2021年12月07日

空飛ぶクルマの実現に向けた無人ドローンの飛行実証を実施

2021年10月、住友商事、日本航空(JAL)、Bell(ベル)の3社は、米国テキサス州フォートワース市郊外において、無人ドローンの飛行実証を実施しました。

今回の実証は、来年度以降の日本での飛行実証実験を見据えたものです。具体的には、Bellの大型ドローンAPTを用いて、医療・支援物資輸送を想定した飛行性能調査、国内実証に向けた運用・操作性確認を実施。あわせて、日本での大型ドローンの利活用に向けた事業性の検討も行いました。西部開拓時代の街並みが残るフォートワースは、航空機産業が盛んな地域です。テキサス州らしいカラッとした暑さもあれば、大雨や凍えるような寒さも味わいながら、さまざまな気象条件の中で無事飛行実証を終えることができました。

住友商事航空事業開発部の小林充明は、エアモビリティ(※1)社会の実現に向けて「今回のような実証を積み重ねながら社会インフラとしてのドローン、空飛ぶクルマが活用される社会の構築を目指したい」と語りました。

  1. エアモビリティ:電動・垂直離着陸が可能な小型の飛行体(空飛ぶクルマ)などによる身近で手軽な空の移動手段のことで、都市部での移動時間短縮や渋滞解消、離島や山間部における移動の利便性向上、緊急搬送や物資輸送の迅速化などが期待され、世界各地で社会実装に向けた開発が進む
一時悪天候にも見舞われたが、雲一つない晴天のもと実証を実施できた
プレーリー(大平原)の朝焼けを背景に、フライトに向けAPTはたたずむ
本実証を実施した住友商事、JAL、Bellのメンバーたち。人との比較からAPTの大きさがうかがえる

世界中で都市部への人口集中が進むなか、「空飛ぶクルマ」の主流になると言われているのがeVTOL(※2)で、滑走路が不要で環境性能に優れ、短中距離の区間を安価かつ容易に移動できることが期待されています。また、Eコマース拡大に伴う迅速な荷物配送のニーズや配送員不足を補う手段として、無人ドローンによる物流にも注目が集まっています。

  1. eVTOL:electric Vertical Take-Off and Landing(電動垂直離着陸機)の略で「イーブイトール」と読む。電動モーターで複数の回転翼を回転させ、垂直離着陸できる小型航空機を指し、次世代の都市交通の輸送手段として注目されている

住友商事は、エアモビリティが飛び交う時代の到来を見越して、18年より、その社会実装に向けた議論を進めてきました。エアモビリティの市場規模は、30年に90億米ドル近くに達するという予測もあり、大きな期待が寄せられています。社会実装に向けては、技術面の進歩だけでなく、法規制の整備や地域住民の理解なども必要で、世界各国でさまざまな取り組みが行われています。

当社は19年にBellとエアモビリティ分野における新規事業の創出などを目的とした業務提携を締結、翌20年には今回の実証を実施したJAL、当社、Bellの3社で業務提携し、日本を中心としたアジア域内で、Bellの開発するeVTOL機材を用いたサービス提供の検討を開始。 エアモビリティ運航時における課題解決を進めています。

また、インフラ面では20年にエアモビリティの社会実装に不可欠な無人機管制システムを開発するOneSky Systems(ワンスカイ)に出資し、日本で市場開拓を行っています。さらには本年、東北大学、ワンスカイ、当社で、複数機が飛び交う状況を想定した管制実証を実施しました。量子技術の活用により、複数機の最適航路・運航ダイヤのリアルタイム設計を可能にするものです。

当社は今後も革新的な輸送サービスの実現に向けた新たな技術発明や産業発展および次世代モビリティ社会の構築に大きく貢献していきます。

NEXUS(Bellが開発する「空飛ぶタクシー」)のイメージ図


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