2022年11月04日
「SynApp(サイナップ)」を通じ、製造業の課題解決を総合的に支援~部品加工マッチングサービスを中心に~
SynAppの概要と特徴
主軸となる機能は、板金・切削加工を対象とした、製造業向けの部品加工マッチングサービスです。仕事が欲しい受注者が自社の加工能力や規格・認証などを事前に登録しておき、発注者が案件を登録すると、アルゴリズムを元に自動でマッチングを実施。適合した受注者のみに案件内容が通知された後、会員企業同士で直接交渉できます。
すでに2回の実証実験を終え、2022年9月より第3回実証実験を実施中です。2021年に実施した第2回実証実験では、中部、北陸地方を中心に会員企業を集め、業界や地域を超えたさまざまなマッチングを実現。登録案件の約30パーセントが成約に至りました。第3回実証実験では、関東、近畿などに対象地域を拡大し、すでに島根県と岩手県を繋ぐ案件が成約しています。今後、下記の各機能を新たに実装した上で、2023年3月末まで会員企業に無償でSynAppを提供し、その結果を踏まえて2023年度の商用化可否を判断します。


第3回実証実験における新機能・サービス
- 物流最適化
物流会社との協業によるDXを駆使した物流最適化サービス。トラックの混載効率を高め、より競争力のある物流を提案します。SynApp内マッチングに伴う物流の最適化はもちろん、従来の物流の改善や突発的な案件への個別対応も可能です。 - 受発注業務効率化
従来、電話やファックスなどで行っていた受発注業務を、SynApp内のチャット機能を利用することで効率化。添付ファイルのやり取りができ、見積書の過去データも蓄積されます。 - CO2排出量可視化
簡易的なCO2排出量可視化ツール。カーボンニュートラル化への対応の一環として、CO2排出量を概算で把握できます。 - 中古工作機械の売買支援
住友商事グループの総合力を活用し、会員企業の製造現場のニーズに合わせた中古工作機械売買を支援します。


着想の経緯と当社が取り組む意義
部品加工マッチングサービスは、当社の中部支社での金属加工分野の長年の取引において、繁忙期と閑散期の受発注件数の大きな差に着目し、DXを活用して効率化・最適化出来ないかというアイデアから生まれました。
また、東海地域では自動車産業の構造転換が起きており、製造業の方々がさまざまな課題を抱えています。実際に困っている方々の声を聞き、マッチングだけでなく新機能・サービスを追加実装することで、SynAppを製造業全般のさまざまな課題解決を支援する総合サービスに発展させていきます。
総合商社である当社は、製造業の方々との取引の歴史・経験、顧客サービス構築体制、また部門や組織の枠組みを超えた多種多様なサービス・事業を有しており、製造業の方々のさまざまな課題への対応策を迅速にサービス内容に反映させることが可能です。SynAppを通じ、より一層、日本の製造業の発展に貢献していきます。
本質を突き詰め、”熱心な素人”の力を結集する

輸送機材事業第二部 唐澤直哉(左)と青木路彦
プロジェクトリーダーの唐澤は米国駐在を経て22年4月から、プロジェクトマネージャーの青木はメキシコ駐在を経て21年5月から本プロジェクトを担当
本案件は、当社がDXを駆使してゼロから立ち上げたサービスです。取り組みの中で、「製造業の皆さんが抱えている本当の課題とは何なのか」を徹底的に突き詰めてきました。課題は各社各様で、業界によっても異なります。表層的な理解では本質に行き着くことができません。
総合商社である当社には、多種多様な業界に精通した多数の“熱心な素人”が多く存在します。本案件も当部門関係者だけでなく、他部門、地域組織の仲間と共に取り組み、課題を突き詰め、本質を理解するための議論を重ねてきました。
今後も、地域創生、持続可能な製造業の実現に資するサービスを目指して、地道な挑戦を続けていきます。