2022年08月25日

韓国における光触媒を用いたアンモニア分解による水素製造の共同実証試験の実施について

住友商事グループは、米国の水素技術スタートアップであるSyzygy Plasmonics Inc.(以下「Syzygy」)、ならびに韓国のLotteグループのLOTTE CHEMICAL HQ(Lotte Chemical社、およびLotte Fine Chemical社)と、韓国にて光触媒(※)を用いてアンモニアを分解し、水素を製造する世界初の事業可能性調査(以下「本実証」)を共同で開始することに合意しました。

Syzygyは、2017年に設立された、米国ライス大学にて開発された光触媒を利用して水素製造などのさまざまな化学反応を電化する世界最先端の技術を持つスタートアップです。通常の熱分解よりも低エネルギー、低コスト、高効率で水素を製造できることが特徴で、脱炭素社会を目指す上で必要となる水素の普及にあたり、注目を集めています。住友商事グループは、2019年にSyzygyへの出資を行い、最先端の水素・アンモニア技術に関する知見を積み重ね、同社の技術を活用した水素・アンモニア関連事業の開発に取り組んでいます。

韓国では、本年5月に発電事業におけるクリーン水素・アンモニアの利用の実質的義務化を含む水素法改定案が国会を通過するなど、水素やアンモニアの混焼・専焼の実現に向け、さまざまな取り組みが加速しており、将来的に大規模な水素・アンモニアの需要が生まれることが予測されています。本実証では、韓国最大のアンモニア流通企業であるLOTTE CHEMICAL HQとグローバルにアンモニアサプライチェーンの構築を狙う住友商事グループが、Syzygyの光触媒反応器を用いた電気化学技術を使って世界初のアンモニア分解による水素製造を検証し、将来的な水素供給を目指します。

住友商事グループは、水素を脱炭素社会における将来の重要なエネルギーのひとつとして位置づけ、地域や水素の特性を活かした地産地消型の水素事業、水素の大量製造・輸送/貯蔵・利用を推進する大型水素バリューチェーン事業、新技術への投資など、水素関連の事業開発に多角的に取り組んでいます。また、アンモニアについても、競争力のあるクリーンアンモニア供給網の開発、アンモニアバンカリング船の設計開発、海上輸送や貯蔵など関連するインフラ開発を含むサプライチェーンの構築など、さまざまな事業を検討・推進しています。水素・アンモニア関連事業の推進により、持続可能なエネルギーサイクルを実現し、脱炭素化社会の構築および気候変動緩和に大きく貢献すべく、今後もさまざまな取り組みを加速させていきます。

  • 光触媒:
    光を照射することにより、さまざまな化学反応を促進したり、化学物質のエネルギーを増加させたりする物質。Syzygyの光触媒を用いることで、従来高温高圧下で引き起こしていたさまざまな化学反応を比較的常温に近い温度で引き起こすことができ、化学反応時のCO2排出量の削減、高効率、低コストなどのメリットが期待できる。水素の製造プロセスでは、水の電気分解、水蒸気や天然ガスの改質、アンモニアの分解などさまざまな化学反応が必要になるため、水素のさらなる普及にあたって光触媒の活用が期待されている。

独自の光触媒と反応炉で通常の熱化学反応を電化することで、反応時のCO2排出量を抑えながら、低コストおよび高効率化を実現。Syzygyは、この技術を水の電気分解、水蒸気や天然ガスの改質、アンモニアの分解などさまざまな化学反応に適用することで、年間10億トン(日本の総排出量以上)のCO2排出を抑制することを目指しています。

Top