Diversity, Equity & Inclusion
Diversity, Equity & Inclusionの推進
当社グループは、グローバル人材マネジメントポリシーにおいてDiversity, Equity & Inclusion(DE&I)を「価値創造、イノベーション、競争力の源泉」と位置付けています。当社グループを取り巻くビジネス環境は目まぐるしく変わり、事業を展開する地域・分野及びビジネスモデルも多様化しています。当社グループが変化に対応し、持続的に発展していくためには、経営戦略としてのDE&Iが不可欠です。そのために、国籍、性別、年齢、性的指向、性自認、性表現など、属性や従来の価値観にとらわれず、多様な個々人がそれぞれの力を最大限に発揮し、新たな価値や革新を生み出し続ける環境づくり、Diversityを活かす文化・意識の醸成を進めています。
当社グループの「成長戦略の推進」にあたっては、多様な人財の知のミックスを競争力につなげていくこと、すなわちグローバルベースの人財の多様性、そして一人ひとりの「強み」に焦点を当て、その力を組み合わせていく必要があり、海外組織と連携を図りながら、当社グループにおけるDE&Iを追求しています。

Diversity Weeksの実施
毎年3月に、DE&Iの全社イベント「Diversity Weeks」を実施しています。「Diversity Weeks」は、一定期間に集中してDE&I関連プログラムを実施することで、グローバル全ての役職員が“競争力の源泉”としてのDE&Iを改めて意識し、さらなるDE&I推進に向けた具体的な行動変容のきっかけとすることを目的とした取り組みです。マネジメントメッセージの発信や、さまざまな切り口でDE&Iについて考える参加型・体験型イベント、セミナー等を開催しており、世界各地から多くの社員が参加しています。今後も「Diversity Weeks」を定期開催することによって、継続的な啓発を行います。
女性の活躍推進
女性活躍推進の考え方・現状
特に日本においては女性の活躍推進をDE&Iの重要な柱と捉え、女性がさらに活躍することを目的とした行動計画を策定し、2030年度までに、以下の目標を達成することを掲げています。
- 女性管理職比率を20%以上とすること
- 女性部長級比率を10%以上とすること
- 日本経済団体連合会が21年3月に公表した「2030年30%へのチャレンジ」に賛同し、女性取締役・監査役比率を30%以上とすること
実現に向けては、2021年度に導入した人事制度を軸に、人材育成、配置・登用や個々人が最大限に力を発揮できる環境整備に加えて、キャリア入社社員の、執行役員を含む積極登用や、女性・若手社員の部長級ポジションへの登用を推進しています。
また、ライフイベントとキャリア形成の両立支援の観点から、法定を上回る水準での各種制度の整備等、「ハード面」の充実化に加え、長時間労働の是正や有給休暇取得の促進、社員の意識改革等、「ソフト面」の取り組みを実施し、出産・育児を経ても会社で活躍できるような環境づくりを進めています。
女性管理職数※

- 女性管理職数は、右記「女性プロフェッショナル職」の内数
- 4月1日時点
女性プロフェッショナル職数

- 2022年度:従来型の職掌別管理を廃して職掌の一本化を実施
- 4月1日時点
女性部長級比率

女性取締役・監査役比率

女性の海外駐在員および研修生

ワークライフバランス
仕事と育児の両立支援
男女ともに利用できるさまざまな選択肢を用意することで、育児というライフステージを迎えた後も、多様な個々人が最大限能力を発揮できる環境づくりを推進しています。また、本人あるいは配偶者の、妊娠・出産の申し出のあった社員に対して育児休職関連制度を周知するとともに、アンケートにより育児休職取得意向を確認の上、必要に応じて人事がサポートに入る等、男性を含めた希望者が希望どおり育児休職を取得できるよう取り組んでいます。
- 仕事と育児の両立支援ハンドブック
- 育児コンサルタントサービス
- 保育施設との提携
- 子のみを帯同する海外駐在員への支援制度
- 男性育休座談会の開催

育児関連制度取得状況
配偶者出産休暇

育児休職

子の看護欠勤

短時間勤務取得者

配偶者の転勤に伴う退職者の再雇用
配偶者の転勤により、退職を余儀なくされる社員を一定条件のもとで再雇用することで、再び当社で活躍してもらうための制度です。
2015 年度 |
2016 年度 |
2017 年度 |
2018 年度 |
2019 年度 |
2020 年度 |
2021 年度 |
2022 年度 |
2023 年度 |
|
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配偶者の転勤に伴う 退職制度の利用 |
7件 | 9件 | 4件 | 9件 | 11件 | 4件 | 14件 | 11件 | 16件 |
仕事と介護との両立支援
安心して仕事を続けながら介護ができるように、さまざまな介護支援制度を用意しています。「介護基礎知識/管理職受講必須セミナー」や「介護に関する個別相談会」の実施(月1回)、介護サービス・介護用品購入費用補助や「介護診断ツール」の導入、「仕事と介護の両立支援ハンドブック」の作成等を通して、介護というライフステージを迎えた後も、会社で活躍できるような環境づくりを推進しています。
各種セミナーの開催
- 介護セミナー
管理職を対象とした介護両立支援力向上セミナーや、介護の支援制度や基礎知識をテーマとしたセミナーなどを定期的に開催。 - 介護診断ツール
介護に関する気付きの機会の提供とリテラシーアップを目的とした、介護リスクのオンライン診断ツール。診断結果に応じて、各人に合ったEラーニングを提供。
労働環境の整備
多様な個々人が生き生きと安心して、最大限に力を発揮できる環境を整備
「グローバル人材マネジメントポリシー」に掲げるとおり、多様な個々人がイキイキと、新たな価値を生み出し続けるGreat Place to Workを築き上げることを目指しています。多様な価値観とさまざまなライフスタイルを持つ一人ひとりが、仕事とプライベートによる生活全体を充実させ、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、さまざまな働き方の選択肢を用意しています。自律的かつ柔軟に働ける環境整備により、高い付加価値を生み出すアウトプット志向の働き方を実践・促進しています。
長時間労働の是正

住友商事では、従来より「やる時はやる」、「休む時は休む」という「メリハリある働き方」を推進してきました。ビジネス自体が多様化・高度化している中、業務の状況やあり方も一様ではなく、一律定量的な労働時間の削減の管理はそぐわない一方、長時間働くことで必ずしも成果が出る時代ではなく、グローバル競争の観点からも「付加価値を生み出す働き方の追求」を全社一丸となって目指していきます。
時間外勤務時間(単体)

意識改革
意識改革の取り組み、および社員への有益な情報提供の一例をご紹介します。
- 労務管理セミナー
新任管理職研修、および新任チーム長研修のプログラムの一環として、労務管理に関する研修を行っています。労務管理に関する意識向上のため、労務管理や生産性向上をテーマとしたセミナーなど、継続的な啓発活動に努めています。
休暇の取得促進

住友商事では「メリハリある働き方」の推進を通じて、限られた時間で高い成果を出すための生産性向上を目指しています。
有給休暇取得実績

「メリハリのある働き方」の推進を通じて、限られた時間で高い成果を出すための生産性向上を目指しています。実現に向けた施策の一つとして、2016年から2019年までは有給休暇の全社取得目標を設定。取得日数を着実に伸ばし、目標も達成しました。2020年からは一律の全社定量目標の設定を行わず、各組織・個人が自律的に管理する方針としています。
自律的で柔軟な働き方の促進

テレワーク制度・スーパーフレックス制度の目的は、従来の枠にとらわれない自律的かつ柔軟に働く環境を整備し、高い付加価値を生み出すアウトプット志向の働き方を実現することです。自律的かつ柔軟に働くことで時間を積極的に創出し、社員の心身の健康増進、自己価値向上を図り、一人ひとりの最大限のパフォーマンス発揮につなげていきます。
ドレスコードの見直し
自律的かつ柔軟に働く環境整備の一環として、働く「場所」と「時間」にフォーカスし、2018年にテレワークとスーパーフレックスを導入しましたが、両制度に続く一手として、組織と個人の意識改革を促し、自律的な働き方をさらに促進すべく、働く「服装(=ドレスコード)」について2020年に見直しを行いました。現行の服装に関する規程を整理の上、TPOに応じた会社での執務・職場にふさわしい常識の範囲内でドレスコードフリーとします。
テレワーク制度
2018年にテレワーク制度を導入し、社員は一定の日数上限のもと、自宅のほか数百カ所の契約サテライトオフィスを使用することができ、働く場所のフレキシビリティを拡大しています。利用資格の制限は原則設けておらず、育児・介護等、個別事情がある方も含め、全社で自律的かつ柔軟な働き方を実現しています。2021年より、組織のパフォーマンスを最大化できるよう、社員が自律して出社とテレワークをバランスよく組み合わせるベストミックスの働き方を推奨しています。その結果、2022年度平均の出社率は約6割となっています。
これまでのテレワーク推進の取り組みが高く評価され、令和2年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の優秀賞を受賞しました。詳細は以下リンク先をご参照ください。
令和2年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の優秀賞に当社が選定
スーパーフレックス制度
従来よりフレックス制度を導入していましたが、2018年にコアタイムを廃止したフレックス制度として「スーパーフレックス制度」を導入しています。これまでのフレックス制度では、11:00~15:00をコアタイムとしていましたが、これを撤廃し、5:00~22:00のフレキシブルタイムの間であればどの時間帯に始業・終業時間を設定しても構わないこととしています。柔軟な働き方を通して、社員一人ひとりが自身のワークスタイルを自身でデザインし、マネージしていくことで、組織と個人双方のさらなるパフォーマンス向上につなげていきます。
ハラスメントのない職場の実現
当社では、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント、LGBTQ+など性的マイノリティを含むすべてのハラスメントの問題を、重大な人権侵害の問題と捉え、真摯かつ厳格に対処しています。
具体的には、以下を実施しています。
- すべてのハラスメントを懲戒の対象とする旨を就業規則に明示
- すべてのハラスメントの禁止を、コンプライアンス・マニュアルに明示
- ハラスメントに関しては、ウェブサイトの開設や、各種階層別研修などにより、会社が厳格に対処していく旨を役職員全員に周知徹底。全管理職を対象に、2014年以降、随時、セクハラ、パワハラに対する理解促進のための研修を、それぞれ実施
- ハラスメントの防止や、問題が生じた場合の早期解決を目的として、苦情相談窓口を人材・総務・法務グループ長の所管する部内に設置
- 「スピーク・アップ制度」を利用して、問題に遭遇した人、気づいた人が直接「チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)」に情報連絡することのできる体制も構築
LGBTQ+(※1)についての理解浸透
「住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシー」及び当社就業規則の中で、性的指向、性自認に基づいた差別的言動、嫌がらせ、誹謗・中傷、脅迫・粗暴行為等により、他人に恐怖心を与える、または不快な思いをさせない方針を明文化しています。また、社員一人ひとりが正しい知識を持ち、当事者を理解し受け容れるための社内研修などの啓発活動に取り組んでいる他、当事者を含む全社員が安心して自分らしく働くことができる環境づくりを進めています。このような、当社の日本における包括的な取り組みが評価され、一般社団法人work with Prideが策定した職場におけるLGBTQ+への取組みの評価指標「PRIDE指標」にて、2023年と2024年に最高評価の「ゴールド」を受賞しました。
2024年4月には『東京レインボープライド2024』に初めて協賛し、ブース出展のほか、社員やその家族、友人でパレードにも参加しました。
今後も、性的指向、性自認、性表現などにかかわらず、個々人がそれぞれの力を最大限に発揮し、新たな価値を生み出し続ける環境づくりに取り組んでいきます。
PRIDE指標の評価指標 | これまでの主な取り組み内容 |
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1.Policy: 行動宣言 |
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2.Representation:当事者コミュニティ |
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3.Inspiration:啓発活動 |
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4.Development:人事制度、プログラム |
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5.Engagement/Empowerment:社会貢献・渉外活動 |
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- LGBTQ+:L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダー、Q=クエスチョニング、クィアの略。
- マテリアリティ:当社グループが取り組むべき重要な社会課題とその解決に向けた一歩進んだ中長期のコミットメント
- アライ:LGBTQ+当事者たちに共感し、寄り添いたいと思う人。当事者含め、誰でもアライになれる。
- SOGIハラ:性的指向や性自認に関わる差別的な言動やハラスメント


シニアの活躍支援
全ての社員が年齢に囚われることなく生き生きと働くことができる環境を整備しています。
現行の人事制度や2022年度改訂の再雇用制度でも、基本コンセプトとしてPay for Job, Pay for Performanceを掲げており、潜在的な年次概念を払拭し、個々の社員の持つ強みやスペシャリティに基づいた「適所適材配置」を徹底し、有為な若手社員の抜擢を進めます。
一方で、多様な経験と豊富な知見を有するシニア社員に対しては、自律的なキャリア形成を後押し、持続的な学び直しの機会提供も含め、各人の「強み」を生かしたキャリア形成に役立つ各種支援策を拡充しています。
- キャリア開発プログラム・キャリアデザインセミナー
- キャリアアセスメント面談
- 再就職支援サービス
キャリア開発プログラム・キャリアデザインセミナー
シニア層・プレシニア層を対象にキャリア開発プログラムやキャリアデザインセミナーを実施して、当社でのこれまでのキャリアを振り返り、今後のより一層の成長と活躍に向けて自らのキャリア・ライフプランを考えるための情報提供や気づきの機会を提供しています。
シニア層に加えて20代~40代の社員に対しても、年代別キャリア研修を実施しており、将来の活躍を見据えて、早い段階から自らのキャリアを自律的にデザインするよう促しています。
キャリアアセスメント面談
45歳以上の社員に対しては、所属上長との間で毎年実施しているキャリアアセスメント面談の中で、定年後および退職後のキャリアの方向性やライフプランについて共有かつ相談する仕組みとしており、個々人の希望に応じて多様な働き方をサポートしています。
また、58歳と59歳に到達した年度の面談では、本人に対して定年後の想定アサインメントと想定処遇を伝えており、本人と会社の期待をすり合わせる機会になっています。
ネクストキャリア支援サービス
50歳以上の社員に対してネクストキャリアを支援する専任組織をHRソリューションズ部内に設置して、キャリア相談を通じ、社内異動のマッチングや社外転進活動の支援をはじめ、ネクストキャリアを考える上で有益な情報提供を行っています。
再就職・起業などの社外転進を希望する社員に対しては、会社が起用する再就職支援会社の専任キャリアコンサルタントを伴走させ、個々のニーズを踏まえたさまざまなサービスの提供を通じて、ネクストキャリアでの活躍をサポートしています。
障がい者雇用の促進、定着の推進
住友商事は、「障がいの有無を問わず全ての社員が相互に尊重し合い、共生・活躍できる場であること」を目指しています。
2014年に特例子会社として住商ウェルサポート㈱を設立し、以後、同社と協力しながら障がい者の雇用と活躍の場の創出を推進しています。
2024年6月時点で、両社合わせて100人を超える障がい者が活躍しています。
同社では、職場の庶務業務の代行やスキャニングによる書類の電子化、事業紹介資料の印刷・製本、事業関連データのインプット等、さまざまな業務に従事しており、当社のビジネス活動を支える非常に重要な存在となっています。今後も障がいのある社員一人ひとりの個性を住友商事グループの付加価値創造に活かしていきます。

