2022年11月07日

循環経済の確立に向けたGlobal Green Chemicalsとの覚書締結に関して

住友商事はタイの化学メーカーであるGlobal Green Chemicals(GGC)と、循環経済の実現に向けたグリーンケミカル(※)分野での協業に関する覚書を締結しました。タイを中心に東南アジア・オセアニア地域で、サトウキビなどのバイオマスを原料としたバイオエタノールやそのほかのグリーンケミカルの利活用を推進していくとともに、第二世代バイオエタノールの製造を検討していきます。

  • グリーンケミカル:再生可能な資源を原料に、環境負荷の低い化学品。化石燃料を原料とする化学品の代替として今後需要が見込まれる

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、世界では化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトが進んでいます。化学品業界においても、化石燃料由来の化学品から植物や廃棄物などのバイオマス由来のグリーンケミカルを用いる動きが出てきています。中でもバイオエタノールは自動車や飛行機の燃料となるほか、バイオプラスチック原料としても利用できるため、今後需要の伸びが期待されています。

GGCは塗料や界面活性剤、医療補助剤などの製造に用いられるさまざまな脂肪酸含有化合物であるオレオケミカルの製造事業を行っています。2021年からは、「ナコンサワン・バイオコンプレックスプロジェクト」を進めており、稼働済みの第1期工場では1日あたり2万4,000トンのサトウキビを粉砕処理し、60万リットルのバイオエタノールの製造を予定しています。住友商事は、GGCとの覚書において、このプロジェクトで製造されたバイオエタノールのトレードやそのほかのグリーンケミカル製品の製造事業も検討していきます。

現在世界で生産されている99パーセント以上のバイオエタノールは、サトウキビやトウモロコシなどの可食部から取り出した糖蜜やでんぷんを用いて製造される第一世代バイオエタノール(E1G)と呼ばれています。E1Gは、すでに製造方法が確立されており安定供給が見込める一方で、食料需要との競合となるほか、原料となる穀物価格の上昇により、E1Gの価格も上昇します。E1Gに対して、サトウキビやトウモロコシなどの茎や葉、搾りかす(バガス)、藻類やパルプを含めた木質系などの非可食原料から製造されるものは第二世代バイオエタノール(E2G)と呼ばれます。E2Gは、非可食部を原料とするため、食糧需要との競合はなく、廃棄される残渣から製造されるため、将来的なバイオエタノール増産を実現できるものとして普及が期待されています。

ナコンサワン・バイオコンプレックス

E2Gの商業生産は世界的にもごく一部であり、原料確保やコストの面で課題を抱えています。住友商事とGGCは、この課題を克服し、将来的なE2Gの商業生産も検討していきます。

住友商事は2021年5月に環境対応ビジネスの創出を目的として「グリーンケミカル開発室」を設立しており、同年10月には微生物を用いて二酸化炭素からエチレンを製造する技術を持つ米国のCemvita Factoryに出資しました。GGCとの協業推進においても、グリーンケミカル開発室が主導し、住友商事グループの知見・スキルを集約・活用していきます。住友商事グループで、種子島で製糖事業を行う新光糖業では、2014年に東京大学が主導する、島しょ地域の自然資源を生かした持続可能な社会モデルを構築するプロジェクト「スマートエコアイランド種子島構想」に参画、2020年からは同大学などとともに、農工融合型のグリーントランスフォーメーション技術の開発研究を行っています。製糖過程で発生するバイオマス資源(バガスや糖蜜など)を販売・活用し、化学メーカーなどでグリーンケミカルなどの高付加価値品を生産することで、産業全体に利益還元を起こすという持続的な発展を目指す取り組みです。このような取り組みとも連携することで、グループ一体で循環経済の確立に向けて進めていきます。

グリーンケミカルの普及を通じて循環経済の確立に貢献する

グリーンケミカル開発室 室長 高村 豊

BCG(バイオ、循環、グリーン)を国家アジェンダに掲げるタイにおいて、当社が果たすべき役割は大きく、本覚書をきっかけに両国の持続可能な社会の実現に貢献します。GGCの親会社であるPTT Global Chemical(GC)グループとは長年に渡るビジネスを通じて強固な信頼関係が構築されており、本件推進の重要なパートナーと位置付けています。

参考情報

会社名 Global Green Chemicals Public Company Limited
事業概要 オレオケミカルの製造事業およびグリーンケミカル関連事業
本社所在地 Bangkok, Thailand
株主 GC(※)72.29パーセント
設立年 2005年
ホームページ Global Green Chemicals
  • 住友商事はGC、クラレとともに、タイでブタジエン誘導品の製造・販売を目的にKuraray GC Advanced Materialsを2018年に設立しており、今年度の商業生産開始を予定しています。


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