2023年11月09日

アンモニア燃料船の建造に向けた連携開始~銅製品の環境負荷の低い供給実現を目指す~

当社は11月7日に、NYKバルク・プロジェクト株式会社(以下「NBP」)、株式会社大島造船所(以下「大島造船所」)の3社間で、アンモニア燃料ハンディマックス型ばら積み船(注)の建造に向けた技術検証と開発を行う覚書を締結しました(以下「本覚書」)。NBPは2022年11月に世界有数の銅生産会社のチリの国営企業Corporación Nacional del Cobre de Chile(以下「コデルコ」)と銅製品の海上輸送での脱炭素化に向けた共同開発に合意しており、本覚書はNBPとコデルコの共同開発を実現させるために締結されたものです(以下「本案件」)。

3社は、10隻~15隻のアンモニア燃料ハンディマックス型ばら積み船の建造を検討します。建造されたアンモニア燃料船は、NBPが運航して、チリでコデルコが生産した銅製品の極東向け輸送で活用される予定です。銅は洋上風力発電の送電線網や電気自動車の普及に欠かせない重要な資源であり、ますます需要が高まることが予想されています。一方、銅の輸送は海上輸送で行われることが多いですが、近年では輸送・配送で排出される温室効果ガス(GHG)の削減も求められており、海運業界も国際海事機関(IMO)が、2008年比で国際海運に従事する船舶のGHG排出量を2030年までに20~30パーセント削減し、2050年にはゼロにすることを目標に掲げています。3社とコデルコは建造検討するアンモニア燃料船を用いて、銅製品の環境負荷の低い供給を目指します。

本覚書の締結式の写真

(左上から時計回りに)
大島造船所 船舶営業部長 河村浩一氏、住友商事 輸送機・建機事業部門長 野中紀彦、 コデルコ会長 Máximo Pacheco氏、NBP 社長 須田雅志氏

当社は、2021年12月に大島造船所とアンモニア燃料船の共同開発について発表し、2022年12月には、国際的な船級協会であるDNVより、アンモニア燃料船の基本設計承認を受け、開発中のアンモニア燃料船の設計が、技術的な要件や安全性基準を満たしていることが確認されました。こうした重要なマイルストーンを確実に迎え、当社と大島造船はアンモニア燃料船の建造を順調に進めており、本覚書を通じてアンモニア燃料船のマーケティング・販売への取り組みも加速させていきます。

また当社は、競争力のあるクリーンアンモニア供給網の開発、アンモニアバンカリング船の設計開発、海上輸送や貯蔵など関連するインフラ開発を含むアンモニアサプライチェーンの構築なども検討・推進しており、本案件においても社内関連部署と連携することで、海事産業の脱炭素化に貢献していきます。

当社の船舶事業は、「世界の豊さの根幹を支える海運造船産業において、気候変動緩和と地域経済の発展に貢献する」ことを目指しており、大島造船所をはじめとしたパートナーとの連携を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

(注)積載量6万㌧前後のばら積み船。ばら積み船とは、鉄鉱石や石炭、穀物、セメント、塩、銅精鉱などのさまざまな資源を、梱包せずに大量に輸送する船。



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