2023年06月16日

北ハノイのサステナブルシティ開発に向けてコミュニティハブ実証フェーズ2を開始

住友商事は、ベトナム ハノイ市北部ドン・アイン区の272ヘクタールのエリアにおいて、サステナブルシティを開発しています。開発は5期にわたって計画しており、2025年の街びらきを目指し、まずは1~2期で約3万人の居住を想定し、高層マンションや戸建ての建設、学校や病院などの誘致を進めます。その後オフィス・商業施設・交通ハブなど段階的に街づくりを行う予定です。

当社はこのサステナブルシティにおいて、住民同士の共助・共創が生まれる街づくりを目指しており、住民との対話から住み心地の良いサステナブルな街づくりに関するアイデアや知見を収集・検証し、新しいサービス開発に繋げていきます。

そのための施策として、当社は2022年3月~8月に、共同開発を進めるBRG Group Joint Stock Companyがハノイ市内に所有するマンション1階部分において、住民コミュニティ創出のためサービスインフラ(以下「コミュニティハブ」)の実証フェーズ1(※1)を実施しました。その結果、住民同士のコミュニティ形成の一助となった他、タウンマネジメント(街の運営)においても、住民とリアルな接点を持つことによる共助・共創(潜在的ニーズの吸い上げ)のポテンシャルを認識することが出来ました。

これを踏まえ、住民も街の運営に参加する形での更なるタウンマネジメントの可能性を検証すべく、2023年6月~11月頃まで実証フェーズ2を実施します。実証フェーズ1で得た住民からのフィードバックと現地でのアンケート調査で特にニーズの高かった「教育」および「ヘルスケア」にフォーカスした地域コミュニティ施設を、住民とともに創ることで、街の魅力向上を目指します。これらの実証を通じて得られた知見を北ハノイのサステナブルシティ開発に生かし、「住民と街が共に豊かに成長し続けるサステナブルな街づくり」を進めていきます。

  1. 実証フェーズ1の概要はこちらをご覧ください。
ベトナム現地で主要関係者を招待し実証フェーズ2のオープニングセレモニーを実施

本実証の背景

ベトナムは、建国100周年の2045年までに先進国入りを果たすとの目標を掲げており、気候変動対応や高度人材の育成、デジタル技術の導入、交通・エネルギー・都市といったインフラ整備に今後注力していくとしています。

一方で、先進国と比べて社会インフラの不十分なベトナムでは人々の「より良い生活」への意識が強く、安全・清潔・快適な環境を求める根強い需要があります。これらの需要への対応に加え、住民コミュニティを通じて、生活に対する潜在的なニーズに働きかけ、住民が主体となって街づくりに参加する仕組みを作ることが重要となっています。

実証概要

当社は、昨年実施した住民の共助・共創を目指す実証フェーズ1に引き続き、住民コミュニティとの接点を生かして、「教育」および「ヘルスケア」にフォーカスした新たな実証を開始します。サステナブルな街を実現する上で、住民コミュニティを中心に据えた地域課題・ニーズに応え、住民目線でのウェルビーイング(※2)を高めてベトナムにおけるサステナブルモデルを目指します。具体的には以下の通りで、他にはない「地域コミュニティ施設」として、住民とともに、街の魅力向上に資する取り組みを創り上げていきます。

  1. ウェルビーイング:住民の幸福度や暮らしやすさ、健康的な生活など

(1)デザイン空間:安心安全かつコミュニティが生まれる空間の提供

さまざまな年代の人々が自然と集まるコミュニティスペースを意図し、国際的に活躍するデザインエンジニアリングスタジオTangent監修の下(※3)、フェーズ1から空間デザインを一新。自然に住民の活動が生まれ、住民の感性が磨かれていく地域のハブとなるコミュニティスペースを提供。また、大気汚染が深刻なハノイ市において、グローバル空調企業のダイキン工業株式会社、当社グループの住友商事マシネックス株式会社ともに、室内空気環境の改善に取り組む。ダイキンの空調設備を導入し、空気の状態をダッシュボードで見える化することで、住民の空気に対する価値観の変容を促す。

  1. 実証フェーズ2においてTangentが手掛けるブランディングはこちらをご覧ください。

(2)教育コンテンツ:先進国型教育の提供

豊かな発想力や思考力を育み世界に通用する人材を輩出するハノイ市No.1の教育先進エリアを目指し、STEAM(※4)などのアフタースクールプログラムや日本式の丁寧な質の高い教育を提供。画一的なベトナムでの公立教育プログラムでは学べない社会学習なども含めて、地域住民との交流などを通して学べるコミュニティを目指す。また、日本で子供向けのアートな遊び場を提供するクリップ監修の下(※5)、自由でダイナミックなアート遊びを楽しむことができる体験型のアートルーム教室を提供。個々の表現を大切にすることで、子供達が本来持っている感性や想像力を育み、自ら物事を考え実現していくうえで必要な創造力を育む。

  1. STEAM:科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の5つの領域を対象とした、理数教育に創造性教育を加えた教育理念
  2. クリップの概要はこちらをご覧ください。

(3)ヘルスケアコンテンツ:食習慣・運動習慣プログラムの提供

ハノイ市No.1の健康増進エリアとすべく、ヘルスケアデータをベースとした各住民に合わせた食習慣・運動習慣などの改善や行動変化を実現。健康に対する関心は低くないものの、多くの人が健康促進に繋がる行動にまで至っていないベトナムにおいて、予防医療への住民意識の向上や行動変化を促すことで、住民の健康意識を底上げし、健康で安心した暮らしができるライフスタイルを提供。

サステナブルシティ開発を通じてベトナムの発展に貢献

住友商事は、中期経営計画「SHIFT 2023」において「社会インフラ」を成長分野の一つとしており、北ハノイのサステナブルシティを含む都市開発やインフラ整備事業に注力しています。ベトナムの都市需要に応え、日越の産官学などと協業して民間企業がゼロからつくる街づくりのロールモデルを世界に示し、ベトナムの経済・産業の発展へ貢献します。また、北ハノイ発の新しいサービスや仕組みを、将来的にはベトナムをはじめとするASEAN各国、さらには他国に展開し、北ハノイで得られた経験とビジネスモデルを生かした社会課題の解決を図ります。



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