2022年09月01日

フランス・ベトナムにおける洋上風力発電事業の新規開発に向けた取り組みについて

住友商事は、フランスおよびベトナムにおいて新たな洋上風力発電プロジェクトの開発に向けて取り組みます。海外における再生可能エネルギーのポートフォリオの拡大を通じ、持続可能な社会の実現に貢献します。

気候変動緩和への取り組み

当社は、気候変動緩和への取り組みとして、2050年の当社グループ事業活動のカーボンニュートラル化を長期目標とし、再生可能エネルギーについては、30年までに3ギガワット以上に供給拡大することを中期目標に掲げています。再生可能エネルギーによる発電事業の中でも大きな発電容量が得られる洋上風力発電は、欧州を中心に導入が進んでおり、当社はすでに欧州域内の複数の事業・開発に参画していますが、浮体式洋上風力発電といった新たな技術への挑戦や東南アジア等への参画地域拡大により、さらなる洋上風力発電プロジェクトの開発に取り組んでいきます。

フランスにおける浮体式洋上風力発電入札案件の事前資格審査通過

今般、フランス政府が主催する地中海沖合における浮体式洋上風力発電所の建設・運営案件(250メガワット×2海域)入札において、BlueFloat Energy社(スペイン)、Akuo社(フランス)とコンソーシアムを組成し、事前資格審査を通過しました。当社としては初の事前資格審査に通過した浮体式洋上風力発電案件となり、本件を契機に他市場においても浮体式洋上風力発電案件への取り組みを積極的に検討していきます。

EUは、2030年までに域内のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を少なくとも32パーセントまで高めるという目標を掲げていましたが、22年6月には、同比率を40パーセントまで引き上げることが合意されました。フランスにおいては、50年のカーボンニュートラル化達成を長期目標として定めており、同年までに40ギガワットの洋上風力発電所を導入する計画です。

当社は同国において2018年に2件の着床式洋上風力発電案件「ル・トレポール」・「ノワールムーティエ」の開発に参画しており(総発電容量992メガワット)、24年の工事着工を目指して開発を進めております。本件を通じて、引き続き同国における事業拡大を図ることで、同国のカーボンニュートラル化達成に貢献していきます。

住友商事が手掛ける海外洋上風力発電所一覧図

ベトナムにおける洋上風力発電への取り組み

急速に洋上風力発電の開発が進んだ欧州のみならず、今後、導入拡大が見込まれるアジア地域でも、当社は新規プロジェクト開発に取り組んでおり、今般、ベトナム南部沖において、同国の良好な風況資源を活用する洋上風力発電事業の初期開発に着手します。これに際し、経済産業省(METI)が公募した「アジアグリーン成長プロジェクト推進事業」(※)に選定されました。

日本政府は2021年5月に開催された「日ASEANビジネスウィーク」において、アジアの持続的な経済成長とカーボンニュートラルの同時達成を支援する「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」を表明しています。具体的な支援策として「アジアグリーン成長プロジェクト推進事業」をはじめとした施策を発表しており、当社はこのような日本政府の動きと連携しながら、30年までの運転開始を目指してベトナムにおける洋上風力発電プロジェクトの開発に取り組み、同国の再生可能エネルギー発電の発展に寄与していきます。

ベトナムでは、21年11月1日に英国で開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)首脳級会合で、ベトナムのファム・ミン・チン首相が、50年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指すと表明しました。ベトナム商工省が作成している第8次国家電力マスタープラン(PDP8)草案においても、気候変動対策の一環として、30年までに風力や太陽光などのグリーン電力の発電容量を倍増させる計画です。

当社はこれまでベトナムにおいて火力発電プロジェクトの建設・運営に携わり、経済や産業の発展に不可欠なエネルギーの安定供給を行ってきました。さらに今後は同国のエナジートランジションに貢献すべく、再生可能エネルギー事業の拡大に注力して取り組んでいきます。

また、洋上風力にとどまらず、当社はタンロン工業団地において太陽光発電事業の取り組みも21年2月より開始しています。工業団地全体の電力グリーン化という目標に向けてグリーン電力の供給を拡大させることで、同国における再生可能エネルギー事業のさらなる普及に貢献していきます。

住友商事が運営するベトナム第二タンロン工業団地における屋根置き太陽光発電事業
  • アジアグリーン成長プロジェクト推進事業:
    アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)に沿って、アジア各国のカーボンニュートラルに資するプロジェクトへの支援を行うMETIのプログラム

参考資料

■BlueFloat Energy社概要(2022年8月現在)

本社所在地 マドリッド(スペイン)
事業概要 洋上風力発電事業における開発・ファイナンス・建設・施工の専門家によって設立された再生可能エネルギー事業者。世界各国で18件の浮体式洋上風力発電所(合計発電容量:14ギガワット、パイプラインは22.4ギガワット)を開発する。
会社設立 2020年10月
従業員数 50人超

■Akuo社概要(2022年8月現在)

本社所在地 パリ(フランス)
事業概要 開発から運営までバリューチェーン全体にわたって事業を展開する独立系の再生可能エネルギー事業者。世界15カ国以上で事業を展開する(合計発電容量:7ギガワット)。
会社設立 2007年
従業員数 450人超


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