2025年07月25日
住友商事株式会社
がん放射線治療のAIスタートアップ企業アイラトに出資、海外独占代理店契約を締結~がん放射線治療の画像診断・治療計画策定にAIを活用し業務効率化、アジア向けに展開~
住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:上野 真吾、以下「住友商事」)は、がん放射線治療AIスタートアップ企業のアイラト株式会社(本社:宮城県仙台市、代表取締役 木村 祐利、以下「アイラト社」)に出資し、アイラト社が開発した放射線治療計画支援ソフトウエア(以下、AI計画ソフト)の海外独占代理店契約を締結しました。今後はアジア圏における法規制対応を行い、2026年以降、AI計画ソフトの販売を目指します。
がん放射線治療の現状
昨今、日本を含む医療先進国の大病院では、がん治療において、強度変調放射線治療(IMRT)を導入しています。IMRTは、正常細胞への影響を最小限に抑えながら、がん細胞に効果的に放射線を照射するため、従来の放射線治療よりも患者への負担を軽減する治療法です(図1)。一方で、IMRTの治療計画を策定するには、患者のCT画像から、がん細胞の位置を正確に認識し、放射線の照射強度や範囲を緻密に計算するため、1件の治療計画策定に約6時間を要すことから、医師や医療スタッフの労働負荷が高いことが課題です。
アイラト社の概要、AI計画ソフトの強み
アイラト社は、がん放射線治療の治療成績向上、業務量改善を目指し、放射線治療AIの研究開発を行うスタートアップ企業です。東北大学大学院医学系研究科の研究成果を基に発足し、国内でIMRTを積極的に導入、実施している約15の大学病院などと共同研究を行い、AIによるIMRT治療計画策定支援ソフトウエアの高度化、実用化を進めてきました。
AI計画ソフトは、患者CTの画像認識や放射線照射範囲の特定に、過去の膨大な臨床データを読み込んだAIを活用することで、通常約6時間を要する治療計画策定を約20分に短縮し、IMRT治療における医師・医療スタッフの業務効率化が図れます。

住友商事のこれまでの取り組み
住友商事のライフサイエンスSBUは、1970年代から医薬関連ビジネスを手掛け、主に製薬会社向けの創薬研究・開発支援、原料供給を行うとともに、販売・マーケティングや製造受託などサービスを提供しています。今中計では、これまで培った医薬関連分野の知見を活用し、医療機関向けの医療技術支援事業を将来の新たな柱とする戦略を策定しました。本案件は、不妊症・不育症検査を行う日本発スタートアップのAOI Biosciences 株式会社(以下、アオイ社。旧社名:Revorf)への出資、海外販売代理店契約締結に続く、第二号案件です。アオイ社の検査は現在、マレーシアの病院で採用され、インドネシアと韓国などの病院では共同研究を開始、アジア圏でのさらなる普及を図っています。
アオイ社の海外代理店として獲得したグローバルネットワークも生かし、アイラト社の技術をアジア域内に展開します。住友商事は今後も、医療分野の知見とグローバルネットワークと、日本発医療系スタートアップの高い技術を掛け合わせ、世界中に医療支援事業を拡大していきます。

会社概要
アイラト社
会社名 | : | アイラト株式会社 |
代表者 | : | CEO木村 祐利、Chief Technology Officer角谷 倫之 |
本社所在地 | : | 宮城県仙台市 |
事業概要 | : | 医療機器プログラムの企画、開発 |
会社設立 | : | 2022年 |
ウェブサイト | : | アイラト株式会社(AiRato) - 放射線治療AIで医療DXを支援 トップページ |
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