2025年05月07日
住友商事株式会社

タイのNFC Public Company社と硫酸タンクターミナル事業の合弁会社を設立~タイを拠点として、アジア地域での事業基盤拡大を目指す~

住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:上野 真吾、以下「住友商事」)は、タイのタンクターミナル事業者NFC Public Company(本社:バンコク、CEO:Nataphong Ratanasuwanthawee、以下「NFC社」)と硫酸のタンクターミナル事業を行う合弁会社を設立しました。好立地のタンクターミナルを獲得し、これまで培ってきた硫酸タンクターミナル事業の運営ノウハウを活用することで、操業上の安全性や物流サービスの安定性を強化するとともに、本タンクターミナルをハブとして、周辺のアジア諸国での事業基盤拡大を目指します。

アジアにおける硫酸市場

硫酸は農業、工業、鉱業、繊維業など幅広い用途で使用され、世界で最も多く流通する基礎化学品で、主に硫黄の焙焼、非鉄金属製錬の副産物として生産されます。人口増加による食糧需要増大に伴う肥料製造や、銅・リチウム・レアアースなどの鉱山における金属製錬用途を中心に、世界の硫酸需要は2023年の約2.9億トンから、2029年には約3.3億トンに増加することが予想されています。アジアは世界の硫酸需要の約50パーセントを占める市場で、需要をけん引する地域であるとともに、中国・インドネシアでは硫黄焙焼工場、銅製錬所の新設による供給増加が見込まれ、域内の海上貿易、小口販売、物流サービス体制確立の重要性が高まっています。タイは経済成長に伴い、石油化学品、バイオプラスチック、食品添加物などの幅広い用途で年間約60万トンの輸入需要があり、中長期的かつ安定的に推移することが見込まれています。

NFC社の強み

NFC社は、倉庫事業、硫酸・アンモニア・ガソリンなどのタンクターミナル事業、アンモニアのディストリビューション事業を展開する物流事業会社です。1982年にタイ政府とプライベートファンドによる共同出資で肥料製造事業会社として設立された後、肥料製造を停止し、物流事業にシフトしました。NFC社が保有するタンクターミナルは、主に石油化学品工場が集積し、硫酸需要が集中するタイ東部へのアクセスが良好なラヨーン県マプタプット港に位置することから、立地の優位性に強みがあるほか、長年にわたるターミナル事業の経験から得られた操業の安定性が強みです。

NFC社保有タンクターミナル所在地(ラヨーン県マプタプット港)

住友商事グループの硫酸分野における取り組み

住友商事グループは、硫酸販売会社であるインターアシッドグループを傘下にもち、世界最大級の取引規模を誇る硫酸トレード事業を16カ国で展開しています。インターアシッドグループはトレード機能に加え、貯蔵タンクを保有し、サプライヤーの要望に応じて安定的に引き取り、需要家が必要なときに必要な量の硫酸を確実に供給できることが強みで、硫酸の世界における海上流通量の3割を取り扱っています。2010年代以降は、タイでのディストリビューション事業、米国でのタンクターミナル事業の買収を行い、硫酸の調達・販売から、貯蔵、小口販売と物流サービス機能の強化を図ってきました。

本件は、硫酸ディストリビューション事業を行っていたタイにおいて、タンクターミナルの買収により物流機能を強化し、注力地域であるアジアの事業基盤拡大を図るものです。インターアシッドグループの運営ノウハウを生かしたサービス向上により、タイ国内での機能拡大を図るとともに、将来的には、アジア諸国のサプライヤーとの関係強化により、他アジア諸国での硫酸タンクターミナル事業の展開を目指します。

NFC Public Company 概要

会社名 : NFC Public Company Limited
本社所在地 : タイ バンコク
事業概要 : 倉庫事業、タンクターミナル事業、アンモニアディストリビューション
会社設立 : 1982年
ウェブサイト : https://nfc.co.th/en/home

関連情報:
北米における硫酸事業拡大に向けたSaconix社の買収について
米国西海岸における硫酸タンクターミナル事業について


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