2025年02月07日
住友商事株式会社

低炭素セメントの製造技術を有するFortera社と事業性調査に関する覚書を締結~CO2排出量を60パーセント削減。日本での製造事業化に向けたパイロット生産の検討を開始~

住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:上野 真吾、以下「住友商事」)は、2023年に米州住友商事会社傘下のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)であるPresidio Ventures, Inc.を通じて出資したArelac, Inc., dba Fortera(以下「Fortera社」)と、日本における低炭素セメント製造の事業化に向けたパイロット生産を含む事業性調査に関する覚書を締結しました。本件は、国内大手セメントメーカーである、住友大阪セメント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 取締役社長:諸橋 央典)、以下「住友大阪セメント」)と共同で検討していきます。

コンクリートの主原料であるセメントは、製造過程で大量の産業廃棄物を原料や熱源として利用しており、循環型社会形成における中核的な役割を果たしています。その一方で、セメント製造時のCO2排出量は日本全体の4パーセント(年間約4千万トン)を占めており、鉄や化学品に次ぐCO2排出源といわれています。そのうちの50パーセントは石灰石を熱分解するプロセスで発生するもので、プロセス由来で発生するCO2を削減する技術は世界でもまだ少ないのが現状です。

Fortera社は、セメント製造時に発生するCO2を酸化カルシウムに吸着し直すことで、熱分解前とは異なる粒状の炭酸カルシウムを製造する技術を有しています。CO2を再吸着することなどによって、セメント製造時のCO2排出量を60パーセント削減した低炭素セメントの製造が可能になります。さらに、熱源に再生可能エネルギーを使用できれば、熱分解によるCO2削減とあわせて、製造時に発生するCO2を100パーセント削減したカーボンフリーセメントの製造が可能になります。

Fortera社のセメント製造技術の概要・CO2削減効果イメージ

  • 通常セメント製造時は、石灰石以外に、粘土・珪石・酸化鉄原料(産廃、副産物で代替)も同時に燃焼するため、約1,450℃の高温を要する。一方、Forteraセメント製造時は、石灰石を燃焼するのみであるため、必要温度は約900℃と通常のセメントよりも燃焼温度が低く、燃焼時のCO2排出量を10パーセント削減できる。

住友商事とFortera社は、本事業性調査を通じ、住友大阪セメントの技術評価を得ながら、日本での商用化に向けたパイロット生産を検討しており、早ければ2026年度中の製造事業化を目指しています。また、日本での製造事業モデルをベースに、アジア地域での展開もFortera社側と共同で行っていくことを検討しています。

Fortera社概要

会社名 : Arelac, Inc., dba Fortera
代表者 : PhD CEO & Co-Founder Ryan Gilliam
Ryan Gilliam氏はTIME誌が選ぶ「気候変動問題に影響力のあるリーダー100名(「Innovator」部門)」に選ばれました。
設立年月 : 2019年
事業概要 : 製造過程で発生するCO2排出量を削減した低炭素セメントの製造
Fortera社の低炭素セメントパイロットプラント

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