしく思うと同時に、両社で協業し一刻も早い商業化を目指していきます。また本案件をきっかけに、SAF製造事業やDAC事業の共同開発など両社のパートナーシップ拡大を図り、カルガリー地域の脱炭素化のための強固な基盤を築いていきます。」

2023年11月に発表の通り、住友商事グループとInvest Albertaは  MOUを締結  し、アルバータ州全域におけるクリーンエネルギー事業を共同支援することで合意しています。その一環として両社は戦略的パートナーの発掘を進めてきており、今回のRETIとの契約締結につながりました。

Invest Alberta CEO Rick Christiaanse

「アルバータ州はカナダのエネルギー転換をリードする地域であり、RETIとのパートナーシップによって、同州のCO2排出量を削減し経済成長に寄与していきます。日本とアルバータ州の関係強化は、両地域におけるエネルギーの多様化とサステナビリティの実現に向けた重要な一歩と言えるでしょう。今後も住友商事グループおよびRETIと協力し、よりインパクトのあるネットゼロ達成のソリューションを生み出すことで、新たな雇用機会を創出することを期待しています。」

アルバータ州エネルギー・鉱物資源大臣 Brian Jean

「アルバータ州は世界的なCCSの需要増大に応じ、世界をリードしてCCS案件を推進してきました。カナダ西部には十分なCO2貯留地があり、加えて、アルバータ州のCCSの技術力はどこにも引けを取りません。今回の発表は、エネルギー業界で同州が今後取り組みうるあらゆるビジネスチャンスの一例と言えるでしょう。」

※1   CCS:Carbon dioxide Capture and Storageの略語。産業プロセスや発電所から排出されるCO2を回収し、地下に貯留することでCO2排出量を削減すること。
※2   地中にCO2を送り込むための井戸。
※3   CO2を圧縮し液化させるための機械。
※4   DAC:Direct Air Captureの略称。大気からCO2を直接除去する技術のこと。
※5   SAF:Sustainable Aviation Fuelの略称。持続可能な航空燃料のこと。

RETIについて

RETIは、2019年に設立されたクリーンエネルギー事業会社です。先住民族に株主として地場産業へ参画してもらうことで、産業への理解を促進し協力関係を築く事業を行っています。株主価値を最大化し、ESGの観点に配慮した事業開発をミッションとしています。関係者すべてに利益をもたらし、先住民族との経済的和解を目指すRETIのビジョンの下、UNDRIP(※6)に則した先住民の株式所有を支援しています。

https://www.reconciliationenergy.com/

住友商事について

住友商事(TYO: 8053)は66の国と地域に129の拠点を有し、グローバルに強固なネットワークを持つ総合商社です。住友商事グループ全体では約900社、連結ベースで約8万人の社員を擁しており、鉄鋼、自動車、輸送機・建機、都市総合開発、メディア・デジタル、ライフスタイル、資源、化学品・エレクトロニクス・農業、エネルギートランスフォーメーションという9つのグループで事業活動を行っています。400年以上にわたり受け継がれてきた住友の事業精神を核としている住友商事は、コーポレートメッセージとして「Enriching lives and the world」を掲げ、社会により高い価値を創出していきます。

https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/

住友商事のCCUSへの取り組みについて

住友商事は、2050年までに事業活動のカーボン・ニュートラル化を目指すとともに、気候変動の緩和に注力しています。CCUSを気候変動対策の重要な技術と位置づけ、2023年1月、エネルギーイノベーション・イニシアチブ内にCCUSチームを設置しました。本案件への参画により、住友商事は北米におけるCCS事業のさらなる発展を目指します。これらの事業で培った経験を生かし、住友商事のCCS事業のグローバル展開を推進していきます。

※6   「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の略称。

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