2023年08月07日

米国における木質バイオマス由来のバイオエタノール商用生産に向けた取り組みを開始

米州住友商事とパートナー2社にて共同調査に向けた合意書を締結

住友商事は、米州住友商事会社を通じて、バイオエタノール製造者Axens North Americaおよび米国のバイオ事業者Allotrope Partnersと、米国カリフォルニア州における木質バイオマス由来のバイオエタノール商用生産(以下「本案件」)の共同調査に向けた合意書を締結しました。

カーボンニュートラル社会に向けて注目を集めるバイオエタノール

バイオエタノールは、再生可能エネルギーとして、またSAF(※1)などのバイオ燃料や環境負荷の少ない化学品の原料として、カーボンニュートラル社会を目指す世界各国から注目されています。木質バイオマスを原料とするセルロース系バイオエタノールは、他の原料から生産されるエタノールと比較して製品の炭素強度(Carbon Intensity ※2)が小さく、持続的に規模を拡大できる可能性を秘めています。

木質バイオマスから直接バイオエタノールを生産

本案件は、木質バイオマスから直接バイオエタノールを生産するものです。米国カリフォルニア州の豊富な間伐材や農業残渣などを利用した米国内の地産地消を前提とし、年間生産量約6万トンを目指しており、主な用途は今後需要が大きく見込まれるSAFやバイオケミカルを想定しています。カリフォルニア州では、深刻な森林火災防止のため、今後間伐数量の増加が見込まれており、本案件ではこれを有効活用していきます。

米国は2050年に航空燃料の100パーセントをSAFとする目標を掲げています。バイオエタノール需要の増加が見込まれている同国において、住友商事グループは本案件を通じたバイオエタノールの安定供給を目指します。同時に、バイオエタノール生産時に副生するカーボンニュートラルなCO2を利用したCCU(※3)や、発酵残渣のバイオガスへの有効利用などについても検討を進める予定です。

本案件のスキーム図

住友商事バイオマスエネルギー開発部の取り組み

当社が2021年4月に設立した社内組織である Energy Innovation Initiative(EII)は、「脱炭素・循環型エネルギーシステム構築を通じた新しいビジネスの創出」を目指しています。EII内で本案件を推進するバイオマスエネルギー開発部は、さまざまな事業を通じて得た住友商事グループの知見・スキルを集約し、固体・液体・気体バイオエネルギーの開発を行っています。2023年2月には日本製紙株式会社、Green Earth Institute株式会社とともに、木質バイオマスを原料とする日本国内初のセルロース系バイオエタノール商用生産およびバイオケミカル製品への展開に向けた共同検討を開始しました。今後も関連事業の推進を通じて、当社が掲げる「気候変動緩和」「循環経済」の実現という重要社会課題の解決と、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

  1. SAF:Sustainable Aviation Fuelの略語。持続可能な航空燃料。生産・収集から、製造、燃焼までのライフサイクルでCO2排出量を従来燃料より大幅に削減し、既存のインフラをそのまま活用できる持続可能な航空燃料のこと
  2. 炭素強度:エネルギー供給量(MJ)あたりのCO2排出量(g)の指標。サプライチェーンにおいて温室効果ガス排出量を削減することにより低下する
  3. CCU:Carbon dioxide Capture, Utilizationの略語。CO2を分離・回収し、資源として作物生産や化学製品の製造に有効利用すること


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