2020年01月06日
住友商事株式会社
2020年社長挨拶
本日、住友商事本社にて行われました、
当社社長兵頭誠之による年頭挨拶を下記の通りお知らせいたします。
記

皆さん、明けましておめでとうございます。
2020年の初日を迎えるにあたり、全世界の住友商事グループの皆さんへ、ここ東京より新年の挨拶を申し上げます。
【昨年の振り返り】
まず、年始にあたり、皆さんと共に、昨年を振り返り、今年を考えてみたいと思います。
昨年は、先行きに対する不透明感や不確実性が高まった1年でした。
政治面では、覇権をめぐり米中が対峙する状況が続き、香港では、多くの若者が大きな声を上げるデモが続きました。英国ではEU離脱関連の混迷が続きました。この影響もあり、経済面では、世界的に経済成長の見通しが、一部の地域を除いては、下方修正され、景気の先行きに対して、悲観的な見方が続きました。ただ一方で、一昨年12月のTPP11の発効、昨年2月の日本・EUとのEPA発効、9月の日米通商合意、今月の第一段米中通商合意の見通しなど、前向きなニュースがあったことも忘れてはなりません。
一方、日本では、5月に天皇陛下が即位され、令和の時代が幕を開けた慶事に恵まれた年でもありました。
技術の世界に目を向けると、次世代通信規格である5Gや量子コンピューターなど、私たちの暮らしを変える技術が実用化に向けて大きく前進した年でした。日本でも漸く、秋の消費税率引き上げに絡めてキャッシュレス決済が身近なものとなり、さらにブロックチェーンなど関連するビジネス、技術も実社会に多く登場し始めた年でした。
スポーツ界での明るい話題も続きました。ラグビーワールドカップが印象深く残っています。各国の選手が夫々の国籍を超えて代表チームのためにONE TEAMの精神で最後まで戦い抜く姿、No Side後は、選手もサポーターも敵味方なく、お互いの勇気と健闘を称えあう姿に大変共感を覚え、ラグビーというスポーツを通じ、大きな感動や勇気を得た人も数多くいらっしゃった、のではないでしょうか。
他方、グローバルなビジネス環境では、気候変動問題に代表される環境課題や、社会課題に対する企業の対応責任や、説明責任が厳しく問われ始めた年でもあり、この傾向は今後も強まって行くと考えます。
【2020年の外部環境】
今年は、東京オリンピック・パラリンピック、中国を始めとする諸外国首脳の訪日や米国大統領選挙など、スポーツ、文化、政治、経済の多方面で、重要なイベントが多数予定されています。
住友商事グローバルリサーチでは、今年を「新たな現実に向き合う世界、“Facing New Reality”」と表しています。政治では、格差問題、環境意識、移民排斥など多様な価値観の衝突リスクを回避する、あるいは課題を解決しようと努力するものの、世界各地で顕在化する対立構造からその調整力を失い、機能不全に陥る事例が発生する事も有り得るでしょう。世界経済は、米国に代表される大国の通商政策による影響を受けながらも、ここまでは底割れすることなく耐えてきたところですが、これからも、先行きの不透明感が漂う環境を想定せねばなりません。社会的には、格差の拡大、価値観の多様化などを背景として、欧州でのEU離脱・残留をめぐる分断や南米での反政権デモなど多くの対立構造を生んでいます。
このように、政治、経済、社会が、新たな秩序を求めて目まぐるしく変わり続ける不確実性が垂れ込める状況は一過性のものではなく、長期にわたり続くと見ています。我々はこの新たな現実に向き合い、成長していかなければなりません。
とりわけ、私たち人間社会が創り出している地球環境の課題を忘れてはならないでしょう。第一次産業革命以降、二百数十年間にわたり人類の経済活動が地球環境にストレスをかけ続けた結果、温暖化、大気汚染に代表される重要課題が世界中で発生しています。100周年の記念式典にて、元宇宙飛行士である毛利さんのお話を通して、改めて地球の尊さを痛感しました。当社グループが地球環境との共生という課題の解決に真正面から向き合っていくことは、喫緊の課題だと意を強くした次第です。
【新年に向けた決意】
そういった多くの事に思いをはせながら、新年を迎えるにあたり、キーワードと共に私から3つの点をお話しします。
1. 自利利他公私一如
私たちの理念の実践のしどころです。今こそ、その時です。ESG課題、とりわけパリ協定で世界のコンセンサスとなった地球温暖化防止というグローバルな環境課題の解決に取り組むことを、マテリアリティでも掲げているように、経営上の重要課題のなかでも優先すべき事項に据えて、具体的アクションプランを皆さんと策定し、スタートを切る元年にしたいと思います。
私たちのビジネスはグローバルに展開しています。さらに、当社が関わる広範囲なバリューチェーン全体に当社グループの経営理念、住友の事業精神が求めるレベルの高いガバナンスを実践すべく、具体的アクションプランをたて、世界各地の取組と調和を取りながら、私たちのやり方で社会的責任を全うしていきましょう。今年、具体的超長期目標設定とそれを目指したアクション計画の実行と共に持続的成長を果たすスタートをきりたいと考えます。
2. 変革マインド
第四次産業革命を勝ち抜くために現在の中期経営計画では、DXをはじめとする様々な施策を講じて、我々の事業の変革、拡大を図っています。私たちのビジネスを変革する道具としてDXを使い切るには何が必要でしょうか。例外なく、何をおいても、先ず成さねばならぬ大切なことがあります。
それは、私たちの夢、志、何をしたいのか?どの様な社会課題を解決するのか?どのような理想を目指し、変革させるのか、それぞれのビジネスのビジョンを再確認する事です。社会に提供する価値は何なのか?その規模は、時間軸は?これらを、すべてのビジネスにおいて明確に定義あるいは再定義する事です。これが明確になれば、0→1であれ、1→100であれ、変革のアクションプランを描き実行し、成功させることには当社の総合力をもってすれば不可能はありません。
3. 初志貫徹
我々の理念の実践と変革に向けた取り組みとして、まずは、新たな100年の1年目として足元でやるべきことがあります。それは既存事業のバリューアップや次世代ビジネスの創出をはじめとする成長戦略、各施策の推進など、現在進めている今の中計の打ち手を着実に実行していくことです。そして結果をだすことです。ステークホルダーの期待に応え、時勢の変遷を先取りして私たち自身が変わり、新たな価値創造を継続し、我々の成長へ繋いでいくことが重要です。その為になすべき事は、第二四半期決算発表時のメッセージでお伝えし、また昨年の主管者会議でも皆で確認しあったとおりです。
おのおのの事業に取り組む際に掲げた夢、初心、具体的目標を各部門、本部、地域組織、事業会社で確認し、中計で掲げる各施策、主管者会議で議論したことを皆さんと一緒に、完遂したいと思います。
最後に、今お伝えした「自利利他公私一如」、「変革マインド」、「初志貫徹」を追い求める上で改めて言うまでもなく、基本動作であるコンプライアンスの徹底は必須条件です。コンプライアンスは、我々の事業活動の大前提であり、我々が長い間受け継いできた「信用」の原点でもあります。コンプライアンスの徹底を常に念頭に業務に取り組むよう、ここで改めてお願いしておきたいと思います。一切妥協することなく取り組んでいきましょう。
Enriching lives and the world、
当社グループの益々の発展、そして皆さんと皆さんのご家族にとって、充実した幸せな一年となることを祈念して、年頭の挨拶とさせていただきます。
以 上
※これは、2020年1月6日に、住友商事グループ役職員向けに行われた年頭挨拶です。
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- 住友商事株式会社 広報部 コミュニケーションチーム
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