2024年02月26日
住友商事東北株式会社
栽培時に排出される温室効果ガスを削減した米穀の流通に向けた取り組みの推進について
住友商事東北株式会社(以下「住友商事東北」)は、既に水稲の直播・節水型栽培の栽培体系確立およびカーボンフットプリント(以下、CFP)(※)の算出に向けた取り組みを推進しているヤマガタデザインアグリ株式会社(本社:山形県鶴岡市、以下「YDA社」)、バイオシード・テクノロジーズ株式会社(本社:東京都港区、以下「BST社」)と連携して、栽培時に排出される温室効果ガスを削減した米穀の流通に向けた取り組みを推進していきます。
取り組みの内容
YDA社とBST社が推進している水稲の直播・節水型栽培は、育苗・田植えや水の管理を省力化することによる労働工数の劇的な削減に加え、農業分野における温室効果ガス排出の約45%を占めるメタンガスの削減効果が期待され、全国の農業者が実証に取り組んでいます。
栽培時に排出される温室効果ガスを削減した米穀の流通においても、パリ協定に整合する脱炭素目標を設定している大手の米穀需要家を中心に関心が高まっています。しかしながら、水稲の直播・節水型栽培はこれまで国内ではほとんど事例が無かったため、CFPの計算に必要な諸元がまだ十分に整っておらず、SBT(Science Based Target)をはじめとする企業の炭素会計におけるScope 3 Category 1での算定に用いることが出来ない状況です。
YDA社の親会社である有機米デザイン株式会社では、2022年より大学や研究機関等と連携してアイガモロボットによるメタン削減の研究に取り組んでいます。またBST社においては、国内の環境関連制度に精通し、産学連携の脱炭素プロジェクトに従事するPermanent Planet株式会社(本社:神奈川県逗子市)代表の池田氏をアドバイザーに迎え、体制を強化しています。
住友商事東北は、東北の基幹産品である米穀の流通事業を行っています。一般的な米穀の流通は多層的であり、農業者と需要家の情報が途中で遮断されてしまうことが多い中、住友商事東北は農業者と需要家の直接対話を重視し、情報を遮断せず、透明性のある取り組みを推進してきました。また、農業者の生産原価や再生産価格の見える化を行い、農業者にとって持続可能かつ需要家にとって中長期的な安定調達に寄与する条件での取り組みを推進して、日本における持続可能な農業・食料供給の実現に貢献していきたいと考えています。
YDA社とBST社の知見に住友商事東北の米穀流通事業者としての知見を合わせ、農業者・研究機関・農業資材メーカー・大手の米穀需要家等と連携し、水稲の直播・節水型栽培の栽培体系確立を目指すと共に、米穀のサプライチェーンにおいて有効な、栽培時に排出される温室効果ガスを削減した米穀のCFP算出方法や流通の仕組みの構築に取り組むことで、持続可能な農業・食料供給に加えて環境負荷低減の実現を目指します。
YDA社とBST社は2024年2月17日付で「水稲の直播・節水型栽培の栽培体系確立およびカーボンフットプリントの算出に向けた取り組みを推進」をリリースしています。
https://newgreen.inc/news/ddsr-ghg
(※)製品やサービスのライフサイクル全体を通じて排出される、気候変動に影響を与える温室効果ガスの排出量を示す指標や仕組み。本リリースでは「製品単位の排出量(Cradle to Gate、GHG排出量)」を指します。