2023年10月18日

もみ殻由来のバイオ燃料・バイオケミカルを製造する実証実験を開始~世界展開を目指して、新潟県胎内市で地産地消の脱炭素化事業モデルを構築~

住友商事は、世界各地で大量に発生・廃棄されているもみ殻から、化石燃料代替エネルギーを生成すると同時に、バイオケミカルである「もみ殻シリカ」および「もみ殻活性炭」を製造する実証実験を、ソニーグループ株式会社とソニー知的財産サービス株式会社(以下、ソニー)と共同で開始します。CO2削減量の大きいバイオエネルギーと販売単価の高いバイオケミカルを同時に製造することにより、脱炭素化への寄与のみならず、経済合理性との両立を図ります。新潟県胎内市および胎内市農業協同組合(JA胎内市)の協力のもと技術開発や用途開発に取り組む新しい地産地消の脱炭素化事業モデルとして、国内および世界への展開を目指します。

新潟県胎内市の田園

世界で年間1億トン以上、日本国内だけでも約200万トン排出されているお米のもみ殻は、焼却時に発生する煙や悪臭のため焼却処分が禁止されている地域も多く、近年さまざまな活用法も提案されていますが、未だに一般廃棄物として大量に排出されており、野外焼却や河川投棄が環境汚染の原因にもなっています。

今回の実証実験は、以下の技術開発および用途開発を胎内市で行います。
(1)胎内市で発生するもみ殻を回収、熱分解し、もみ殻炭(※1)を製造する炭化技術の開発
(2)もみ殻炭から抽出した「もみ殻シリカ」(※2)を環境に配慮した高付加価値原料として用途開発
(3)もみ殻炭からシリカ抽出後のバイオ炭製造プロセスの開発、さらには「もみ殻活性炭」(※3)の製造技術および用途開発
(4)もみ殻炭製造時に発生するオフガス(※4)の再生可能エネルギーとしての活用技術開発

これらを総合的に進めることで、脱炭素化と経済合理性が両立する事業モデルの構築を目指すものであり、
この度、本取り組みの意義が高く評価され、CO2排出量大幅削減および地域活性化の同時達成を推進する事業を助成する、
環境省の令和5年度「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業(二次公募)」に採択されました。
なお、(3)の「もみ殻活性炭」の製造にあたっては、もみ殻由来の多孔質カーボン素材「トリポーラス」(※5)の事業を推進する
ソニーと連携し、製造技術の確立および用途開発を行います。

今回の実証実験は、以下の技術開発および用途開発を胎内市で行います。
(1)胎内市で発生するもみ殻を回収、熱分解し、もみ殻炭(※1)を製造する炭化技術の開発
(2)もみ殻炭から抽出した「もみ殻シリカ」(※2)を環境に配慮した高付加価値原料として用途開発
(3)もみ殻炭からシリカ抽出後のバイオ炭製造プロセスの開発、さらには「もみ殻活性炭」(※3)の製造技術および用途開発
(4)もみ殻炭製造時に発生するオフガス(※4)の再生可能エネルギーとしての活用技術開発

これらを総合的に進めることで、脱炭素化と経済合理性が両立する事業モデルの構築を目指すものであり、この度、本取り組みの意義が高く評価され、CO2排出量大幅削減および地域活性化の同時達成を推進する事業を助成する、環境省の令和5年度「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業(二次公募)」に採択されました。
なお、(3)の「もみ殻活性炭」の製造にあたっては、もみ殻由来の多孔質カーボン素材「トリポーラス」(※5)の事業を推進するソニーと連携し、製造技術の確立および用途開発を行います。

(※1) もみ殻炭 もみ殻を炭化させたもの
(※2) もみ殻シリカ もみ殻を焼却した際の灰から得られる微細なシリカ粒子
(※3) もみ殻活性炭 もみ殻炭に化学的または物理的な処理を施し、物質の吸着効率を高めた、炭素を主な成分とする多孔質の物質
(※4) オフガス 炭化の過程で発生する可燃ガス
(※5) トリポーラス 世界中で年間1億トン以上排出されている米の籾殻から生まれた多孔質カーボン素材です。
特許を取得した独特の微細構造により、水や空気の浄化など幅広い応用が期待されています。
また、原料に余剰バイオマスを活用することで、環境に配慮した循環型社会の実現および、
焼却や埋立により発生する大気汚染物質や温室効果ガスの低減に貢献します。
大量に発生・保管されるもみ殻の様子
(※1) もみ殻炭 もみ殻を炭化させたもの
(※2) もみ殻シリカ もみ殻を焼却した際の灰から得られる微細なシリカ粒子
(※3) もみ殻活性炭 もみ殻炭に化学的または物理的な処理を施し、物質の吸着効率を高めた、炭素を主な成分とする多孔質の物質
(※4) オフガス 炭化の過程で発生する可燃ガス
(※5) トリポーラス 世界中で年間1億トン以上排出されている米の籾殻から生まれた多孔質カーボン素材です。
特許を取得した独特の微細構造により、水や空気の浄化など幅広い応用が期待されています。
また、原料に余剰バイオマスを活用することで、環境に配慮した循環型社会の実現および、
焼却や埋立により発生する大気汚染物質や温室効果ガスの低減に貢献します。

実証実験にて、低CO2のバイオケミカル(※6)の製造プロセスおよびオフガスのエネルギーとしての活用技術を確立し、また、環境に配慮した高付加価値バイオケミカル製品の市場が形成され、経済的な合理性も認められれば、2026年に胎内市のもみ殻500トンを活用した事業を開始、30年頃の国内他地域および海外への事業展開を目指します。住友商事は、総合商社として培ってきた、さまざまな領域での事業実績、中でもシリカをはじめとする各種無機材料関連事業の知見やオフガスの開発実績を活かし、事業化後は、バイオケミカル製品のマーケティングおよびトレーディングを担います。特に環境意識が高い化粧品業界へのもみ殻シリカの普及に向けては、社内の化粧品原料事業とも協業して、国内外のブランドメーカーへ展開していきます。

(※6) もみ殻シリカについては、鉱物由来の従来品と比較して50%のCO2削減、また、バイオ炭とオフガスは各種バイオマス燃料の規格、
もみ殻活性炭は日本水道協会の規格を満たす仕様を目指します。これにより、一連の製造プロセス全体で、もみ殻1トンあたり2.3トンの削減を見込んでいます。

住友商事は、2050年の事業活動のカーボンニュートラル化を目指し、社会の持続可能なエネルギーサイクルの実現に挑戦するとともに、リサイクルや省資源型の技術・商品への転換などに取り組み、循環経済に寄与するサプライチェーンを構築することで、地球環境と共生した成長を実現します。また同時に、当社の事業を取り巻く地域の産業発展や人材育成に役立ち、地域社会・経済の発展に貢献します。なお、本取り組みのアイディアは社内起業制度「0→1チャレンジ」から誕生したものです。住友商事は、個々人の個性・創造力の発揮を生かし、世の中の大きな変化に対応しながら、全社的なビジネスモデルの変革を促進し、新たな価値を創造します。

【0→1チャレンジについて】

0→1チャレンジは2018年度にスタートした社内起業制度で、所属・職位・年次を問わず、全世界の住友商事グループ社員を対象に、現場社員の一人ひとりが考える新たな事業アイデアの実現を支援しています。今までにない新たな発想(ゼロ)から次世代のビジネス(ワン)を創造する、というコンセプトでスタートした制度です。

自分のアイデアを「どうしてもやりたい」という自発的な意志、情熱をもって取り組む挑戦者の姿や志は、既存事業の変革につながるだけでなく、社内に広く共感を呼んでおり、社員の意識改革を生むことから、単純に事業の成功確度だけを考えるのではなく、社員の育成やチャレンジする文化の醸成という点も重視しています。2018年度から2022年度の5年間で約1,000件の応募があり、過年度のもの含め11件が事業化に向けた活動を継続しています。

自分のアイデアを「どうしてもやりたい」という自発的な意志、情熱をもって取り組む挑戦者の姿や志は、既存事業の変革につながるだけでなく、社内に広く共感を呼んでおり、社員の意識改革を生むことから、単純に事業の成功確度だけを考えるのではなく、社員の育成やチャレンジする文化の醸成という点も重視しています。2018年度から2022年度の5年間で約1,000件の応募があり、過年度のもの含め11件が事業化に向けた活動を継続しています。

案件担当者:グリーンケミカル開発部 / 伊藤 直也

この事業を思いついたのは、田んぼを借りて自分の手でお米を作った際に、出てきたもみ殻について思いを馳せたのがきっかけです。調べてみると、海外ではもみ殻の不適切な処理によって環境汚染や、健康被害をもたらしていることを知り、お米の国に暮らす国民の一人として、また、子供たちが大きくなった時に、美しい田園風景、おいしいお米が残っている世界を目指したいと思い、事業アイデアを作り始めました。

チャレンジ当初はシリカだけに着目していましたが、進めていくにつれ、パートナーであるソニーも加わり、活性炭や、オフガス、バイオ炭など、様々な広がりが見えてきて、まさに、総合商社の看板にふさわしい事業になるのではないかとワクワクしています。2020年に始めた本チャレンジも3年が経過しようとしています。なかなか芽がでなくてヤキモキすることもありますが、焦らずどっしり構えて、胎内市のコシヒカリのように、たわわに実ることを目指しています。

この事業を思いついたのは、田んぼを借りて自分の手でお米を作った際に、出てきたもみ殻について思いを馳せたのがきっかけです。
調べてみると、海外ではもみ殻の不適切な処理によって環境汚染や、健康被害をもたらしていることを知り、お米の国に暮らす国民の一人として、また、子供たちが大きくなった時に、美しい田園風景、おいしいお米が残っている世界を目指したいと思い、事業アイデアを作り始めました。

チャレンジ当初はシリカだけに着目していましたが、進めていくにつれ、パートナーであるソニーも加わり、活性炭や、オフガス、バイオ炭など、様々な広がりが見えてきて、まさに、総合商社の看板にふさわしい事業になるのではないかとワクワクしています。
2020年に始めた本チャレンジも3年が経過しようとしています。なかなか芽がでなくてヤキモキすることもありますが、焦らずどっしり構えて、胎内市のコシヒカリのように、たわわに実ることを目指しています。

これまでの主な0→1チャレンジ案件

アート領域での事業展開を目指すThe Chain Museumとの資本業務提携について
介護人材の定着支援サービス「kaigo FIKA」の開発と実証実験開始
ライセンスビジネス向けマッチングプラットフォームの実証実験を開始
インバウンド向け衣料シェアリングAny Wear, Anywhereの実証実験開始について
洗濯代行サービス「Life Wash」の実証実験開始


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